蛇口 ( じゃぐち ) をひねって出 ( で ) てくるのは、そのまま飲 ( の ) める安全 ( あんぜん ) な水 ( みず ) 。毎日 ( まいにち ) のお風呂 ( ふろ ) や洗濯 ( せんたく ) 、トイレに使 ( つか ) う水 ( みず ) にも不自由 ( ふじゆう ) しない日本 ( にほん ) は、水 ( みず ) に恵 ( めぐ ) まれた国 ( くに ) ……に違 ( ちが ) いないと思 ( おも ) っていたら、じつはそうとも言 ( い ) い切 ( き ) れないそうです。SDGs(持続 ( じぞく ) 可能 ( かのう ) な開発 ( かいはつ ) 目標 ( もくひょう ) )目標 ( もくひょう ) 6「安全 ( あんぜん ) な水 ( みず ) とトイレを世界 ( せかい ) 中 ( じゅう ) に」にも掲 ( かか ) げられているように、水 ( みず ) を巡 ( めぐ ) る問題 ( もんだい ) は世界 ( せかい ) が抱 ( かか ) える課題 ( かだい ) のひとつ。毎年 ( まいとし ) 9月 ( がつ ) にはSDGsに対 ( たい ) する意識 ( いしき ) を高 ( たか ) める活動 ( かつどう ) が世界 ( せかい ) 中 ( じゅう ) で行 ( おこな ) われるSDGs週間 ( しゅうかん ) (Global Goals Week)があります。この機 ( き ) に、雨 ( あめ ) の量 ( りょう ) や使 ( つか ) える水 ( みず ) の量 ( りょう ) など、おもに「量 ( りょう ) 」に注目 ( ちゅうもく ) しながら、一見 ( いっけん ) 、水不足 ( みずぶそく ) とは無縁 ( むえん ) に思 ( おも ) える日本 ( にほん ) の水資源 ( みずしげん ) 事情 ( じじょう ) について見 ( み ) ていきましょう。
日本 ( にほん ) は雨 ( あめ ) は多 ( おお ) いけど「1人 ( ひとり ) 分 ( ぶん ) 」に分 ( わ ) けると少 ( すく ) ない
みんなが生活 ( せいかつ ) の中 ( なか ) で使 ( つか ) う水 ( みず ) は、もともとは雨 ( あめ ) として降 ( ふ ) ってきたものです。そして雨 ( あめ ) の量 ( りょう ) から、自然 ( しぜん ) に蒸発 ( じょうはつ ) してしまう量 ( りょう ) と植物 ( しょくぶつ ) が吸 ( す ) って空気 ( くうき ) 中 ( ちゅう ) に出 ( だ ) す量 ( りょう ) (蒸 ( じょう ) 発散 ( はっさん ) 量 ( りょう ) )を引 ( ひ ) いたものが、計算 ( けいさん ) 上 ( じょう ) の人間 ( にんげん ) が使 ( つか ) える水 ( みず ) の量 ( りょう ) (賦 ( ふ ) 存 ( そん ) 量 ( りょう ) )となります。それぞれ日本 ( にほん ) での量 ( りょう ) はどうなっているか、国土交通省 ( こくどこうつうしょう ) 水 ( みず ) 管理 ( かんり ) ・国土 ( こくど ) 保全 ( ほぜん ) 局 ( きょく ) 水資源 ( みずしげん ) 部 ( ぶ ) の「令和 ( れいわ ) 4年 ( ねん ) 日本 ( にほん ) の水資源 ( みずしげん ) の概況 ( がいきょう ) 」をもとに、具体的 ( ぐたいてき ) な数字 ( すうじ ) を見 ( み ) てみます。
日本( にほん ) は世界( せかい ) でも雨( あめ ) がたくさん降( ふ ) る地域( ちいき ) にあって、1年( ねん ) 間( かん ) の降水( こうすい ) 量( りょう ) はおよそ1700mmです。これは世界( せかい ) 平均( へいきん ) 805mmの2倍( ばい ) ほどになります。ただ、この降水( こうすい ) 量( りょう ) をもとに1人( ひとり ) 当( あ ) たりの降水( こうすい ) 量( りょう ) を計算( けいさん ) すると、日本( にほん ) はおよそ5000㎥(お風呂 ( ふろ ) の浴槽 ( よくそう ) でおよそ2万 ( まん ) 5000杯 ( ばい ) 分 ( ぶん ) )で、じつは世界( せかい ) 平均( へいきん ) 20000㎥の4分( ふん ) の1ほどしかありません。
