自由研究のテーマは、もう決まった? 人気キット徹底比較座談会/【特集】小学生・中学生と保護者のための自由研究
人気の自由研究キットをママたちが徹底比較。科学実験や観察、工作ができる材料がひと箱にパッケージされたキットは、それさえ買えば自由研究ができる(かも?)という、素敵なおたすけグッズです。さて、その実力は?
参加者
三谷直子さん(都内在住)…大学1年生男子、小5男子、年中男子のママ
岩館里美さん(千葉県在住)…小6男子、小4男子のママ
須藤美紀さん(都内在住)…小2男子のママ
市販のキットを選ぶポイントは?
岩館:(たくさんのキットを前に)パッケージを見てるだけで、楽しくなってきますね!!
須藤:ホント。子どもたちもきっと「これが宿題じゃなければ……」って思うでしょうね。
三谷:わが家では「酸性とアルカリ性」を調べるキットで自由研究にトライしようとした年があったんですけど、結局遊んでおしまい。いざやろうと思ったら「もう試薬がなくなってるよー」って(苦笑)。
岩館:試験管とかスポイトとか、普段自宅にないアイテムがあるだけで、男子はテンションがあがりそうですもんね。
須藤:そして実験結果を「まとめる」段階で、一気にダウンしそう。酸性とアルカリ性を調べているときは面白いって思っても……。
三谷:「色が変わった! すごい」で、おしまい。でも実際にキットを使ってみて、無理して自由研究にしなくてもいいのかなって思いました。遊ぶだけでも勉強になりますし。
須藤:自分でキットを買うとしたら、選ぶポイントはどのへんになりそうですか?
岩館:内容に子どもが興味を持つかどうかはもちろんですけど、パッケージのデザインが「グッとくる」かどうかも大きいんじゃないですか?
三谷:対象年齢の表記も参考にします。年齢に対して難しすぎるものを選んでいないかとか、高学年なのに簡単すぎないかとか、チェックしたいですよね。
須藤:価格はどうですか? さっき(先輩ママの自由研究体験座談会で)博物館系のワークショップは1000円前後という話が出ましたけど、それを踏まえていくらまでなら買おうと思います?
三谷:高くても買えないことはないけれど、2000円台が限度かな? 3000円以上だと「小学生にはいかがなものか」っていう気持ちになるかも。
岩館:ちょっと「お金で解決してしまった」っていう罪悪感を抱きますよね、親が(笑)。
三谷:あと、実験をまとめるときに参考にできる解説が入っているかどうかも大事。そうじゃないと親が説明しなきゃいけないから、「自分で調べる」っていうところに結びつかなくなっちゃうんですよね。
須藤:工作系でも理想を言えば「作っておしまい」にはせずに、何かを学ぶきっかけにしてほしいですものね。でも売り場で箱を開けることはできないから、判断が難しくて…。
岩館:口コミやネットの情報をチェックしてから売り場に行けば、失敗は少ないかもしれない。
三谷:「開けてがっかり」っていうのも想定に入れておいた方がいいのかもしれないですね。それも経験!
岩館:「考察まできちんとしてほしい」っていうのは親の勝手な理想ですし(笑)。まずは、子どもが何かに興味を持つきっかけになるものを選んであげたいですよね。
須藤:たしかに! 今日は箱を開けて比較できるそうなので、さっそくひとつずつ見てみましょう。
5種類の実験に挑戦! おもしろ化学実験キット
須藤:この実験キット、Amazonで大人気なんだそうですよ。
岩館:箱は大きいけど、中身は小さい。でも試験管とか試験管立てとか漏斗とか、キットの内容だけで息子は興奮しそう。
須藤:実験内容もシンプル。スーパーボールとかスライムとか……チーズも作れるそうです。
三谷:スライム作りは子どもに人気ですよね。でもスライム作りに必要なホウ砂が大量に家にあっても困るし、こうやってキットで小分けにしてくれると助かるかもしれない。
須藤:スーパーボール作りも子どもは楽しみそうですけど、100円ショップでもキットを売ってるから「自由研究感」は薄いかも? しかも「作れた! おしまい!!」になっちゃいそうな予感がします。
三谷:解説が親切だから、スライムやスーパーボールがなぜ固まるかという仕組みも載ってはいるけど……。
岩館:内容が高度で、小学生には理解できないかもしれないですね。
三谷:しかもスーパーボールは弾まないし、スライムは作ってしばらくするとカピカピになりがち。遊びの一環として自宅でいろんな実験を試して科学に興味を持たせる、という意味ではすごくいいキットだと思います。
アリのす観察キット
岩館:「アリの巣観察」も自由研究の定番ですね!
須藤:わたしも小学生のころに学研の「科学」のふろくで試しました!!
