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子どもが自分で大切な“こころとからだ”を守るには? 絵本編集者と考えるこれからの性教育

子どもが自分で大切な“こころとからだ”を守るには?  絵本編集者と考えるこれからの性教育

日々、SNSなどで目にする子どもの性被害やいじめのニュース。子育てをしていると、自分の子どもが一生「からだ」や「こころ」に傷を負うことのないようにと、祈るような気持ちになりますよね。

子どもが性犯罪の被害者(または加害者)にならないために、あるいは望まない妊娠をしたりさせたりしないために、子どもが小さいうちから「からだ」の大切さを教えたい。よい人間関係に恵まれた豊かな人生を送ってほしいから、子どもの「こころ」をまっすぐに育む方法を知りたい。そんなふうに考える保護者の方は多いのではないでしょうか。

幼少期から子ども自身に「からだ」と「こころ」について向き合い考えてもらうために、できることはあるのでしょうか。絵本の編集者である阿部桂子さん、染谷みどりさんの2名と一緒に考えます。

親子でこころやからだの大切さについて考える

小学生のお子さんを育てる阿部さんは、育児をする中で子どもの心との向き合い方に悩んだ経験があるそう。

阿部さん「私は今、子育て中なのですが、子どもの気持ちの面でどう対応していいのか悩む場面は多いので、そのときに親が子どもとどうかかわっていったらよいのかのヒントを得られるような本があればいいのになあと思っていました。

感情は成長すれば自然と身に着くというよりは、周囲の人や置かれている環境を通して育まれていくものだと聞いたので、わたし自身も感情の発達についての知識を深めたいなと。

つまり、豊かな「こころ」を育むためには、親子の適切な関わり、親からのサポートも大切。
そして、とくに幼児期は、『うれしい』『おこる』『かなしい』『こわい』の4つの基本感情の理解が深まると言われています。

その4つの感情について子ども自身が理解をして、どういうふうに自分の気持ちを表現したり、相手に伝えたりしていくのがいいか、親子で話し合って、深めていけたらいいのではないかと思います」

一方、染谷さんは大学時代の学びから、子どもへの性教育の必要性を強く感じているといいます。

染谷さん「大学では「性教育」について学んでいたのですが、今の子どもたちに性教育が足りていないということを聞いていました。
性教育と聞くとと、体の機能とか、妊娠とか避妊とか、そういうところばかり着目されがちですが、本来の性教育はそれ以外の部分、つまり人権教育に近いような部分を含めてきちんと教えていく必要があるんですよね。なので、従来の性教育と思われていること以外の部分も、これからの子どもたちにはしっかりと教えていく必要があるのかなと思います。

親世代の方はこの本質的な性教育を受けられていなかった方が多いかと思います。またテーマもセンシティブなので、子どもにどう話していいのかわからないと悩まれている方も多いと思うんですが、今はそういったことを一緒に学べる絵本などもたくさん出ています。絵本を通して親子で一緒に話す機会を作ってみるのもいいかもしれませんね」

阿部さんは、「スポンジのように何でも吸収する幼児期だからこそ、種まきが大切」だと話します。

阿部さん「癇癪を起したときの対処法も、子どもによって対応はさまざま。
「こころ」を育むための方法ってひとつじゃないと思うんです。あまり、学ぼう学ばせようとしすぎず、「こころ」や「からだ」について自然体でまずは親子で話すことから始めてみたらいいかなと思います」

染谷さん「今はよく伝わらなくても、何年かしたあとに『あれはああいう意味だったんだな』とか、『あのとき言われたことが今すごく響くな』と子どもたちに思ってもらえるといいですよね」

筆者も、小学生の息子(小2・小5)を育てる親として、「こころ」や「からだ」の大切さを教える機会をどう持ったらいいのか悩むこともあります。
わが子の場合は学校で起きたことや日ごろ感じていることについて自分から何でも話してくれるタイプではないため、絵本やアニメ作品のような子どもが興味を持てるコンテンツを介して親子で話す機会を持つのが有効だったように思います。
お二人が話すように、あまり「子どもに学びを!」と気負いすぎずに親子で一緒に考えてみる、話してみる…という姿勢が大切なのかもしれません。