計算( けいさん ) 上( じょう ) で使( つか ) える量( りょう ) はどうでしょうか。日本( にほん ) 全体( ぜんたい ) の使( つか ) える量( りょう ) は、1年( ねん ) 間( かん ) でおよそ4300億( おく ) ㎥あり、これを1人( ひとり ) 当( あ ) たりに分( わ ) けるとおよそ3400㎥です。1人( ひとり ) 当( あ ) たりの量( りょう ) は、1700㎥以上( いじょう ) あれば水( みず ) に不便( ふべん ) を感( かん ) じないとされていて、この目安( めやす ) の2倍( ばい ) はあります。ただし世界( せかい ) の平均( へいきん ) は7100㎥で、その半分( はんぶん ) にも満( み ) たない量( りょう ) です。
日本( にほん ) では、雨( あめ ) は世界( せかい ) 平均( へいきん ) より多( おお ) く降( ふ ) ります。しかし国( くに ) の面積( めんせき ) は狭( せま ) くて人( ひと ) がたくさん住( す ) んでいるので、「1人( ひとり ) 分( ぶん ) 」に分( わ ) けると、水不足( みずぶそく ) になるほどではないが世界( せかい ) 平均( へいきん ) と比( くら ) べるとじつは水資源( みずしげん ) の少( すく ) ない国( くに ) ということになります。
現実( げんじつ ) の雨( あめ ) は、みんなが水( みず ) を使( つか ) うのにあわせて降( ふ ) ってくれるわけではなく、その年( とし ) ごとに降( ふ ) る量( りょう ) は変( か ) わる上( うえ ) に、季節( きせつ ) や地域( ちいき ) によってもバラツキがあります。日本( にほん ) 国内( こくない ) でもその差( さ ) はあきらかで、1人( ひとり ) 当( あ ) たりの計算( けいさん ) 上( じょう ) の使( つか ) える量( りょう ) をみると、北海道( ほっかいどう ) は1万( まん ) 286㎥で世界( せかい ) 平均( へいきん ) 以上( いじょう ) あります。それに対( たい ) し、関東( かんとう ) 地方( ちほう ) は849㎥で、水( みず ) に不便( ふべん ) を感( かん ) じない目安( めやす ) の半分( はんぶん ) しかありません。それでも水( みず ) に困( こま ) らないのは、降( ふ ) った雨( あめ ) や川( かわ ) の水( みず ) などを貯( た ) めておけるダム貯水池( ちょすいち ) や、水( みず ) がたくさんある地域( ちいき ) と水( みず ) が少( すく ) ない地域( ちいき ) をつなぐ水路( すいろ ) 、水( みず ) をきれいにする浄水場( じょうすいじょう ) 、各( かく ) 家庭( かてい ) に届( とど ) ける水道( すいどう ) などの社会( しゃかい ) の仕組( しく ) みを整( ととの ) えてきたおかげです。
「飲 ( の ) む」より「洗 ( あら ) う」に100倍 ( ばい ) 多 ( おお ) く使 ( つか ) う
それでは、日本 ( にほん ) で実際 ( じっさい ) にどれくらいの量 ( りょう ) の水 ( みず ) が使 ( つか ) われているのか見 ( み ) てみましょう。
水( みず ) の使( つか ) い道( みち ) は、おもに3つに分( わ ) けられます。農業( のうぎょう ) 用水( ようすい ) 、工業( こうぎょう ) 用水( ようすい ) 、生活( せいかつ ) 用水( ようすい ) です。それぞれ日本( にほん ) 全体( ぜんたい ) で1年( ねん ) 間( かん ) に使( つか ) っている量( りょう ) は、農業( のうぎょう ) 用水( ようすい ) 533億( おく ) ㎥、工業( こうぎょう ) 用水( ようすい ) 103億( おく ) ㎥、生活( せいかつ ) 用水( ようすい ) 148億( おく ) ㎥。日本( にほん ) で使( つか ) われている水( みず ) の合計( ごうけい ) はおよそ785億( おく ) ㎥です。これは日本 ( にほん ) 全体 ( ぜんたい ) で使 ( つか ) える計算 ( けいさん ) 上 ( じょう ) の水 ( みず ) の量 ( りょう ) 4300億( おく ) ㎥の5分( ふん ) の1ほどにおさまっている上( うえ ) に、近年( きんねん ) は減( へ ) ってきています。全体( ぜんたい ) の7割( わり ) ほどが、食料( しょくりょう ) をつくるために使( つか ) われていることになります。
