こたえ:イタリアの美術、音楽、ファッション、料理などの文化は、日本でも人気を集めています。
イタリア人の商人のマルコ・ポーロは、1271~1295年に元(中国)に旅行したときの話をまとめた旅行記「東方見聞録」の中で、日本のことを初めてヨーロッパの人々に紹介しました。この中で、中国人から聞いた日本のこととして、日本は「黄金の豊かな国ジパング」としてあつかわれています。
日本とイタリア人の最初の接触は、戦国時代のキリスト教の宣教師です。九州のキリシタン大名がローマへ使節団を送るなどしました。日本との正式な国交は、1866年に日伊修好通商条約が結ばれてからです。第二次世界大戦時はドイツを含めて同盟関係を結び、大戦末期を除いて味方関係だったこともあり、伝統的に日本と友好関係をもっています。
経済での結びつき
輸出入の金額の割合でみると、日本とイタリアはお互いに中心的な貿易相手ではありません。日本にとってイタリアは、輸出先として世界22位、輸入先として16位です(2022年)1)。
日本からイタリアへは、自動車、金属加工機械、鉄鋼、農林水産物として日本酒などを輸出しています(2022年)2)。
イタリアから日本へは、バッグ、医薬品、たばこ、自動車などを輸入しています(2022年)3)。
江戸末期から明治初期においては、日本からイタリアへ、生糸をつくるための蚕の卵がたくさん輸出されていました。蚕の卵の輸出額は、多いときで日本全体の輸出総額の2割以上を占め、そのうち7割ほどがイタリア向けだったと言います4)。
文化・スポーツでの結びつき
イタリアは、紀元前から栄えた国です。科学や建築、芸術などさまざまな文化を生み出して、日本をはじめ世界の国々に影響をあたえています。世界遺産の登録数58件は世界で一番多く、文化遺産53件、自然遺産5件があります(2023年5月時点)5)。
日本語の仮名をABCを用いて表記する「ローマ字」は、イタリア半島を中心に築かれた古代ローマ帝国で使われていたことが由来です。
音楽の「ドレミファソラシド」という音の名前や、オペラ(歌劇)はイタリアで生まれました。「蝶々夫人」などのイタリアオペラは日本でも知られています。
アルマーニやグッチなど多くのファッションメーカーや、フィアットやフェラーリなど自動車メーカーも有名です。それぞれの製品は日本でも人気を集めています。
オリーブオイルやパスタなどのイタリア料理文化は、日本の家庭でも一般的なものになっています。
スポーツでは、サッカーやバレーボールの世界最高峰のプロリーグがあり、近年は日本人選手も挑戦しています。
政治・軍事での結びつき
日本とイタリアはともに、地球規模の課題について話し合う先進国の集まりG7の構成国として友好関係をたもっています。安全保障面でも防衛装備の共同研究・開発などで協力関係を築いています。
第一次世界大戦と、日独伊三国同盟を結んでいた第二次世界大戦の両方で味方の関係にいたなど近代では共通点のある歴史を歩んできた国同士です。
出典
参考資料
監修者:井田仁康
1958年、東京都生まれ。筑波大学人間系長、教授。博士(理学)。日本社会科教育学会長、日本地理教育学会長などを歴任。社会科教育・地理教育の研究をおこなっている。編著書に『読むだけで世界地図が頭に入る本 世界212の国と地域が2時間でわかる』(ダイヤモンド社)、『高校社会「地理総合」の授業を創る』(明治図書)。監修に『オールカラー 楽しく覚える! 世界の国』(ナツメ社)、『地図でスッと頭に入るアジア25の国と地域』(昭文社)などがある。