夜空にスーっと光の線を描く「流れ星」。目にしたときは、願いがかなうかはさておき、うれしい気持ちになります。そんな流れ星が、たくさん、ときには雨と表現されるくらいに現れるのが「流星群」です。今回は流星群が起きる仕組みや、代表的な三大流星群について紹介します。
毎年、決まった時期に、決まった方向から、たくさんの流れ星
流れ星は、宇宙にある「ちり」が地球の大気にとても速いスピードでぶつかることで、大気が高温になり発光する現象です。流れ星は、一晩中、夜空を見上げていれば、いくつか見ることができるくらい、実は珍しいものではありません。流れる時期も方向も決まっていない流れ星は散在流星と呼ばれ、しかも一瞬なので、もしそれだけを見つけようするなら体力と気力、そして運も必要です。
一方で、流れ星が毎年、決まった時期に、決まった方向から、たくさん現れるのが流星群です。1時間に数十個など、その数が多く、見ているとよい時間や場所が分かっているので、とても観測しやすいのです。
流れ星の元となる宇宙のちりは流星物質と呼ばれ、大きさには0.03㎜から1mと幅はありますが、大半は数ミリ程度の「砂粒」です。流星群の場合、この砂粒が秒速10km~70kmの速さで地球にぶつかってきます。秒速10kmでさえ、時速300kmで走る新幹線の120倍、秒速400mといわれるピストルの弾丸の25倍のスピードです。
彗星の通り道にある砂粒の帯と、地球が交わる
彗星のイメージなぜ流星群は起きるのでしょうか。これは「彗星」が関係しています。彗星は「汚れた雪玉」とも例えられ、その8割が氷で、ほかの岩石などと混ざった直径数km程度の天体です。彗星は太陽に近づくと高温になって、氷が一気に気体となって、たくさんのガスと、ちりを出します(※1)。このとき砂粒ほどの大きさのちりは、彗星と同じように太陽の周りを回ります。長い年月をかけて彗星の通り道は、ダストトレイルと呼ばれる砂粒の帯になっているのです。
流星群は、彗星の通り道と、地球の通り道が交わっているところで起きます。地球は毎年その位置にくると、彗星がつくった砂粒の帯とぶつかることになり、この砂粒が元となって、たくさんの流れ星が現れるのです。
ペルセウス座流星群のイメージ
流星群と放射点のイメージ彗星のように流星群の元となる砂粒を生み出す天体を、その流星群の「母天体」と呼びます。
この砂粒はそれぞれ平行に地球に向かってきますが、地上から見ると、ある1点を中心として流れるように見えます。この中心を「放射点」と呼び、放射点の位置の目印となる星座から、流星群の名前がつけられています。
※1 彗星は「ほうき星」とも呼ばれ、2本の「しっぽ」が有名な天体です。しっぽは、彗星が太陽に近づくことで出すガスと、ちりからできるもので、ガスでできたしっぽが1本、とても小さなちりでできたしっぽが1本です。ガスのしっぽは太陽とは反対方向へ細長く流れ、ちりのしっぽは彗星の通り道に沿うように幅をもって飛び広がります。
見ごたえのある三大流星群
日本で観測できる主な流星群の中でも「三大流星群」と呼ばれる、特に流れ星の多い3つの流星群を紹介します。
三大流星群の発生位置となる母天体の軌道と地球の軌道の交点、放射点の方向のイメージ
数時間の短期集中「しぶんぎ座流星群」
・出現時期:12月下旬から1月上旬
・ピーク:1月4日ごろ
・1時間あたりの数:30個
・見やすい時間帯:放射点の位置が高くなる深夜から明け方
・母天体:小惑星2003 EH1が有力(直径およそ3km)
2003EH1は、太陽の周りをおよそ5.5年かけて1周する、かつては彗星だったとも考えられる小惑星。
放射点と流星群の名前は、りゅう座とうしかい座の間あたりにあった「壁面しぶんぎ座」という今は使われていない星座が由来。2003 EH1の通り道にある砂粒の帯と、地球の通り道が直角に近い角度で交わっていて、すぐに通り抜けてしまうため、流星群のピークも4時間程度と短いです。そのときに日本が昼間だった場合は観測できません。またピークが夜であっても、たくさん流れ星が見える年と、あまり見えない年があります。
観測にベスト「ペルセウス座流星群」
・出現時期:7月中旬から8月下旬
・ピーク:8月13日ごろ
・1時間あたりの数:40個
・見やすい時間帯:放射点の位置が高くなる深夜から明け方
・母天体:スイフト・タットル彗星(直径およそ30km)
スイフト・タットル彗星は、太陽の周りをおよそ130年かけて1周します。彗星としてはとても大きく、通り道は地球よりも少しだけ内側に入って太陽に近づき、冥王星よりも遠くまで離れる楕円形を描きます。
彗星自体と砂粒の帯の動きは、地球の公転の方向とは反対回りをしています。そのため、砂粒と地球の大気が正面からぶつかりあう形になり、ぶつかるときのスピードがほかの流星群よりも速く、強く光る流れ星が多いです。毎年、安定してたくさんの流れ星が現れるうえに、夏休みやお盆休みの時期に見られるので夜でも寒くもなく、自由研究などの宿題を兼ねて家族で観測しやすいです。
最大規模「ふたご座流星群」
・出現時期:12月上旬から12月下旬
・ピーク:12月14日ごろ
・1時間あたりの数:60個
・見やすい時間帯:放射点が一晩中見えているが特に真上にくる深夜
・母天体:小惑星ファエトン(直径およそ6km)
ファエトンは、太陽の周りをおよそ1.4年で1周する小惑星。水星よりも太陽に近づく楕円形の通り道を持っています。太陽に近づいたときに高温に熱せられて、彗星のようにチリや砂粒を出すと考えられています。JAXA(宇宙航空研究開発機構)などが2028年にも探査機を向かわせて観測するプロジェクトを進行中です(※2)。
毎年、安定して多くの流れ星が見られ、三大流星群の中でも最大の流星群です。観測が上手な人なら1時間に100個を見つけることもあります。流れ星のスピードは速すぎることもなく、チャンスも一晩中あるので、とても観測しやすい流星群です。
※2深宇宙探査技術実証機DESTINY+
ときには街の明かりから離れ、夜空を眺めて
流星群は、広い宇宙で、ミリ単位の砂粒たちと地球が出合って起こる、奇跡的な天文現象です。しかも肉眼で観測できる手軽さ。流星群のタイミングではなくても、散在流星はいつでも現れます。ときには街の明かりから離れて、家族やお友だちとゆったり夜空を観測してみよう。
参考資料
監修:関口朋彦さん
1970年生まれ、北海道教育大学旭川校教授。南米チリのヨーロッパ南天天文台(ESO)、国立天文台(東京三鷹)を経て、2008年から北海道教育大学勤務。