みんなが普段( ふだん ) の生活( せいかつ ) で使( つか ) っているのは生活( せいかつ ) 用水( ようすい ) です。1人( ひとり ) 当( あ ) たりの1日( にち ) に使( つか ) っている量( りょう ) は、飲( の ) み水( みず ) に2~3L、お風呂( ふろ ) や洗濯( せんたく ) などに200~300Lといわれます。生( い ) き物( もの ) として必要( ひつよう ) な「飲( の ) む」ことの100倍( ばい ) もの量( りょう ) を、体( からだ ) や衣類( いるい ) 、食材( しょくざい ) を「洗( あら ) う」という、清潔( せいけつ ) で、快適( かいてき ) で、文化的( ぶんかてき ) な生活( せいかつ ) を送( おく ) るために使( つか ) っているのです。しかも、水( みず ) は1Lで1kgの重( おも ) さがあり、300Lなら300kg。それほどの重( おも ) い水( みず ) を、自分( じぶん ) で運( はこ ) ぶことなく家( いえ ) の蛇口( じゃぐち ) をひねるだけで使( つか ) えているのです。
大量 ( たいりょう ) の水 ( みず ) を輸入 ( ゆにゅう ) ?バーチャルウォーター
みんなが日々 ( ひび ) 使 ( つか ) っているのは、日本 ( にほん ) 国内 ( こくない ) の水 ( みず ) だけではないという考 ( かんが ) え方 ( かた ) があります。バーチャルウォーター(仮想 ( かそう ) 水 ( すい ) )といって、日本 ( にほん ) が輸入 ( ゆにゅう ) しているものをつくるのに生産 ( せいさん ) 国 ( こく ) で使 ( つか ) われた水 ( みず ) のことです。たとえば、食料 ( しょくりょう ) を輸入 ( ゆにゅう ) することは、それをつくるのに使 ( つか ) った生産 ( せいさん ) 地 ( ち ) の水 ( みず ) を輸入 ( ゆにゅう ) するのと同 ( おな ) じだという考 ( かんが ) え方 ( かた ) です。日本 ( にほん ) では1日 ( にち ) の食事 ( しょくじ ) で、2000~3000Lの水 ( みず ) を使 ( つか ) ってつくられた食料 ( しょくりょう ) を食 ( た ) べています。食料自給 ( しょくりょうじきゅう ) 率 ( りつ ) がおよそ40%の日本 ( にほん ) では、大量 ( たいりょう ) の食料 ( しょくりょう ) を、つまり大量 ( たいりょう ) のバーチャルウォーターを輸入 ( ゆにゅう ) しています。2000年 ( ねん ) のデータでは日本 ( にほん ) のバーチャルウォーターは640億 ( おく ) ㎥と計算 ( けいさん ) されていて、日本 ( にほん ) 国内 ( こくない ) で食料 ( しょくりょう ) 生産 ( せいさん ) のために使 ( つか ) う水 ( みず ) の量 ( りょう ) とほぼ同 ( おな ) じ量 ( りょう ) でした。みんなの生活 ( せいかつ ) が、世界 ( せかい ) の水 ( みず ) によって支 ( ささ ) えられていることを理解 ( りかい ) できるデータです。
日本 ( にほん ) のバーチャルウォーター輸入 ( ゆにゅう ) 量 ( りょう ) (2000年 ( ねん ) 、沖 ( おき ) 大幹 ( たいかん ) さん提供 ( ていきょう ) )
バーチャルウォーターは、よく「生産( せいさん ) 国( こく ) の水( みず ) を奪( うば ) っている」という意味合( いみあ ) いで語( かた ) られます。ですが、バーチャルウォーターが「多( おお ) い=悪( わる ) い」ということではありません。水( みず ) と土( と ) 地( ち ) が豊富( ほうふ ) にある地域( ちいき ) から、そうではない地域( ちいき ) へ、食料( しょくりょう ) を通( つう ) じてバーチャルウォーターが輸出( ゆしゅつ ) されるのは、効率的( こうりつてき ) なことだからです。一方( いっぽう ) で、輸出( ゆしゅつ ) 品( ひん ) をつくるために飲( の ) み水( みず ) が足( た ) りなくなるような、生産( せいさん ) 地( ち ) の生活( せいかつ ) や環境( かんきょう ) に大( おお ) きな負担( ふたん ) を与( あた ) えているケースがないかどうかは注意( ちゅうい ) する必要( ひつよう ) があるでしょう。
世界 ( せかい ) の水 ( みず ) は、人口 ( じんこう ) が増 ( ふ ) え、気候 ( きこう ) 変動 ( へんどう ) が進 ( すす ) んでも足 ( た ) りる?
