クリスマス会でのセリフが覚えられない小2の娘/教えて! 陰山先生【第22回】
小2の娘がクリスマス会でする劇のセリフが覚えられなくて、悩んでいます。どうやったら、セリフを覚えることができるでしょうか。
質問
小2の娘がクリスマス会でする劇のセリフが覚えられなくて、悩んでいます。
学童クラブで恒例のクリスマス会があり、毎年子どもたちで劇をするのですが、娘が主役を演じることになりました。
最初はきれいな衣装が着られると喜んでいたのですが、「セリフがたくさんあって覚えられないから、やりたくない」と言い出しました。娘は九九を覚えるときもクラスで最後のほうだったほど、暗記が苦手なんです。
でも役をかえてもらうのも、みんなに迷惑がかかるし、せっかくなのだから、最後までがんばってほしいと思っています。
どうやったら、セリフを覚えることができるでしょうか。
今後の勉強のためにも、暗記のコツをぜひ教えてください。
回答
クリスマス会での主役っていいですね。まずは楽しくやって、そこから新しい可能性が広がるなら最高ですよね。がんばってほしいと思います。
ただ、小学校2年生で文章を暗記するというのは、なかなか大変なことに思えるかもしれません。でもそれは「やったことがないから」ではないでしょうか。意外と、低学年の方が物覚えはいいものですよ。
暗記するのではなく、音読からはじめましょう
まず当然のことですが、文章の内容が分からなければ、暗記は不可能といっていいでしょう。最初から暗記するというのではなく、台本をすらすら読む、音読する努力からはじめるのがポイントです。覚えようとして読んでいくと、覚えているかどうかということが気になってしまい、集中できず、かえって暗記しにくいものです。
そして効果的に音読するには、まず姿勢を正し、口をしっかり開け閉めし、本番さながらの大きな声で読んでみることです。音読してみると、漢字が読めなかったり文章の区切り方がおかしかったりと、意外と文章の意味を分かっていないということに気づくものです。文章を理解し、すらすら読めるようになるには、くり返し読むことが次のステップとして大事になってきます。
回数を重ねて慣れてきたら、自然に任せて少し早いスピードで練習するといいでしょう。こうして何度も音読していくうちに、頭の中にはその文章が少しずつ焼きつけられていくのです。
小学校の低学年では、こうした音読練習は望ましいものですが、一人ひとりがきちんと音読できているかどうかのチェックは学校では難しく、あまり盛んには行なわれていないようです。けれども、ベテランの先生のなかには、ただ普通に授業するよりも、子どもたちに何度も音読させるという先生がいます。実はそのような指導の方が文章の理解が早く、暗記もそれほど困難ではなくなるからです。
演じることにやりがいや楽しさを見つければ意欲がわく
台本の文章をすらすら読めるようになったら、今度はその中身を考えてみましょう。楽しい場面なのか、悲しい場面なのか、怒っている場面なのか。ここでもとくに覚えようとはせず、ただその文章をその場面に合うように読み込んでいけばいいのです。ときには友だちや家の人に聞いてもらい、どんな読み方がよいかアドバイスしてもらうのもよいでしょう。
そのようにして、その場面の内容やおもしろさに自然と理解が深まるようになれば、台本を読むこともいっそう楽しいと感じられるようになり、覚えるという作業が苦労ではなくなります。
最初からひとつずつ順番に覚えていくのもいいかもしれませんが、言いにくい部分や理解の弱い部分は、どうしても間違えてしまいがちです。
そこはあとから部分的に取り出して、集中的に練習しましょう。一番おもしろいところやかっこいいところを読むのは楽しいことですし、そこからはじめるのも実は効果的な方法です。楽しみながら何度もくり返し読んでいくうち、次第にまどろっこしくなり、むしろ覚えているものをそのまましゃべった方がいいと思うようになれば、しめたものです。
さらにまた、クリスマス会で主人公を演じるのですから、そのことにやりがいや楽しさも感じ、子どもはより意欲的になってくるでしょう。すると不安は少しずつ薄らぎ、集中力はどんどん高まっていきます。
当日は「クリスマス会を楽しむ」という気持ちで
たとえば「失敗しないようにね」というように、不安を思い出させるようなアドバイスをしてしまうのは逆効果です。自分が劇で失敗することをイメージしてしまうと、そのことが気になってしまい、台本を覚えるどころではなくなってくるのです。大切なのは、その役をもらい演じることができる楽しさ・おもしろさを味わえるよう、楽しく練習していくということに尽きるでしょう。
本番でも同様です。失敗するとか、みんなに迷惑がかかるとか、覚えられないとか、そんなネガティブなことはいっさい忘れ、せっかくのクリスマス会を楽しいものにしていくという、その気持ちひとつで貫いていかれるとよいでしょう。
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