乗れたらきっと楽しそう、でも、乗れるようになるまでが大変そうー。一輪車には、そんなイメージがあるかもしれません。小学校に遊具の一つとして備えてあることが多く、体育の授業や運動会の演目に使われることもある一輪車。せっかくなら、みんなに乗って楽しんでほしい。この記事では、一輪車に乗れるようになるためのオススメ練習方法を紹介します。
こわがらず、背筋を伸ばし、おへそから進む
一輪車で一番むずかしいのは、前後のバランスをたもつことです。
そのためには、背筋を伸ばして正面を向き、姿勢よく乗ることが大事です。タイヤと自分の体が、まっすぐになるように気をつけましょう。
人間は、おへその下あたりに重心(体の重さの中心)があります。落下するのをこわがって、下を向いてしまったり、背中を丸めてしまったりすると、体が「く」の字になって、重心がタイヤの上からずれ、落下してしまいます。
一輪車をこぐときも、重心に近い、おへそから前に進むイメージで取り組むと、落下しにくくなります。
落下してしまう原因は?
一輪車から落下してしまう主な原因は
・下を向いているなど気づかないうちに姿勢が乱れている
・こぐリズムが一定でないため、速くなったり遅くなったりするのに合わせて体がぶれる
・スピードが自分が思うよりも速くなりすぎて止まろうとする
ということでバランスを崩すことが考えられます。
特に、姿勢は自分では乱れていないつもりのことが多く、原因として気づけないことがあります。
カメラなどで写真や動画が撮れる場合は、それを見て、どうしてバランスが崩れたのかを確認しながら練習すると上達しやすいです。
練習は、まず両側に支えを受けながら
それではオススメの練習法を紹介します。
一輪車の練習は、まずは両側に支えがある状態からはじめます。片手は壁に手をついて、もう片手は友だちに手をにぎってもらうなどするといいでしょう。
例えば、壁などの支えが片側にしかない場合、両手で壁につかまると、体をひねった状態で練習することになります。この状態では、姿勢が崩れて、バランスがとりにくく、上達しにくくなります。
❶サドルの高さを決める
サドルは、まっすぐ立った自分のおへその下くらいの高さにします。ペダルをこぐときに、ひざが伸びすぎず、曲がりすぎず、ペダルに力を伝えやすい高さになります。
ポイント
落下するのがこわくて、サドルを低めにしたくなりますが、サドルが低い方が逆に落下しやすくなります。ひざが曲がりすぎて、腰も曲がり、体が「く」の字になって、姿勢がくずれてしまうからです。
❷一輪車の上に座る
利き足の方のペダルを手前にして、両側のペダルが水平になるようにセットします。立ってサドルをまたいだ状態で、利き足の親指の付け根部分をペダルに乗せます。階段を上るようにペダルを踏み込んで、サドルと一緒に上がって座ります。
ポイント
自分が飛び乗るのではなく、一輪車が自分の体の下に入り込んでくるイメージで取り組みましょう。
❸こぐ(半回転→1回転→こぎ続ける)
一輪車に座れたら、両方のペダルを水平にした状態で止まります。そのままペダルを半回転だけさせて進んで止まります。これが安定してできるようになるまで、これを繰り返します。
「半回転こいで止まる」が安定してできるようになったら「1回転こいで止まる」へステップアップします。1回転が安定してできるようになるまで、繰り返します。
「1回転こいで止まる」が安定してできるようになったら、次は「リズムよくこぎ続ける」です。両側に支えを受けながら、リズムよくこぎ続けることが安定してできるようになるまで、繰り返します。
ポイント
半回転だけこぐ場合でも、おそるおそるこぐよりも、勢いよくこいだ方が安定します。
ペダルをこぐときは、ひざを内側へ閉じるようにします。ひざが外側に開いていると、踏み込む足にあわせてタイヤの向きが左右に揺れ、ぐにゃぐにゃと進むことになり、バランスを崩しやすいです。
❹支えを減らす
両側に支えがある状態でリズムよくこげるようになったら、支えを片側に減らして「半回転こいで止まる」→「1回転こいで止まる」→「リズムよくごぎ続ける」を練習します。
支えが片側だけでもリズムよくこげるようになったら、自分のタイミングで支えから手を一瞬はなしてみます。
支えから手をはなしている時間を少しずつ長くしていって、支えのない状態でもこぎ続けられるようにします。
❺曲がる
支えのない状態でまっすぐ進めるようになったら、次はカーブに挑戦です。曲がる方向へ顔をむけて、その方向へ体全体を傾けるように曲がります。
腰をひねって曲がろうとすると、ペダルをこぐ足が止まってしまいがちなので、落下しやすくなります。
簡単にあきらめない人は、必ず乗れる
一輪車は、だれでも必ず乗れるようになります。あっという間に乗れるほど簡単ではありませんが、いつまでも乗れないということもありません。自分なりのバランスやリズムは、失敗を繰り返しながら体で感覚を覚えるものなので、簡単にあきらめないことが大切です。
オススメの練習法で取り組めば、回り道をすることなく、その感覚を身に着けることができます。最初のうちは両側を支えてもらうのがよいので、ぜひ友だちと一緒に支え合いながら、練習してみてください。
一輪車は、不安定な1つのタイヤの上で体のバランスを取り続ける、むずかしい動きです。その感覚と動きを身につけることは、速く走ることなど、ほかの運動に取り組むときにも役立つはずです。
監修:下山和大
監修:大賀圭造
秀明大学学校教師学部保健体育専修主任、専任講師。