三谷:生き物系はわが家はやったことがないんです。なんか大変そうだし、わたしが虫が苦手で。
須藤:岩館さんの息子さんは昆虫採集とかしてます?
岩館:もちろん! 落ちてる幼虫をアゲハチョウの幼虫だと思って育てたけど、蛾だった、とかよく経験してます。だから、これは興味ありますね。
須藤:「アリの巣」は解説がすごくていねいで、観察の仕方だけじゃなくて提出時のまとめ方までちゃんと載ってるのがいいですね。
三谷:子どもにもわかりやすいように図も多い。手順もしっかり書いてあります。
岩館:アリの巣を描くためのトレーシングペーパーも入ってますよ。アリさえつかまえてくれば子どもが自分で取り組んでくれそう!!
電気・磁気 RCキューブ組立キット
須藤:これも男子ママ的には無視できないアイテム。
岩館:ウチの息子は絶対好きですね!
須藤:リモコンの仕組みがわかるってパッケージには書いてありますけど。小学生だと組み立てて遊んだらおしまい、になっちゃいそうな予感が……。
岩館:その可能性は大きいと思います。わたしだったら、7月中には買わないな。8月の最終週に「どうしても時間がない!!」ってことになったら、迷わずこれを選びますけど。
三谷:(前編に当たる「先輩ママと新米ママの体験座談会」で)岩館さんの息子さんが、キットに頼らないで材料は自分で選んだっていう話があったけど、そういうガッツがない子にとっては、こうやって材料がキットの中で完結している方が便利でしょうね。
岩館:そうですね。材料を集める手間を省くには便利かも。
須藤:ただ、RCキューブの顔まで印刷されていなくてもいいのにって思いません!? ほかの子とかぶったら目も当てられない(苦笑)。
三谷:むしろ白紙でいいのに。そうすれば最低限の個性が出せるから。
須藤:用紙の裏は無地だから、こっちに絵を描けばいいのかもしれない。
岩館:そこまでするなら自由研究じゃないタイミングに、存分に遊ばせてあげたいですね。
よくわかる! お天気じっけんセット
須藤:これ、作りがちょっと輸入品っぽいですよね。説明書きが白黒なところとか、海外のオモチャみたい。
岩館:たしかに。天気を記録できる用紙が付いているけれど、全部英語表記。一カ月分あるのは気がきいてるなと思いますけど、英語がわからないと使えないですよね。
須藤:内容的には風の速さや風向き、温度を調べるところからはじまって、簡単な気圧計を作って天気予報をしてみよう、というところまでできるらしいですよ。
三谷:対象年齢6歳以上になってますけど、もし小1の子が買ってもちゃんとできるかしら!? 方位磁石の使い方を習うのは小3くらいでしたよね?
須藤:小2で東西南北の漢字は習うけど、方位磁石はまだ習ってないです。
岩館:理科で天気を勉強するのは、何年生でしたっけ?
三谷:百葉箱で気温を調べるのがたしか小4、天気の移り変わりは小5だったかと。
岩館:温度計の数字も細かく読まないといけないし、低学年にはちょっと難しそうですね。
三谷:高学年の子がしっかり調べてまとめてきたらかっこいいですよね。まとめかたで個性も出そうだし、夏は天気が変わりやすいから飽きずに取り組めそうだとは思います。
ビタミンCを調べよう (自由研究おたすけキット)
三谷:これは箱がコンパクトで見た目もシンプルなのが気に入りました!
須藤:箱の中に入ってるのはビタミンCの検出薬や試験管。自宅の冷蔵庫から食べ物を持ってきて、何にどれくらいビタミンCが入っているか実験できるようになってるんですね。
三谷:普段の生活の中にあるものを使えるから、親子ともにハードルが低いと思います。説明もとてもていねいですし。ちょっと読む分量が多いかな、と思ったけど、対象年齢が小3以上だったら大丈夫そう。
岩館:実験の手順からまとめかたまでしっかり載っているし、実験そのものの難易度もそんなに高くないですもんね。
三谷:ただ解説内の実例がちょっとくわしすぎるかも、と思いました。手順の説明がていねいなのはありがたいけど、実例がこんなにくわしく書いてあると……ねぇ?
岩館:部分的にどころか「いただきます!」ってまるごと写しちゃったりしそう(笑)。
須藤:でも、子どもたちも「ビタミンCって何なのかよくわからない」って感じでしょうし、同じキットを使っていても食材が変われば結果は変わるし。そういう意味でも自由研究向きだと思います。
Color Lab 色の科学じっけんセット
岩館:箱のデザインがすごくキレイ! 見ただけで「カワイイ!」「おもしろそう!」って思うし、女子がジャケ買いするならこれだと思います!!