ここで地球( ちきゅう ) 全体( ぜんたい ) に目( め ) を向( む ) けてみます。地球( ちきゅう ) 上( じょう ) にはおよそ14億( おく ) ㎦の水( みず ) があります。そのうち97.5%が海水( かいすい ) で、残( のこ ) る淡水( たんすい ) の中( なか ) でも川( かわ ) や湖( みずうみ ) にあって人間( にんげん ) がすぐに使( つか ) えるものは全体( ぜんたい ) の0.01%、わずか10万( まん ) ㎦です。また、地球( ちきゅう ) 上( じょう ) では、1年( ねん ) 間( かん ) で4万( まん ) 5000㎦の水( みず ) が、海( うみ ) や陸( りく ) から蒸発( じょうはつ ) して、雨( あめ ) となって陸( りく ) に降( ふ ) り、川( かわ ) から再( ふたた ) び海( うみ ) へと流( なが ) れ出( で ) るようにめぐっています。そのうち世界( せかい ) 中( じゅう ) で人間( にんげん ) が利用( りよう ) しているのは、10%ほどの4000㎦です。水( みず ) は人間( にんげん ) が使( つか ) っても、液体( えきたい ) が気体( きたい ) になったり汚( よご ) れたりはするものの、なくなってしまうものではありません。淡水( たんすい ) の量( りょう ) としては、今後( こんご ) 、世界( せかい ) の人口( じんこう ) が100億( おく ) 人( にん ) を超( こ ) えようとも十分( じゅうぶん ) に足( た ) りる量( りょう ) があるといわれています(世界( せかい ) 人口( じんこう ) は約( やく ) 80億( おく ) 人( にん ) ※2023年( ねん ) 時点( じてん ) )。
ただ、水( みず ) は世界( せかい ) 中( じゅう ) に平等( びょうどう ) にあるわけではなく、水( みず ) が豊富( ほうふ ) なところ、水( みず ) が少( すく ) ないところで地域( ちいき ) 差( さ ) があります。そのため、何( なに ) も対策( たいさく ) しなければ水不足( みずぶそく ) の地域( ちいき ) はでてしまうのです。
気候( きこう ) 変動( へんどう ) が進( すす ) めば、水( みず ) の循環( じゅんかん ) にも影響( えいきょう ) がでます。これまで以上( いじょう ) に雨( あめ ) が降( ふ ) ったり、その反対( はんたい ) にまったく雨( あめ ) が降( ふ ) らなくなったりする地域( ちいき ) がでてくると考( かんが ) えられています。日本( にほん ) でも温暖化( おんだんか ) が進( すす ) むにつれて、雨 ( あめ ) が短時間( たんじかん ) で大量( たいりょう ) に降( ふ ) るようになったり、その一方( いっぽう ) で雨( あめ ) の降( ふ ) らない日( ひ ) が増( ふ ) えたりしているのです。たとえば、大雨( おおあめ ) による洪水( こうずい ) が増( ふ ) えると、たくさんの水( みず ) がそのまま海( うみ ) へと流( なが ) れ出( で ) てしまい、使( つか ) える水( みず ) が減( へ ) ります。雨( あめ ) が降( ふ ) らなければ当然( とうぜん ) その間( あいだ ) 、使( つか ) える水( みず ) は減( へ ) り続( つづ ) けるので、水不足( みずぶそく ) になってしまう危険性( きけんせい ) は高( たか ) まるのです。
水 ( みず ) を「当 ( あ ) たり前 ( まえ ) 」と思 ( おも ) わないで
ここまで見 ( み ) てきたように世界 ( せかい ) でも日本 ( にほん ) でも水不足 ( みずぶそく ) が起 ( お ) こりえる中 ( なか ) で、わたしたちが考 ( かんが ) えたいことは何 ( なん ) でしょうか。
