「カエル好き」として、いま1番注目を集めている入江聖奈さん。ボクシングで東京オリンピック金メダル獲得という活躍とともに、カエル愛も一級品なんだ。公園や水辺で姿を見たり鳴き声を聞いたりする身近な生き物、カエル。カエルについて「もっと知りたい」「飼ってみたい」というみんなのために、今後カエル研究者になるために歩きだしている入江さんに、カエルのアレコレを、聞いてきたよ。第1ラウンドは、飼い方編だよ。
入江聖奈さん
2000年、鳥取県米子市生まれ。ボクシングまんが「がんばれ元気」に影響を受けて、小学2年からボクシングを始める。高校2年、3年で全日本女子選手権ジュニア大会連覇。2018年世界ユース選手権銅メダル、2019年世界選手権ベスト8。2021年東京オリンピック・ボクシング女子フェザー級で金メダル。ボクシングは大学で引退し、カエル研究者を目指して進学する。
高校時代に同級生の影響でカエル愛に目覚める。これまでシュレーゲルアオガエル(名前なし)、ベルツノガエル「千代子」、アズマヒキガエルのオタマジャクシ「高橋さん」の飼育経験あり。現在、ベルツノガエル「ジャイ子」を実家で飼育中。
カエルのストレスを少なく
おうち
カエルの飼い方は、種類によって違うんですよ。それぞれの生態を考えて飼うといいです(※1)。
例えば、いま飼っているジャイ子は、ベルツノガエル(※2)という種類。土の中や物陰に隠れて餌を待ち伏せする習性にあわせた、土がうれしいんです。ただ、土は人間にとっては手間がかかります。うんち(※3)が見つけにくいので。定期的にかえてますね。
土で飼育するのは大変だなと思ったら、ケージに濡らしたキッチンペーパーを敷くだけでも大丈夫です。うんちも見つけやすいし、すぐ交換できるので衛生的ですよ。
高校生のころ、下校中に連れ帰ったシュレーゲルアオガエルは、木の上で暮らすカエルです。長さ20cmくらいの木の枝を入れてました。500円玉くらいの小さな体で、よく枝に登ってましたね。そしたら、そこから脱走されちゃって…。ケージの戸締りはしっかりした方がいいです、絶対に。
※1カエルは生息環境に適応して、木や葉っぱの上で暮らす樹上棲のもの、地面や地中で暮らす地上棲のもの、水の中で暮らす水中棲のものがいる。
※2カエルは、うんちもおしっこも卵子も精子も、すべて「総排出腔」というお尻の穴から出す。
ご飯
ジャイ子には、1週間に1回、ご飯をあげてます。コオロギなどをケージに放せば、ガブっといきます。栄養バランスを考えて、ビタミンやカルシウムの入った粉をかけて、あげてます。
ジャイ子は、偏食なんですよ。練りエサも飽きたら食べないとか。こんな好き嫌いして、いいんでしょうか…。
シュレーゲルアオガエルには、週2回、人工飼料を耳かきにのせて、あげてました。
アズマヒキガエルのオタマジャクシの高橋さんは、基本的に何でも食べましたね。ゆでたほうれん草とかをあげてました。ずっとパクパクしてました。オタマジャクシは、神経質にならなくても、だいたい元気に育ってくれます。
ただ、カエルになって上陸するとき、人の爪に乗るくらいのサイズなんです。めちゃくちゃ繊細だし、エサも小さくて生きてる状態じゃないとダメなんです。私の目ヤニよりもちっちゃいもの、アブラムシとか。この時期のエサの確保はほんとうにすごく難しい。
触れ合い
カエルは、イヌやネコのように頭や体を、よしよしとしない方がいいです。カエルは体温が低いので、人間の体温でも触れられることで低温やけどをしちゃいます。「かわいいからなでたい」というのは、人間だけのエゴですね。イヌやネコとは違って、カエルは、なでられても愛情は感じないので、ストレスになるだけです。カエルは眺める、がいいと思います。
シュレーゲルアオガエルは毎日、霧吹きで水をかけてあげてました。朝夕、ぷしゅぷしゅと。乾燥が大敵ですからね。
※3カエルは、脱皮する。その皮は自分で食べるので、抜け殻は残らない。
ほかにも気になる
どのペットもそうですけど、置いて遠出は難しいですね。カエルは、一日二日ならなんとか、三日目くらいから怖いですかね。乾燥と、うんちの処理ですよね。
冬眠(※4)させたら、そのまま目が覚めないという話も聞きます。だから、わたしは冬眠させない派です。部屋の暖房をつけて、ケージの下にはヒーターを敷いて、暖かくして冬眠させないようにします。
費用が一番かかるのは、意外と光熱費かもしれない。温度と湿度を保つため、外出するときもエアコンを消せないし、冬は冬眠させないようにヒーターも付けとかないとですしね。温度と湿度、そして衛生面の管理がとっても大事です。
うんちも含めて、カエルを飼っていて臭いが気になったことはないですね。
ジャイ子は、夜に鳴いてますね。ギ―?とか? ちょっと再現に自信ないです…。最近、声変わりした気がするけど、そんな論文もないし、違ったのかな。
※4日本のカエル(沖縄など一部地域を除く)は冬眠するが、1年を通じて暖かい地域のカエルは冬眠しない。日本のカエルも飼育温度を暖かく保つと、冬眠しない。
保護者の協力がゼッタイ
小さいころに生き物と触れ合うのは、命の大切さとか生き物が育っていく過程とかを知れて、価値があることだと思うんです。身近なカエルは、うってつけの教材です。
カエルは、オタマジャクシからカエルになる「変態」という唯一無二のスタイルがあるので面白いですよ。日々オタマジャクシからカエルへと、顔の形が変わったり、手足がはえてきたり。受精卵が細胞分裂する卵割なんかも目に見えて、本当に神秘。卵から採取して、飼育してみてほしい。
でも、お父さんやお母さんが協力的でないと絶対お世話できないので。保護者から「ダメ」といわれたときは、元の場所に返してあげるのが正解です。
わたしの両親は、最初は「え~」って言ったけど、許してくれました。そして、いまのジャイ子を飼おうって言い出したのはお父さんです。千代子、高橋さんを亡くしたあと、「カエルがいないとさびしい」って。カエル、めちゃくちゃかわいいですよ!
カエルを飼うときの注意点
- ペットショップなどで購入したカエルは、外来種はもちろん、国内の在来種でも、決して野生に放してはいけません。最後まで責任を持って飼い続けましょう。
- カエルやオタマジャクシを採取する場合、採取してよい場所か、採取してよい種類か事前によく確認しましょう。
- 採取したオタマジャクシを飼育する場合、カエルになりたての幼体を飼育するのは、とても難しいです。飼育を続ける場合は、十分に勉強して環境を整えてからにしましょう。難しいと感じたら、無理をせず、採取した場所に返してあげましょう。
- 採取したカエルを飼育する場合、カエルを冬眠させるのはとても難しいです。冬眠させる場合は、十分に勉強し環境を整えてからにしましょう。難しいと感じたら、無理をせず、秋になったら採取した場所へ返してあげましょう。
第2R「魅力」編はコチラ
第3R「マイベスト○○」編はコチラ
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