絵本を通じて、こころとからだの大切さを理解していこう

そんなお二人は、『おしえて!サンリオキャラクターズ』という、幼児期に身に着けておきたい知識を、サンリオキャラクターと一緒に学べる絵本シリーズを担当。阿部さんは幼児期の「こころ」をテーマにした絵本を、染谷さんは「からだ」をテーマにした絵本を手掛けています。

阿部さん「子どもが一人で読めるものを求めている保護者の方もいらっしゃるかもしれませんが、今回は親子で関わる時間のツールとして、絵本を使って本の中で親子の掛け合いができるようなものを目指しました。

お話の中で立ち止まって、お母さんお父さんから質問を投げかけられたことに子どもが自分で考えて答えるとか。“すまいることば”という、自分が言ってもうれしい、相手から言われてもうれしい言葉を親子で考えて、キャラクターにその言葉を使って話しかけてみようとか。そういう、親子で楽しめるところを大切に意識して作っています。

私も子どもと一緒によく読んでいますが、例えば『あなたがうれしいきもちになるのはどんなとき?』の質問ではど、何度読んでいてもいつも子どもからは違った答えが出てきたりして、盛り上がるんですよ。そんなふうに、お子さんと一緒に楽しんでもらえたらうれしいです」

染谷さん「私は以前から子ども向けの性教育の絵本を作りたいと思って企画を考えてはいたんですが、子どもにわかりやすく伝えられるようなものがなかなかできあがらなくて。

そんなときにサンリオキャラクターと性教育のテーマが合うんじゃないかなと思いました。
プライベートパーツの大切さや、『みんな違ってみんな素敵なんだよ』『それぞれが守られるべき大切な存在だから、尊重し合おうね』といったメッセージを盛り込んでいます。
絵はすべてオリジナルデザインで、ふんわり、可愛らしく仕上がっているので、ぜひ注目してください」

阿部さん「学びの絵本ではありますが、説教くさくならないように、というのも注意しました。可愛いキャラクターをきっかけに、本当に気軽な感じで手に取ってもらえたらうれしいですね」

サンリオというと、未就学児や女児向けと思いがちですが、我が家の小学生男児でも一緒に楽しく読める内容でした。

特に「こころ」をテーマにしたポムポムプリンが主役のおはなしは、阿部さんが「親子で楽しめるところを意識した」と話す通り、一緒に盛り上がれて親子のコミュニケーションツールにも。「からだ」をテーマにしたマイメロディのおはなしは、プライベートパーツの大切さについて日頃から触れる以外あまり性教育らしいことをしてこなかった我が家にとって、まさに最初の一歩となるような絵本でした。

ぜひ、みなさんもサンリオキャラクターたちと一緒に、「こころ」や「からだ」についての子どもたちの学びに寄り添ってみてはいかがでしょうか?

うれしいきもち中面
にっこり可愛らしいポムポムプリンといっしょに、『うれしい』を伝える笑顔のレッスンをしてみよう
だいじなからだ中面
「ふんわりしたタッチにしたかった」と染谷さん。絵が可愛いからというきっかけで読むのもアリ!

『おしえて!サンリオキャラクターズシリーズ』

マイメロディが優しく教える、自分の体と心を守るためのおまもり絵本。防犯、人前でのマナー、多様性等、生きるために覚えておきたいことをぎゅっと詰め込んだ一冊です。入学前後等、防犯意識を高めたいときにおすすめの絵本。

横山洋子・監修
moco・絵

「あなたのからだをだいじにするほん」をくわしく見る

サンリオキャラクターズと一緒に、心を育てる学び絵本。ポムポムプリンのお話を通して学ぶのは、「うれしい」気持ち。「うれしい」とはどんな感情かをはじめ、気持ちを伝えることの大切さ、言葉や表情で伝える方法などを教えます。「こころ」をテーマにした絵本は、全4巻発刊予定。

浜名真以・監修
古藤ゆず・文

「いろんなきもち うれしいってなあに?」をくわしく見る

© 2025 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO.L657528
取材・文/小林麻美 写真/鈴木謙介

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