須藤:黒、黄、赤(マゼンタ)、水色(シアン)の4色の組み合わせで、いろいろな色が作れるよ、っていうのを、実際に試薬や色付きのシートを使って「実験」できるみたいです。対象年齢は10歳以上。
岩館:うーん。それ、まず親が理解するのが難しいですね。実験自体は楽しそうだけど、どこに焦点を当ててまとめたらいいのか考えると、パッと浮かばない。
三谷:説明書も今まで見てきたものの中で一番文字が小さくて、ボリュームがある。色の彩度とか、内容も難易度高い気がしますね。
須藤:この色とこの色をこのバランスで混ぜると、こんな色になる、って試験管を使って実験すること自体は楽しめるけど、それ以上のところまで小学生に理解させるのはちょっと厳しそう。
岩館:これをまとめたものが学校に貼ってあったら大人も素直に「スゴイ!」って言っちゃうと思いますけど……挑戦するとしたら、女の子かなぁ?
須藤:まとめるとしても色水をそのまま持っていくことはできないから、写真を撮ってプリントして、貼って……ってことですよね?
三谷:そうなると、親がガッチリ関われないと厳しいですね。中学校や高校のレポート向けのアイテムとしておすすめしたい。
もしキットを買うならどれを選ぶ?
須藤:キットにもそれぞれ長所・短所ありましたね。お子さんの性格を考えると、この中からどれを選びます?
三谷:わたしは「ビタミンC」。次男の食がとても細くて、食事のときに栄養の話をすることが多いんです。「風邪が流行ってるからビタミンCを摂ろう」とかよく言ってるけど、じゃあ実際どんなものに含まれているんだろうね、って話をふくらませやすいので。
岩館:次男は「アリ」ですかね。実験をまとめるのは苦手なので、本人に選ばせたら「RC」になると思うけど、ほかの子とかぶっちゃいそうですね。
須藤:「アリ」は観察に時間がかかりそうですけど、そこは大丈夫ですか?
岩館:時間はかかるけど、夏休みのはじめにアリをつかまえてくるという作業だけで、まず興味を持ってくれると思います。必ずしも毎日観察しなくてもいいですし。
須藤:息子は小2だから今年挑戦できるものはなさそうですけど、高学年になったら「お天気」をやってみたい。わたし自身も小学生のとき雲の観察をやって、楽しかったんですよ。
岩館:こうやってケースに収納できて持ち歩ける、とか男子が喜びそうですよね。
須藤:気圧の概念はわからなくても、まずは予報をしてみて「当たった」「外れた」って記録しているうちに、「雨が降りそう」な雲行きがわかるようになったら、お得な感じですよね。
「自由研究は親も楽しむ」が、新定番!?
岩館:息子の学校では「自主学習」って言って、「なんでもいいからノートにまとめてきなさい」っていう宿題が週末に出るんです。これまでは漢字の反復練習とかばかりしてきたけど、いろんなキットを見ていたら、「自主学習」でキットを使ってもおもしろそうだなって思いました。
三谷:それは楽しそう。わたしもキットは自由研究に限らず、まずそれぞれの分野に興味を持たせるフックとして使ったらいいのかもって思います。
須藤:わたしはみなさんとお話しして、自由研究に親が密接に関わってるのがわが家だけじゃないってわかって、ちょっと安心しました。わたしたちが子どものころって、親は自由研究なんて全然みなかったじゃないですか?
岩館:たしかに昔は、宿題も自由研究も親が関わることなんてありませんでしたよね。でも最近は算数の宿題の丸付けとか音読チェックとか、親が子どもの宿題に関わるのが当たり前。自由研究でも、データの扱い方が高度すぎて「この子のお父さんは研究者だな」って思う子の作品を見かけたりとか。
三谷:わたしも最初は「ここまで親がやらなきゃいけないのか……」って思ってたんですけど。最近は、自由研究は親子でやっていいんだって思うようになったんです。親がすべてやっちゃうのは論外ですけど、子どもが自由研究をはじめると自分も何か研究したくなりますよね!? 夫なんて手を出したくて毎年うずうずしてる(笑)。
須藤:親子でゆっくり工作とか、夏休みじゃないとなかなかできないですもんね。
岩館:しかも自由研究が終わったときって、夏休みで一番と言ってもいいくらいの達成感がある。親子でいっしょに「やったー!」って言えるだけで、実はいいのかもしれないですね。
三谷:「てにをは」や漢字を直したり、口うるさく言ってしまいがちだけど……。
須藤:作業の途中でついつい余計な口出ししたりね(笑)。
三谷:でもそれよりも大切なのは、自由研究が完成したときに子どもが「やったー!」って思えるように導いてあげることなんだと思います。今年もおたがい、楽しみましょうね!!