企業×大学生が起こす化学反応!「エコワールドフェス2023」開催レポ
学研キッズネットがブースを出展しているおおさかATCグリーンエコプラザ。全国の小中学生が修学旅行や社会科研修などでも訪れる、SDGsについて学べる施設です。この施設で開催されたイベント『エコワールドフェス』にて、学研キッズネットと近畿大学の学生がコラボレーションをしたワークショップを行いました。
エコワールドフェスとは?
おおさかATCグリーンエコプラザで昨年夏から開催されている小学生向けのイベント。環境・エコをテーマとした小学生向けワークショップが約20集まり、楽しくSDGsについて学べるとあって、今年も3,000名近い親子が訪れました。
企業と大学生が手を組むことで、両者にとってかけがえのない体験が生まれる
今回、学研キッズネットがコラボした相手は、近畿大学の経営学部岩井ゼミの学生5名。准教授の岩井貴美先生に、本試みの狙いを伺いました。
「私の専攻は経営学で、企業とキャリアについて研究しています。大学生って、将来のキャリア構築においてとても大事な時期ですよね。一方で、社会人と接する機会がものすごく少ないんです。多くの場合、彼らのいちばん身近なキャリアモデルは自分の家族であるため、親の働き方イコール一般的な働き方だと認識してしまうかもしれません。
けれど、いまの時代、働き方がどんどん多様化しています。リモートワークや副業、ワーケーション……自分をブラッシュアップするために複数の企業を転職することも珍しくありません。学生たち一人ひとりには無限の選択肢があって、各自がキャリアモデルを選びとっていくためにも、さまざまな企業で活躍されている人との接点を増やしたいと思ったことが、このコラボ企画が生まれたきっかけです。
また、いまの子どもたちは小さい頃からネットで検索すればなんでも答えが出てくる環境で育ってきているので、すぐに答えを求めようとしがちなんですね。だからこそ、企業の方と接して、時に厳しくご指導いただく中で、自分たちで答えを見つけること、目的に向かってどうプロセスを進めていけばいいか考えることを体感できる貴重な機会にもなりました。本当に素晴らしい経験をさせていただき、感謝しています」(岩井先生)
学生たちと一緒にワークショップを作り上げていく中で、私たち企業側にとっても発見や気づきがたくさんありました。
「そう言っていただけるとうれしいです。実際に関わってくださった企業の方からも、Z世代の考えに触れられてよかった、組織に属すると考え方や視点が凝り固まってきてしまうけれど、学生たちのフレッシュで斬新な意見が聞けて勉強になったといった声をいただいています。
今回の体験を活かして、今後は企業さんから課題をいただき、学生たちが解決していくという試みも予定しています。私自身も非常に楽しみです」(岩井先生)
学研キッズネット×近大岩井ゼミワークショップ
【世界にひとつだけの絵本を作ろう】
今回の企画がスタートした6月の頭から約2か月半、ほぼ隔週での打ち合わせやオンラインツールを使ったやりとりを経て、8月20日のイベント当日を迎えました。
まずはゼミ生が力を合わせて、学研キッズネットというメディアの強み弱み、そして今回のイベント参加者となる小学生のターゲット分析を実施。そこから導き出したワークショップのテーマは「世界にひとつだけの絵本を作ろう!」、コンセプトは「君の絵本が世界を救う」に決定しました。
子どもたちにとって身近な課題である食品ロスや、リサイクルをテーマにした間違い探し&クイズを行い、牛乳パックのリサイクルの流れを簡単に説明。実際に、牛乳パックから紙をつくる実験の一部を子どもたちに体験してもらったのち、一連の流れを描いた絵本をつくる……という60分間のプログラムです。
参加した学生からの感想
・「普通に生活していては学ぶことのできない、ビジネスの厳しさやプロのスキルを学ぶというとても貴重な経験をさせていただきました」
・「当日はいろいろとアクシデントなどありましたが、子どもたちの笑顔を見たり、私がデザインしたシールをかわいいと言ってもらえたり、うれしいことばかりで楽しい時間を過ごせました」
・「ひとつのものごとを皆で作り上げる楽しさ、難しさをたくさん感じることができました」
・「お忙しい中で私たちにくださったアドバイスを、今後のゼミ活動や就職活動、就職後にも活かしてがんばりたいと思います」
学研キッズネット編集長からひとこと
「ゼミ生の皆さんには、編集部員と同じように「SDGs」をテーマに子どもたちにどう自分事として興味関心を持たせ、意欲的に取り組んでいけるのか試行錯誤を重ねながらワークショップ作りをしていただきました。自分たちが何を子どもたちに学んでほしいのか、子ども自身が楽しく取り組める内容になっているか、また一過性に終わらずに探究を深められる内容になっているかなど、ユーザー目線で考えたモノづくりの大変さと楽しさを感じてもらえたのではないでしょうか。
妥協しないモノづくり、こちら側のリクエストに対して最後の最後まで根気よく取り組んでいた姿に、皆さんのポテンシャルの高さも垣間見えました。また、よりユーザーに近い年齢の皆さんだからこそ、我々にはないアイデア発想なども参考になりました。
機会があれば、来年はエコワールドフェスにとどまらず、学研キッズネット主催のイベント「自由研究EXPO」に岩井ゼミ生が参加……なんてことも楽しみにしています」(金野編集長)
来場してくれた親子にとっても、そして私たち企業や大学生たちにとっても実り多きイベントになりました。
おおさかATCグリーンエコプラザでは、たくさんの企業のSDGsに関するブースを展示しています。学研キッズネットブースにはSDGsミッションにチャレンジするコーナーもあるので、機会があればぜひ足を運んでみてくださいね。
取材・文/水谷映美