ノーベル賞、今年はだれに? 自然科学3賞の受賞者が多い日本
ノーベル賞の授賞式。化学賞のメダルと賞状を受け取った吉野彰さん=2019年12月10日、スウェーデン・ストックホルム 朝日新聞社
10月5日から発表 6分野で人類に利益をあたえた人に
スウェーデンの科学者・発明家アルフレッド・ノーベルは「人類に最大の利益をあたえた5分野に賞をおくる」「国籍を問わず、最も価値のある人に授与してほしい」という遺言を残しました。この言葉をもとにつくられたのがノーベル賞です。
1901年から、生理学・医学、物理学、化学、文学、平和の五つの賞が始まりました。1969年に経済学が追加され、今は6分野です。
日本で最初のノーベル賞は、1949年に物理学賞がおくられた湯川秀樹博士。自然科学3賞と呼ばれる生理学・医学、物理学、化学の分野ではこれまでに27人が受賞しました。2025年には大阪大学特別栄誉教授の坂口志文さんに生理学・医学賞、京都大学特別教授の北川進さんに化学賞がおくられました。
受賞者がどのように選ばれたかは、すぐには明らかにならず、受賞の50年後に公表されます。また、それぞれの賞の正式な候補者が発表されるわけではありません。けれども世界中が注目する賞なので、毎年多くのメディアなどが受賞者を予想しています。
近年では環境問題や、病気から体を守る免疫、またAI(人工知能)をめぐる発見や発明などの受賞が増えています。
2025年は日本から2人が受賞

生理学・医学賞 大阪大学特別栄誉教授 坂口志文さん
「制御性T細胞」を発見。細菌やウイルスをやっつけて体を守るしくみである免疫が、まちがえて体に悪くないものも攻撃してしまうことに、ブレーキをかける細胞です。
化学賞 京都大学特別教授 北川進さん
ねらった気体を取りこめる「金属有機構造体(MOF)」を開発。地球温暖化の原因になる二酸化炭素(CO₂)の回収など、環境問題の解決につながる可能性があります。
2026年のノーベル賞発表の日程
10月5日 生理学・医学賞
10月6日 物理学賞
10月7日 化学賞
10月8日 文学賞
10月9日 平和賞
10月12日 経済学賞
有機発光ダイオードの研究「有力」
「光格子時計」の発明などにも注目集まる
10月5日から7日にかけて、自然科学3賞が発表されます。イギリスの学術情報会社が9月17日、3賞と経済学賞の新たな有力候補22人を発表しました。日本からは、九州大学主幹教授の安達千波矢さんが、物理学分野の候補にあがりました。
安達さんは薄型テレビなどに使われている技術「有機発光ダイオード(EL)」の研究に取り組んでいます。2012年に、金属を使わず、炭素や水素などでできた純粋な有機物を使って、効率的に発光できる有機ELの開発に成功しました。スマートフォンの画面などに応用されているといいます。

ほかに、超高精度の原子時計「光格子時計」を発明した東京大学教授の香取秀俊さんや、うすくて曲げやすい「ペロブスカイト太陽電池」の開発にたずさわった桐蔭横浜大学特任教授の宮坂力さんたちも、注目が集まっています。

はば広い活動が対象になる平和賞
10月8日には文学賞が発表されます。これまで日本人で受賞したのは1968年の川端康成さんと、1994年の大江健三郎さんの2人。2017年に受賞したイギリスの作家、カズオ・イシグロさんは長崎市生まれで、『遠い山なみの光』など日本を舞台にした作品もあります。
9日は平和賞の発表です。紛争の解決や、人権や環境を守る活動など、はば広い分野の人や団体におくられてきました。2024年には広島・長崎の原爆被害者でつくる「日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)」におくられました。日本の個人や団体の平和賞は、「非核三原則」を表明した佐藤栄作元首相が1974年に受賞して以来、2度目でした。

2014年には、パキスタン出身のマララ・ユスフザイさんが、これまでで最も若い17歳で受賞しました。女子教育の権利をうったえました。
12日に発表される経済学賞は、経済成長のしくみや貧困問題に関する研究などにおくられてきました。これまで日本人の受賞者はいません。
コレも知っとく?
身近に役立つ功績も
ノーベル賞を受けた功績の中には、私たちの生活に身近になったものも少なくありません。
A・B・Oの組み合わせからなる「血液型」は、オーストリアの研究者が20世紀初めに発見。「ビタミンC」も、イギリスの研究者の功績で人工的に作れるようになりました。
いま世界で注目される半導体の産業は、「トランジスタ」を発明したアメリカ(米国)の3人の科学者が道を開きました。インターネット通信に欠かせない「光ファイバー」と、デジタルカメラに使われる「CCDセンサー」の開発に貢献した香港(中国)と米国の3人の研究者は、2009年に物理学賞を共同で受賞しました。
宇宙から届く有害な紫外線をさえぎる「オゾン層」。フロンなどでこわされるしくみを明らかにした米国、オランダ、メキシコ出身の研究者は1995年に化学賞を受賞しました。

(朝日みつかるナビ編集長・松村大行)
(朝日学生新聞社2026年10月2日付)
