グローバルリーダーを育てるSGH(スーパーグローバルハイスクール)/知っておきたい教育用語のトリセツ【第7回】
イギリスのEU離脱やアメリカのトランプ政権の誕生など、世界の情勢がめまぐるしく変わるなか、日本はどんな影響を受けるのでしょう。「知っておきたい教育用語のトリセツ」第7回目では、そんな変化に対応し、グローバルな視野を持って活躍できる人材の育成を目的としたSGH(スーパーグローバルハイスクール)について解説します。
SGH(スーパーグローバルハイスクール)とは
社会課題に対する関心と深い教養、コミュニケーション能力、問題解決力等の国際的素養を身につけ、将来国際的に活躍できるグローバルリーダーの育成を図るという目的で、文科省が平成26年度に開始した事業のこと。
国際的に活躍できるリーダーの育成が目的
グローバル化が加速しているなか、将来、国際的に活躍できるグローバルリーダーを高校生のうちから育成する必要があるということで、始まった取り組みがSGH(スーパーグローバルハイスクール)です。
文部科学省が公表している事業概要は次のとおり。
- 【事業概要】
- 国際化を進める国内の大学を中心に、企業、国際機関等と連携を図り、グローバルな社会課題を発見・解決できる人材や、グローバルなビジネスで活躍できる人材の育成に取り組む高等学校等を「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」に指定し、質の高いカリキュラムの開発・実践やその体制整備を進める。
ようは、単に英語力を強化することが目的ではなく、グローバルな視野を持って、社会の課題を解決する活動やビジネスができる人材を、国が予算をつけて育てようという取り組みです。
2014年度から5年間、全国の高等学校から指定される
2014年度から5年間、全国から応募のあった国公私立高等学校および中高一貫教育校のなかから、指定校と準指定校のアソシエイト校が選ばれます。
2016年度までに指定されたのは
- SGH指定校123校(国立12校,公立73校,私立38校)
- SGHアソシエイト56校(国立2校,公立24校,私立30校)
です。
詳細は以下のサイトにくわしく出ていますので、ご覧ください。
スーパーグローバルハイスクール専用ホームページ指定校一覧
国内外のフィールドワークを通して、見聞を広げ、挑戦する力を育てる
では、国際的に活躍できる人材になるためには、どのような教育をすればいいのでしょうか。この事業で要素としてあげられているのが、社会課題に対する関心、深い教養、コミュニケーション能力、問題解決力などです。
そうした目的を達成するために、それぞれの学校が工夫を凝らした目標をかかげて、授業やプログラムを行っています。
たとえば、SGHの幹事校である筑波大学附属高等学校(東京都)では、10年以上前から、「アジア太平洋青少年リーダーズサミット」や「国際学術シンポジウム」などへの派遣や、海外の学校との相互交流などを続けていて、それらのプログラムへ生徒を送り出しています。
そのなかで英語力はもちろん、日本および海外の歴史文化・政治などへの理解を深めるプログラムや、表現力を身につけるためのトレーニングを積み重ね、グローバル・シチズンを育てる教育をしているそうです。
また、公文国際学園(神奈川県)では、世界各国で行なわれる模擬国連に参加。選抜者はアメリカやオランダで行なわれる大会に出席します。実際の国連で討議されている問題について、高校生が議論し、解決策を模索するなかで、国を超えた問題意識や高い言語能力が磨かれます。
他にもそれぞれの学校で、地域やそれまでの学校の特性を生かしたプログラムが行なわれています。
SGHのくわしい取り組みについては
SGH専用ホームページ
をご覧ください。
SGHのポイント
- 国際的に活躍できるリーダーの育成を目的に行なわれている事業。2014年度から5年間、全国の応募校から選定する。
- グローバルな視野を持って、社会の課題を解決する活動やビジネスができる人材を育成する。
- それぞれの学校や地域の特性を生かして、生徒の視野を広げ、問題解決力やコミュニケーション力などを伸ばすプログラムを行なう。
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