国際バカロレア(IB) 世界共通の大学入学資格。探究型の学びでグローバルに活躍できる人材を育成/知っておきたい教育用語のトリセツ【第12回】
2020年の大学入試改革を筆頭に、教育改革が進められていますが、その目的はグローバルに活躍できる力を身につけることです。さらに一歩先をいくプログラムとして、国際バカロレア(IB)の導入が進められています。「知っておきたい教育用語のトリセツ」の第12回では、その内容と現在の状況を解説します。
国際的に認められた大学入試資格
「国際バカロレア」は、スイスジュネーブに本部を置く団体、国際バカロレア機構が提供する「世界共通の大学入学資格とそれにつながる小・中・高校生の教育プログラム」のことです。英語では、「International Baccalaureate」と書き、IB(アイ・ビー)と略して呼びます。
IBには、年齢に応じて、3歳~12歳対象のPYP、11歳~16歳対象のMYP、16歳~19歳対象のDPとCPの4つの教育プログラムがあります。
IBのDP(ディプロマ・プログラム)の課程を終了後、国際バカロレア統一試験で所定の成績をとると、世界140カ国以上の大学の入学資格として認められます。国際バカロレアの認定を受けている学校は、平成29年6月1日現在、世界140以上の国・地域において4,846校と、世界的にも認定校が増えています。
IBの基本言語は、これまで英語・フランス語・スペイン語のいずれかで、日本では国語以外の授業はすべて英語で行なわなければならないためにあまり普及しなかったのですが、2015年に日本語DPの導入が決まったことで、政府は2018年までに認定校・候補校を全国で200校に増やす目標を掲げました。これにより、IBへの関心が高まり、研究会などが開かれてきました。
IB教育プログラムの目的は、国際社会で貢献できる人材の育成
IB教育プログラムのメリットは、大きく2つあります。
1つ目はIB資格が世界各国の多くの大学で正規の入学資格や受験資格として認められていること。最近は日本でも東大・京大・筑波大をはじめとする国公立大学や早稲田・慶応など有名私大がこぞってIBを入試に活用しているので、IB資格を取得した生徒は、世界と日本どちらの大学にも同時に出願することができます。
2つ目は、IB教育プログラムで、グローバルに活躍するために必要な力を身につけることができること。IB教育プログラムは、「国際的視野を持ち、よりよい平和的な世界を築くことに貢献できる人間の育成」を使命としています。そのために、人が持つ違いを理解し、自分と異なる考えの人々にもそれぞれの正しさがあると認められる国際バランス感覚を持ち、主体的に国際社会で貢献できる人材の育成を目指しています。
教育の特徴は、「教科の枠にとらわれない学び」と「先生から答えを教えてもらうのではなく、ディスカッション形式など生徒が主体的に参加する探究型の学び」です。
日本でもさまざまな形で導入が進む
国内の一条校(学校教育法の第1条に掲げられている教育施設)でIB教育プログラムのDPを導入している学校は17校(平成27年5月現在)で、卒業すると、日本の高校の卒業資格とIB資格の両方を取得できます。また、インターナショナルスクールなど一条校以外の学校は16校です。その他にも申請中の学校があります。
一方で、IB教育プログラムを教えられる教員の養成や導入にかかる学校側の費用の負担など課題も多く、2018年までに200校という目標には届いていません。
しかしIB教育プログラムの目的は、現在日本で進められている教育改革の目的にも重なっている部分が多いので、教員の養成を進めると同時に、今後はSGHやSSHとの連携を深めるなど、日本の教育との融合もはかられていくことになるでしょう。
国際バカロレア(IB)のポイント
- 「国際バカロレア」は、「世界共通の大学入試資格とそれにつながる小・中・高校生の教育プログラム」のこと。年齢に応じて、PYP、MYP、DP、CPの3つの教育プログラムがある。
- IB教育プログラムで、国際的視野にたってグローバルに活躍するために必要な力を身につけることができる。
- 国際バカロレア資格を取得した生徒は、世界140カ国以上の大学入学資格が認められる。
- 特徴は、「教科の枠にとらわれない学び」と「先生が一方的に教えるのではない、参加型の学び」で、日本の教育改革の方向性とも合致している。
用例
- 「IB」
国際バカロレアの制度全般のこと - 「IB教育プログラム」
DPなどの、生徒の年齢に応じて提供される教育プログラムやその内容のこと - 「IB資格」
国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)のこと
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