ひとつは、ため池 ( いけ ) や貯水池 ( ちょすいち ) 、水路 ( すいろ ) 、浄水場 ( じょうすいじょう ) 、水道管 ( すいどうかん ) など日本 ( にほん ) の社会 ( しゃかい ) を支 ( ささ ) えている水 ( みず ) の設備 ( せつび ) や仕組 ( しく ) みを守 ( まも ) っていくことが重要 ( じゅうよう ) です。いま、こういった全国 ( ぜんこく ) の水 ( みず ) に関 ( かか ) わる設備 ( せつび ) が古 ( ふる ) くなってきています。お金 ( かね ) はかかりますが、計画的 ( けいかくてき ) に新 ( あたら ) しくしていく必要 ( ひつよう ) があります。水 ( みず ) の使 ( つか ) い方 ( かた ) で気 ( き ) をつけたいのは、たとえば「出 ( だ ) しっぱなし」などで水 ( みず ) を無駄 ( むだ ) にしないこと。今日 ( きょう ) から長期間 ( ちょうきかん ) 、雨 ( あめ ) が降 ( ふ ) らないということもありえます。一方 ( いっぽう ) で、水 ( みず ) を使 ( つか ) うことで暮 ( く ) らしを豊 ( ゆた ) かにできる一面 ( いちめん ) があります。むやみやたらと水 ( みず ) を使 ( つか ) わないようにするより、水 ( みず ) を何 ( なに ) のために使 ( つか ) うのかを意識 ( いしき ) することが大切 ( たいせつ ) です。
世界 ( せかい ) ではおよそ4人 ( にん ) に1人 ( ひとり ) が、安全 ( あんぜん ) に管理 ( かんり ) された飲 ( の ) み水 ( みず ) を得 ( え ) ることができていません。残念 ( ざんねん ) ながら、みんなが節水 ( せっすい ) した分 ( ぶん ) の水 ( みず ) を、遠 ( とお ) い外国 ( がいこく ) へ持 ( も ) って行 ( い ) くこともできません。そのような地域 ( ちいき ) では、水 ( みず ) の量 ( りょう ) が足 ( た ) りないこと以外 ( いがい ) に、水 ( みず ) を貯 ( た ) めたり、きれいにしたり、各 ( かく ) 家庭 ( かてい ) に届 ( とど ) けたりする社会 ( しゃかい ) の設備 ( せつび ) や仕組 ( しく ) みが整 ( ととの ) っていないことも問題 ( もんだい ) です。日本 ( にほん ) は水道 ( すいどう ) 水 ( すい ) をそのまま飲 ( の ) める数少 ( かずすく ) ない国 ( くに ) なので、水 ( みず ) を使 ( つか ) えるようにする技術 ( ぎじゅつ ) や資金 ( しきん ) を海外 ( かいがい ) へ提供 ( ていきょう ) することは、日本 ( にほん ) の役割 ( やくわり ) のひとつでしょう。日本 ( にほん ) で水 ( みず ) に不自由 ( ふじゆう ) しないのは、決 ( けっ ) して「当 ( あ ) たり前 ( まえ ) 」のことでありません。バーチャルウォーターなど、世界 ( せかい ) の水 ( みず ) の状況 ( じょうきょう ) とも深 ( ふか ) くつながっていることを忘 ( わす ) れないようにしましょう。
参考 ( さんこう ) 資料 ( しりょう )
取材 ( しゅざい ) 協力 ( きょうりょく ) :沖 ( おき ) 大幹 ( たいかん )
