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食育で考えて食べる力をはぐくむ/子どもが伸びる家庭の10の習慣【第7回】

食育で考えて食べる力をはぐくむ/子どもが伸びる家庭の10の習慣【第7回】

「子どもが伸びる家庭の10の習慣」第7回目では、食育について考えてみたいと思います。

毎月19日は食育の日

皆さんは毎月食育の日があることを知っていましたか? 食育の日を知っている人はほとんどいないと思いますが、食育という言葉は知っていても、その内容をちゃんとわかっている人は多くないのではないでしょうか。

食べる力=生きる力

食べることは生きる上で欠かせないことですが、ただ食べればいいというものではないですよね。今の日本では食べるものがなくて死ぬということはほぼありません。

しかし、栄養の知識がなく、とりあえずお腹がすいたから食べるという食生活をしていれば、栄養が偏ったり、肥満になって生活習慣病になったり、反対に過度のダイエットで健康を害したりといった心配があります。毎日口にする食べ物が、わたしたちの体をつくり、体を動かすエネルギーになり、成長を支え、病気に対する抵抗力を生み出します。それだけに、健康を保つためには「考えて食べる」力が必要です。ですから食育の目的は、「食を通して人間として生きる力をはぐくむこと」。つまり、「食べる力」=「生きる力」をはぐくむことなのです。

生活習慣病の子どもが増加

しかし実際には、子どもたちに生活習慣病が増えています。生活習慣病とは、糖尿病、高血圧、心筋梗塞、脳梗塞などを言います。いずれも、長年にわたるカロリーオーバーの偏った食生活や運動不足などが原因だと言われています。子どものときの生活習慣は、その子の一生に関係しますから、正しい食生活を幼児のときから習慣づけることが大切です。

みなさんは下の図をみたことがあるでしょうか。

1日になにをどれだけ食べればよいかの目安を示した、「食事バランスガイド」です。ごはんとおかずを組み合わせた日本型食生活は、栄養のバランスがとても良いそうなので、ぜひ毎日の食事に取り入れたいですね。

厚生労働省 農林水産省決定 食事バランスガイド

食卓で「考えて食べる力」をやしなう

今、さまざまな「こ食」が問題になっています。それは、

  • 「孤食」一人で食べる
  • 「個食」自分の好きなものを各々が食べる
  • 「固食」自分の好きな、固定したメニューしか食べない
  • 「小食」食べる量が少ない
  • 「粉食」パンやパスタなど粉を使った主食を好む

といったことです。

参照

厚生労働省 子どもの食の状況
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/pdf/shokujiguide1_1.pdf

もしかしたら、みなさんの中にも、心当たりのある人がいるかもしれません。

そうはいっても、忙しい毎日の中で、毎日食にこだわることは難しいかもしれません。今は、簡単におそうざいが手に入る時代ですから、そういうものを利用するのは悪いことではありません。しかし、子どもたちの「考えて食べる力」を育てるには、やはり毎日の家での食事が基本です。

だからといって、食事がストレスになっては元も子もありません。

子どものうちは好き嫌いがあって同じものばかり食べていたとしても、お父さんやお母さんが、いろいろな食品をおいしそうに食べていれば、やがて興味を示すようになるかもしれません。

なにより、家族でいっしょに食卓を囲み、楽しく食事をすることでこころが安定し、人との基本的な信頼感を確認していくことになります。

また、目の前にある食べ物が、どこから、どのような人の手を経てやってきたのか、そしてどのように調理したかについて話をすることで、子どもたちは知らず知らずのうちにいろいろなことを学び、食べ物への感謝の気持ちもはぐくんでいくでしょう。

からだだけでなくこころの健康を保つためにも、楽しみながら「考えて食べる力」を育てることがとても大切です。

参考

政府広報オンライン
http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201605/3.html

農林水産省 「日本型食生活」のススメ
http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/nihon_gata.html

参考文献

『子どもの心のコーチング―一人で考え、一人でできる子の育て方 』(PHP文庫)

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中曽根陽子

中曽根陽子

中曽根陽子

教育ジャーナリスト

教育雑誌から経済誌、紙媒体からWeb連載まで幅広く執筆。子育て中のママたちの絶大な人気を誇るロングセラー『あそび場シリーズ』の仕掛人でもある。 “お母さんと子ども達の笑顔のために”をコンセプトに数多くの本をプロデュース。近著に『1歩先行く中学受験成功したいなら「失敗力」を育てなさい』『後悔しない中学受験』(共に晶文社)『子どもがバケる学校を探せ』(ダイヤモンド社)などがある。教育現場への豊富な取材や海外の教育視察を元に、講演活動やワークショップもおこなっており、母親自身が新しい時代をデザ インする力を育てる学びの場「Mother Quest 」も主宰している。公式サイトhttp://www.waiwainet.com/

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