スポーツができる子は勉強もできる!?/子どもが伸びる家庭の10の習慣【第6回】
2016年の夏はリオデジャネイロオリンピック・パラリンピックで盛り上がりましたが、お子さんにもなんらかのスポーツを習わせたいと思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか? 一方で、運動ばかりやっていると勉強がおろそかになるからと運動を制限する人もいるようです。実際はどうなのでしょうか?
運動能力と学力には関係あり
この夏はリオデジャネイロオリンピック・パラリンピックで盛り上がりました。日本選手の活躍も目覚ましかったですね。
特に今回は、体操男子の白井健三選手が19歳、卓球女子の伊藤美誠選手は15歳と10代のメダリストが誕生するなど、若手選手の活躍が目立った大会でした。4年後の東京大会が楽しみです。
オリンピックをきっかけに、お子さんにもなんらかのスポーツを習わせたいと思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか? 一方で、運動ばかりやっていると勉強がおろそかになるからと運動を制限する人もいるようです。実際はどうなのでしょうか?
実は、学力と運動能力には相関関係があるということが、さまざまな研究からわかっています。
文科省の小中学校の全国都道府県学力テストの結果と体力・運動能力の調査結果を重ねると、運動ができる子どもは勉強もできるという結果が出ています。学業成績が高いほどスポーツに取り組んでいる子どもの割合が高いという調査結果もあります。
脳を鍛えるとかけっこも速くなる!?
北京オリンピック銅メダリスト・朝原宣治さんなど、スポーツ選手の動作を解析してパフォーマンスをあげるためのアドバイスをしてこられた東大大学院教授深代千之先生は
「勉強は頭で、運動は身体と考えがちだが、勉強と運動を分けて考えないほうが自然だ」
と言います。
運動能力をあげるために大切なのは、筋肉ではなく“脳”を鍛えること。
漢字や九九を覚えることとボールの投げ方の動作を覚えることは、頭の中で考えて筋肉まで届く神経の上に、脳からの電気信号が通る道筋を作るという意味では、基本的に同じです。やり方を間違えずに、根気よく何度もくりかえして脳を鍛えることで勉強も運動もできるようになるのだそうです。
以前NHKで放送された「極めびと」という番組で深代先生は、足が速くなりたいという悩みをかかえる小学生9人を指導していました。
先生によると、「足が遅い人は、走り方を知らないだけ。正しい走り方をちゃんと頭で理解すれば足が速くなる」ということで、番組ではアスリートの走り方と子どもたちの走り方を比べたり、走り方のコツを覚えるドリルを使って反復練習をしたりして、体の動かし方のコツを脳にインプットしていきます。
その結果、30分後には9人中5人のタイムがあがったのです。
運動をすると学力もあがるし、反対に脳を鍛えると運動能力もあがるということなのですね。
運動神経を伸ばすには、体を思いっきり動かす遊びがいちばん
みなさんはゴールデンエイジという言葉をきいたことがありますか?
おおよそ幼児期から小学生のころで、特に運動神経が急成長し、はじめてのスポーツもすぐ覚えてしまうと言われるくらい、運動能力が身につくピークともいえる時期です。この時期に十分に運動神経を発達させることが、その後の土台を作ります。
つまり、子ども時代にしっかりと体を動かしておくことは、後々の勉強にもいい影響を与えるということなのです。
ぜひこの時期を大切にしてほしいと思います。
だからといって、なにも特別な訓練をする必要はありません。この時期に必要なのは、さまざまな動きを経験すること。深代先生によると、特別なスポーツでなくても、たとえば鬼ごっこのようにそのへんをかけ回る、キャッチボールをするといった身近な運動で十分だそうです。
そしてなにより、子どもが自分から楽しんでやれることが大事なのです。
しかし、最近は、公園で遊ぶ子どもたちの姿をみかけることが本当に少なくなりました。子どもだけで安心して外遊びできる場所も少なく、だからといって、いつも親が付き添うわけにもいきません。どこかの教室に通わないと身体を動かすこともしにくいというのも現実です。
でも、子どもにとってはかけがえのない成長の機会です。できるだけ時間をつくって親もいっしょに外遊びを楽しんでください。
参考文献
『子どもの心のコーチング―一人で考え、一人でできる子の育て方 』(PHP文庫)
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