1964年( ねん ) 生( う ) まれ。東京大学( とうきょうだいがく ) 総長( そうちょう ) 特別( とくべつ ) 参与( さんよ ) 、大学院( だいがくいん ) 工学( こうがく ) 系( けい ) 研究( けんきゅう ) 科( か ) 社会( しゃかい ) 基盤( きばん ) 学( がく ) 専攻( せんこう ) 教授( きょうじゅ ) 。気象( きしょう ) 予報( よほう ) 士( し ) 。2016~21年( ねん ) には国連大学( こくれんだいがく ) 上級( じょうきゅう ) 副( ふく ) 学長( がくちょう ) 、国際連合( こくさいれんごう ) 事務( じむ ) 次長( じちょう ) 補( ほ ) を兼務( けんむ ) 。専門( せんもん ) は土木( どぼく ) 工学( こうがく ) で、特( とく ) に地球( ちきゅう ) 規模( きぼ ) の水( すい ) 文学( もんがく ) 。書籍( しょせき ) に『水( みず ) の未来( みらい ) 』(岩波( いわなみ ) 新書( しんしょ ) 、2016年( ねん ) )など。日本( にほん ) 学士院( がくしいん ) 学術( がくじゅつ ) 奨励( しょうれい ) 賞( しょう ) 、国際( こくさい ) 水( すい ) 文学( もんがく ) 賞( しょう ) Doogeメダル、EGU John Dalton Medal受賞( じゅしょう ) など表彰( ひょうしょう ) 多数( たすう ) 。ローマクラブ正会員( せいかいいん ) 。水文( すいもん ) ・水資源( みずしげん ) 学会( がっかい ) 会長( かいちょう ) 。
SDGs目標 ( もくひょう ) 6 もっと「水 ( みず ) 」の課題 ( かだい ) を考 ( かんが ) えてみよう
世界( せかい ) の水( みず ) を巡( めぐ ) る問題( もんだい ) は「量( りょう ) 」のほかにもあります。たとえば、安全( あんぜん ) に飲( の ) めるかどうかなどの「質( しつ ) 」の問題( もんだい ) や、水道( すいどう ) 設備( せつび ) などの「仕組( しく ) み」の問題( もんだい ) 、その仕組( しく ) みを整( ととの ) えられない経済的( けいざいてき ) な問題( もんだい ) もあります。そして水( みず ) の問題( もんだい ) は、健康( けんこう ) ・衛生面( えいせいめん ) の問題( もんだい ) や、子( こ ) どもの教育( きょういく ) の問題( もんだい ) ともつながっています。SDGs目標( もくひょう ) 6「安全( あんぜん ) な水( みず ) とトイレを世界( せかい ) 中( ちゅう ) に」について、ぜひ機会( きかい ) を見( み ) つけて、もっと調( しら ) べてみましょう。
まんがとクイズでよくわかる!なるほど『SDGs』
水 ( みず ) の問題 ( もんだい ) をふくめて、SDGsについて、まんがとクイズを使 ( つか ) って、みんなが楽 ( たの ) しく、そして効果的 ( こうかてき ) に学 ( まな ) べる本 ( ほん ) を紹介 ( しょうかい ) します。『まんがとクイズでよくわかる!なるほど『SDGs』』(ワン・パブリッシング)は、17の目標 ( もくひょう ) すべてについて、入 ( い ) り口 ( ぐち ) としてみんなと同年代 ( どうねんだい ) の小学生 ( しょうがくせい ) を主人公 ( しゅじんこう ) としたまんがを用意 ( ようい ) 。そして、お友 ( とも ) だちにも出 ( だ ) したくなるようなクイズを出題 ( しゅつだい ) しています。さらに、SDGsの課題 ( かだい ) 解決 ( かいけつ ) に向 ( む ) けての取 ( と ) り組 ( く ) みや自由 ( じゆう ) 研究 ( けんきゅう ) などに活用 ( かつよう ) できる研究 ( けんきゅう ) テーマ例 ( れい ) ものっているので、学 ( まな ) びを深 ( ふか ) めつつ、すぐに自分 ( じぶん ) も行動 ( こうどう ) に移 ( うつ ) せるような一冊 ( さつ ) になっています。今回 ( こんかい ) 扱 ( あつか ) った水 ( みず ) 問題 ( もんだい ) を取 ( と ) り上 ( あ ) げたページを例 ( れい ) に、中身 ( なかみ ) を少 ( すこ ) し見 ( み ) てみましょう。
身 ( み ) の回 ( まわ ) りにあるSDGsの課題 ( かだい ) をまんがで発見 ( はっけん ) !
