サイバー攻撃で個人情報流出あいつぐ 身を守るために子どもができることは?
朝日新聞社
企業などがサイバー攻撃を受け、私たちの名前や住所、電話番号といった個人情報がもれる被害が相次いでいます。サイバー犯罪にくわしい横浜国立大学特任准教授のインミンパパさんは「知らないリンクやファイルをむやみに開かないように」と呼びかけます。
多発の背景にAIの進化/もれた情報が悪用される心配
いま、個人情報がもれる被害が世界中で起きています。私たちに身近なところでも、コンビニのローソンや飲食店の「焼肉きんぐ」などで被害がありました。宅配便の佐川急便では、最大のべ約5323万件もの情報が流出した可能性があります。
被害は企業だけにとどまりません。9月には、デジタル庁が運用するシステムが不正アクセスを受けました。全国20府県の警察では、警察官たち約12万5千件の情報が流出した可能性もあります。
インミンパパさんは背景の一つにAI(人工知能)の進化があるといいます。これまでは人間が時間をかけて探していたセキュリティーの弱点も、AIを使えば効率よく探せるようになりました。
個人情報が流出すると、悪用されたり、犯罪に巻きこまれたりするおそれがあります。岩井コスモ証券は、サイバー攻撃によって、お客さんがしていない株の売買があったと明らかにしました。
また、本物の会社をよそおって、にせのメールが送られてくることも。「フィッシングメール」と呼ばれるもので、メールのリンクを開くと本物そっくりのにせサイトに入り、パスワードやクレジットカード情報などをぬすまれることがあります。

「本当に必要か」送る前に立ち止まる
攻撃する側の目的はさまざまです。代表的なのが、ぬすんだ情報を売ってお金を得ること。このほか、政治や企業への不満から攻撃したり、自分の技術を見せつけようとしたりする人もいます。横浜国立大学のインミンパパさんは「流出した情報は誰の手にわたるかによって、価値が変わります」と話します。

パスワード使い回し ×
情報が売られたり、悪い人の手にわたったりしたときに危険なのが、同じパスワードをいくつものサービスで使う「使い回し」です。使い回しがあると、一つのサービスから情報がもれたとき、複数のアカウントに被害がおよぶことも。「パスワードは同じものを使わず、パターンも予測されないようにすることが大切」とインミンパパさん。
また、どんな情報が流出したかも重要となります。名前に生年月日や住所などが加われば、その人について分かることが増えます。インミンパパさんは個人情報をパズルに例えます。「いくつものピースが集まることで、悪用の危険性が増します」
流出したときの被害を小さくするために、普段から私たちにできることもあります。インミンパパさんが大切だと話すのは、個人情報を求められたとき、「本当に必要か」と考えることです。
例えばゲームのアカウントを登録するとき、名前や生年月日、住所などを求められることがあります。「求められたから入力するのではなく、送る前に一度立ち止まる習慣をつけてほしい」
写真をねらった犯罪に注意
必要以上に登録しない
買い物でポイントや特典をもらうため、アカウントをつくることもあります。インミンパパさんは「自分の情報は、もらえるポイントの分だけ企業にとって価値があると思ってください。(企業に悪意がなくても)必要以上に多くのサービスに登録しないことも個人情報を守ることにつながります」と話します。
もしも、あやしいメールやメッセージが届いたら、リンクを開かないことが大切です。家族や友だちから届いたものでも、その人のアカウントが悪い人に操作されている場合もあります。いつもとは何かちがうと感じたら、まわりの大人に相談しましょう。
もう一つ、インミンパパさんが注意を呼びかけるのが、写真の流出です。海外では、ゲームのアイテムなどと引きかえに、顔写真や裸の写真を求めるケースもあります。
ネット上に流出すると、知らない人に使われたり、売られたりするおそれも。インミンパパさんは「一度流出した情報を消し去るのは難しい。あやしいメールなどから、むやみに写真や個人情報を送らないで」と話します。
コレも知っとく?
改正された個人情報保護法
AI(人工知能)の進化で危機にさらされている個人情報は、AIを「作る」うえでも重要です。7月に「個人情報保護法」が改正されました。注目されたのは、集めたデータを他の企業などにわたすときのルール変更でした。
基本的に、本人の同意を得ることが義務づけられていますが、改正した法律では、AIのモデルや統計の情報を作る目的がある場合に限って、不要とする特例をもりこみました。大量のデータを集めやすくして、国産AIを作るときの「学習」につなげるといったねらいです。
もっとも、病歴や犯罪歴など、気を配りたい情報も同意が不要に。国会で「こうした情報は対象から外すべき」といった反対意見が出ましたが、賛成多数で可決されました。
(朝日みつかるナビ編集長・松村大行)
家族と話そう
パスワードはサービスごとに変えているか、確かめてみよう。
取材・文/佐藤克哉(朝日小学生新聞)
(朝日小学生新聞2026年10月30日付)
