生活道路の最高時速、9月1日から30キロに 通学路の事故を防ぐには
速度をおさえやすくする構造物(三角の部分など)をつけ、横断歩道と組み合わせた道路=兵庫県明石市 国土交通省提供 ※画像の一部を加工しています
「車が生活道路を通るときのスピードは、最高で時速30キロ」。こんなルールが9月1日からとり入れられました。生活道路は、住宅街などにあるせまい道のことで、通学路になっている場合もあります。これまで生活道路の最高速度は時速60キロでしたが、速度を引き下げることで交通事故を減らすのがねらいです。
車道との区別がない道 より安全に歩けるように
生活道路は一般的に、車の通行区分を示す「中央線」がない道などをさします。いまは、道路標識などがない生活道路の法定速度は時速60キロです。しかし、生活道路は車道と歩道の区別がない場所や、見通しが悪い場所が多いことなどから、交通事故につながる危険があります。
法定速度
特に子どもやお年寄りが交通事故に巻きこまれることが少なくありません。警察庁によると、2025年の生活道路(道のはばが5.5メートルに満たない道路)で起きた交通事故で、亡くなったりけがをしたりした人は7万3092人。そのうち、小学生は3131人でした。
なぜ時速30キロなのでしょう。自動車が時速30キロをこえると、交通事故のとき歩行者が亡くなる割合が急に高くなる傾向があるからです。
中央線がある道の法定速度はこれまで通り時速60キロなど、今回で、すべての道路が時速30キロになるわけではありません。ただ、安全に対する意識が高まると期待されます。子どもたちも交通ルールを守り、周りに注意して歩くことが大切です。国土交通省が警察庁と協力し、スピードが出にくい構造物を道路につける取り組みも進めています。
授業や教科書では身の回りの安全、どう守る
交通安全は学校生活でもさまざまな場面で取り上げられますが、教科学習では、5年の保健で「交通事故の防止」をテーマにくわしく学びます。
教科書ではイラストや写真をもとに、「どんな危険があるか」「どうしたら交通事故を防げるか」を、身近な生活の場面をふり返ったり、資料をもとに考えたりするようにうながしています。
また通学路のグリーンベルトや、反射材がなぜ交通事故を防ぐために役立つのかを話し合って気づいたことを書きこむ、自動車や自転車の特性の理解をうながす、といった教科書もあります。
道路の形を変えて「ゆっくり」を期待
生活道路の安全を守るため、進められているのが「ゾーン30」と「ゾーン30プラス」と呼ばれる対策です。
ゾーン30は、区域を決め、その中の最高速度を時速30キロに定めます。ゾーン30プラスは、ゾーン30の取り組みに加え、速度をおさえるための構造物を設けるなどして安全な環境をつくります。
その一つが「ハンプ」と呼ばれる構造物です。道路の一部を盛り上げます。車がハンプを通るとき上下にゆれるため、運転する人が速度を落とすと考えられます。
「スムーズ横断歩道」は、ハンプと横断歩道を組み合わせたものです。横断歩道を車道の面より盛り上げることで、歩道と横断歩道を同じ高さにします。車が横断歩道を通り過ぎるとき、子どももドライバーから見つけやすくなること、ハンプで速度が下がることが期待されます。
ゾーン30プラス
ハンプ

国土交通省提供 ※画像の一部を加工しています
ハンプ+横断歩道=スムーズ横断歩道

国土交通省提供
車が通るはばをせまくする「狭さく」、一定区間を直線的に折れ曲がらせたりカーブさせたりする「シケイン」もあります。運転する人がスピードを落とすことを期待します。
も得て、どうしたら生活道路を安心して利用できるかをみんなで考えます。今年3月末現在、全国で331地区が、ゾーン30プラスをとり入れています。
狭さく

国土交通省提供 ※画像の一部を加工しています
シケイン

一定区間の道路をカーブさせ、車の速度をおさえる構造です 国土交通省提供

一定区間の道路を直線的に折れ曲がらせて、車の速度をおさえます 国土交通省提供
地域の人の協力得ながら
ゾーン30プラスについては、国や自治体だけでなく、地域の人の協力も得て、どうしたら生活道路を安心して利用できるかをみんなで考えます。今年3月末現在、全国で331地区が、ゾーン30プラスをとり入れています。
「安全性が向上した」 横浜市南区
神奈川県横浜市南区では、ゾーン30プラスとしてのハンプや狭さくが設けられました。ゾーン30プラスとなる前は、この地域では交通事故が起きていました。小学校もあり、速度をおさえる対策が効果があると考えられました。対策をした後、地域の人へのアンケートでは「安全性が向上した」と答えた人が多かったといいます。
施工前と施工後
神奈川県横浜市南区の安全対策。
写真は国土交通省提供
気をつける車増えた 熊本市東区
熊本市東区でもスムーズ横断歩道やハンプを設置しました。地域の人から「以前は時速60キロくらいで小学校の前を走る車があったが、ハンプを設置したことで、そのような車がなくなった」「横断歩道で人が待っていると止まる車が多くなったように感じる」などの意見があったそうです。
国土交通省道路局の担当者は「安心して道を利用するには、一人ひとりがルールを守ることが大切です。ふだん通る道の交通安全対策にも関心を寄せてもらえるとうれしい」と話します。
家族と話そう
取材・文/前田奈津子(朝日小学生新聞)
(朝日小学生新聞2026年8月27日付)