まず身近 ( みぢか ) にあるSDGsの課題 ( かだい ) を発見 ( はっけん ) するためのまんがを用意 ( ようい ) しています。主人公 ( しゅじんこう ) は、みんなと年齢 ( ねんれい ) も日常 ( にちじょう ) 生活 ( せいかつ ) も近 ( ちか ) い小学生 ( しょうがくせい ) の「空 ( そら ) 」たち。きっと空 ( そら ) たちを通 ( つう ) じて「そうそう」「あるある」という思 ( おも ) いとともに、じつはSDGsの課題 ( かだい ) が、自分 ( じぶん ) の身 ( み ) の回 ( まわ ) りにあることに気 ( き ) づけるはずです。そして、まんがの次 ( つぎ ) には、課題 ( かだい ) についての解説 ( かいせつ ) ページが続 ( つづ ) き、しっかりと問題点 ( もんだいてん ) や原因 ( げんいん ) などを学 ( まな ) ぶことができます。
おどろきあるクイズで、もっと知 ( し ) りたくなる!
SDGsの目標 ( もくひょう ) ごとに3問 ( もん ) ずつ、全部 ( ぜんぶ ) で51問 ( もん ) のクイズを出 ( だ ) しています。答 ( こた ) えにおどろくような問題 ( もんだい ) ばかりで、クイズに挑戦 ( ちょうせん ) して楽 ( たの ) しみながら、SDGsの課題 ( かだい ) の重大 ( じゅうだい ) さも感 ( かん ) じられるはず。お友 ( とも ) だちや家族 ( かぞく ) にも出題 ( しゅつだい ) してみよう!
課題 ( かだい ) 解決 ( かいけつ ) へすぐにチャレンジできる!
まんが、課題 ( かだい ) の解説 ( かいせつ ) 、クイズと答 ( こた ) えを順番 ( じゅんばん ) に読 ( よ ) んで、詳 ( くわ ) しく学 ( まな ) んできたあとは「いますぐできる!?世界 ( せかい ) を変 ( か ) えるSDGsアクションにチャレンジ」ページです。学 ( まな ) んだ課題 ( かだい ) について、みんなでも挑戦 ( ちょうせん ) できる、解決 ( かいけつ ) へ向 ( む ) けた取 ( と ) り組 ( く ) み例 ( れい ) を紹介 ( しょうかい ) しています。本 ( ほん ) のいちばん最後 ( さいご ) には、自由 ( じゆう ) 研究 ( けんきゅう ) に活用 ( かつよう ) できるSDGsの研究 ( けんきゅう ) テーマを、「調 ( しら ) べ学習 ( がくしゅう ) 」「実験 ( じっけん ) 」「工作 ( こうさく ) 」「観察 ( かんさつ ) 」の4つのカテゴリーに分 ( わ ) けて紹介 ( しょうかい ) していて、学 ( まな ) んだことをすぐに行動 ( こうどう ) に生 ( い ) かせるような仕組 ( しく ) みになっています。
まんがとクイズでよくわかる!なるほど『SDGs』購入 ( こうにゅう ) はこちら
まんが「地球 ( ちきゅう ) 防衛 ( ぼうえい ) 隊 ( たい ) SDGs」
学研 ( がっけん ) キッズネット上 ( じょう ) では、まんが「地球 ( ちきゅう ) 防衛 ( ぼうえい ) 隊 ( たい ) SDGs」も連載 ( れんさい ) 中 ( ちゅう ) です。『まんがとクイズでよくわかる!なるほど『SDGs』』にも登場 ( とうじょう ) する空 ( そら ) たちと一緒 ( いっしょ ) に、SDGsを基本 ( きほん ) から学 ( まな ) べます。水 ( みず ) に関連 ( かんれん ) したSDGs目標 ( もくひょう ) ⑥について、2話 ( わ ) にわたって扱 ( あつか ) っていますので、ぜひ見 ( み ) てみてください。
まんが「地球 ( ちきゅう ) 防衛 ( ぼうえい ) 隊 ( たい ) SDGs」第 ( だい ) 16話 ( わ ) 水 ( みず ) は当 ( あ ) たり前 ( まえ ) ?①
まんが「地球 ( ちきゅう ) 防衛 ( ぼうえい ) 隊 ( たい ) SDGs」第 ( だい ) 17話 ( わ ) 水 ( みず ) は当 ( あ ) たり前 ( まえ ) ?②