こたえ:フランスの芸術・ファッションなど、日本からはアニメ・マンガなど、お互いの文化が影響をあたえあっています。
日本とフランスの正式な国交は、1858年に日仏修好通商条約が結ばれてからです。幕末から明治時代にかけては、政府が軍隊を整備するときに、フランスを手本としました。明治時代に入ると、多くのフランス人が日本政府にやとわれて、法律、造船業、ガス事業、鉱山開発など日本の近代化に大きな役割をはたしました。
第二次世界大戦では日本はフランス領インドシナを占領し、敵国関係になりました。その後、サンフランシスコ平和条約で国交が回復しています。
経済での結びつき
日本とフランスの間の輸出入は、金額でみると、お互いにそれほど大きな割合を占めてはいません。日本にとってフランスは、輸出先として世界21位、輸入先としては19位です(2022年)1)。
日本からフランスへは、自動車、二輪自動車、船舶用エンジンなどの原動機、農林水産物としてウイスキーなどを輸出しています(2022年)2)。
フランスから日本へは、医薬品、航空機、アクセサリー、ワインなどを輸入しています(2022年)3)。
自動車、原子力、デジタル、食品などさまざまな分野で協力関係が進んでいます。670社以上の日本企業がフランスに進出して、これまでにフランス国内で約10万3000人が仕事につくことができています4)。この仕事につけた人の数は、ほかのアジアの国々のおかげでフランス国内で仕事につけた人の数と比べて、もっとも多い数です5)。
文化での結びつき
明治時代から、多くの日本人がフランスへ留学し、学問、美術などを学びました。文学の面では、ゾラの『ナナ』やユゴーの『レ・ミゼラブル』などの作品が翻訳され、日本文学に大きな影響をあたえました。
フランスのファッションメーカーの製品や、フランス料理、フランス産ワインなどは、いまの日本でも一般的な存在になっています。飲食店などを星の数で格付けする「ミシュランガイド」はフランスのタイヤメーカー・ミシュランが発行しています。
その一方で、19世紀にはフランスを中心に「ジャポニスム」と言われる日本の美術品ブームが起こりました。フランスで制作活動をして代表作「ひまわり」などのある画家のゴッホが浮世絵の影響を受けるなど、日本文化がフランスの芸術文化に影響をあたえました。
近年では日本のアニメやマンガが、フランスで人気を集めています。パリでは2000年から毎年7月に、世界最大級の日本文化を紹介するイベント「ジャパン・エキスポ」が開かれていて、アニメやマンガ、ゲームをはじめ、伝統芸能などの日本文化を求める多くの人々でにぎわっています。
政治・軍事での結びつき
日本とフランスはともに、地球規模の課題について話し合う先進国の集まりG7の構成国として友好関係をたもっています。安全保障面でも共同研究・開発などで協力関係を築いています。原子力エネルギー分野でも協力関係にあります。
江戸幕府はフランスから軍事顧問団を招いて軍備の近代化を進めました。
明治政府も陸軍をつくるときにフランス軍人を招いて訓練しました。刑法や民放などの法律を整備するときもフランス人の支援を受けました。
出典
参考資料
監修者:井田仁康
1958年、東京都生まれ。筑波大学人間系長、教授。博士(理学)。日本社会科教育学会長、日本地理教育学会長などを歴任。社会科教育・地理教育の研究をおこなっている。編著書に『読むだけで世界地図が頭に入る本 世界212の国と地域が2時間でわかる』(ダイヤモンド社)、『高校社会「地理総合」の授業を創る』(明治図書)。監修に『オールカラー 楽しく覚える! 世界の国』(ナツメ社)、『地図でスッと頭に入るアジア25の国と地域』(昭文社)などがある。