メニュー閉じる

「探究型学習」で注目される“整理・表現の力”、どう伸ばす?

「探究型学習」で注目される“整理・表現の力”、どう伸ばす?

いま、教育界で注目されている、新しい学び方があります。
それが、「探究型学習」です。教科書に沿って一から学ぶような授業形式から、「自ら学び自ら考える力」を育てる学び方へーー。
注目のキーワード「探究」と、今後いっそう求められる力について解説します。
また、それらの力をつけるためにオススメの「パソコン×自由研究コンテスト2020」を紹介します。

2022年度より高校の授業が変わる。新しい学び方「探究型学習」とは?

「探究」という言葉を、最近耳にした方も多いのではないでしょうか?
注目の理由は、2022年度から高校に新しく導入される学習指導要領の中で、「探究」と名のつく科目が一気に新設されているからです。
今後、小学校や中学校にも、従来型の授業だけではなく、探究型の授業が必修科目として加えられるのではないか、と予想されています。

こうした動きを受けて、小学生向けの探究型学習塾も、全国各地に開校し始めました。
教育に関心の高い保護者たちの間では、子どもの可能性を広げるための選択肢として、探究塾が話題になっているようです。

では、その「探究型学習」とは、一体なんなのでしょうか。
一言でいうと「自ら学び自ら考える力の育成」を狙った学び方です。
いまの子どもたちは、グローバル化・AIの普及が進んだ社会を生きていくことになります。
グローバル化によって、海外の人とも、アイデアを出し合いながら、協働して問題解決にあたらなければいけない場面が増えるでしょう。「主張するのは苦手」を超えて、文化の異なる相手ともディスカッションやプレゼンテーションをする力が求められます。
AIの普及は、さらに「ロボットにもできる単純作業」の仕事を人間から奪うことになります。
やるべき作業の指示を待つような仕事は無くなっていき、コンピュータでは処理できない難しい問題や、人間の感受性が問われる領域に、自ら取り組む人材が求められていくのです。

こうした社会的変化を見据えて、言われたことを言われたとおりにやるのではなく、自ら主体的に問題発見・解決する人材がいっそう求められています。
自分から問題を発見したり、問題を自分ごとと捉えて解決したりするには、知識だけではなく、思考力や判断力、表現力が必要。探究型学習は、これらの力を育成することに適した学習活動なのです。

自分の「?」を出発点に、自分で考えを整理し、まとめる

これまでの一般的な授業は、教科書のカリキュラムをなぞりながら、覚えるべき知識、身につけるべき技能を、順番に習得していくような形式を主としていました。
一方、探究型学習では、生徒自らが課題を設定するところに、大きな特徴があります。
自分自身の問いや興味関心をスタートに、「それを考えるのに必要な情報は何かな?」と自分で考え、集めた情報を自らの視点で意味づけし、整理し、まとめて発表するという手法です。

探究における生徒の学習の姿

「文部科学省 高等学校学習指導要領(平成 30 年告示)解説/総合的な探究の時間編」を加工して作成

――というと、小学校の「調べ学習」や「自由研究」を連想された方もいるのでは?
自分で調べたいテーマを決め、自分なりに考察を導き出す自由研究は、取り組み方次第で、まさに探究型学習にすることができるでしょう。
自分で学び、自分なりの考えをまとめて発表する力については、近年、小中学校でも重視している傾向があります。
すでに、宿題や自主学習の形で、探究型の学びを取り入れ始めている小学校も多いのです。

探究のプロセスを意識した学習活動に取り組んでいる児童生徒ほど、各教科の正答率も高い傾向にあるといいます。
教科の学習にも良い影響を及ぼしているという点でも、注目が集まっています。

―――――
「全国学力・学習状況調査の分析等において,総合的な学習の時間で探究のプロセスを意識した学習活動に取り組んでいる児童生徒ほど各教科の正答率が高い傾向にあること,探究的な学習活動に取り組んでいる児童生徒の割合が増えていることなどが明らかになっている。[「文部科学省 高等学校学習指導要領(平成 30 年告示)解説/総合的な探究の時間編」より引用]
―――――

ところが、「自由に研究して、自分の意見をまとめればいい」と言われても、すぐに手を動かせるかどうかは個人差があります。
自由研究のサポートに苦労された経験を持つ保護者の方も、いらっしゃるでしょう。
では、小学生のうちから、探究型学習に必要な力を、どのように伸ばすことができるでしょうか?

「整理・分析」と「まとめ・表現」の力を伸ばすには?

調べ学習の機会も多い小学生にとって、注目したいのは、探究型学習サイクルの後半――「整理・分析」と「まとめ・表現」のプロセスです。

探究型学習では、ただ調べるだけで終わらせるのではなく、自分なりの視点で情報を比較したり、図や表にしたりすることで、新たな学びを得ようとします。
また、人に発表することを意識してまとめることで、自分がどんなことを学んだのかを言語化できれば、次の学習にもつながりやすいはずです。

こうした「取り組んだことや結果を整理する」「誰かに伝えるというシチュエーションの中で、自分の学びをまとめ、表現する」機会に取り組むことで、子どもたちの学習のプロセスが少しずつ変化していきます。
自由研究や調べ学習の宿題の取り組み方が変われば、小学生のうちから学びを一歩深く広げることができるでしょう。

PAGETOP