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【STOP!水難事故】海・川で安全に遊ぶための6つのポイント

【STOP!水難事故】海・川で安全に遊ぶための6つのポイント

梅雨が明けて気温が上がってくると、いよいよ水辺のレジャーが楽しい季節到来です。海へ川へと、家族で出かける予定の人も多いのでは。けれど、毎年目にするのは、水辺の事故に関するニュース。せっかくのお出かけを悲しい思い出にしないために、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。

「日本では、毎年約700人以上もの人が、海や川などで溺れて亡くなっています。これはとても辛く悲しいことです。けれど、必要以上に水辺で遊ぶことを怖がってほしくはありません。事前に知っておくべきこと、避けるべき行動を覚えておけば、ほとんどの水難事故は防げます」

そう語るのは、日本ライフセービング協会の松本貴行さん。今回は松本さんに、水辺の事故に遭わないための方法を教えてもらいました。

T.TATSU/Shutterstock.com

「海」に遊びに行くときの注意点2つ

Pawel Kazmierczak/Shutterstock.com

海へ遊びに行くとき、大前提として覚えておきたいのは、「遊泳禁止のエリアでは泳がない」ということ。たとえば、離岸流(りがんりゅう:海岸に打ち寄せた波が、沖に向かって戻るときに起こる強い流れ)が発生しやすい場所など、危険なエリアはあらかじめ遊泳禁止になっています。

「もっとも安心なのは、ライフセーバーがいる海水浴場を選ぶことです。万が一なにか起こっても、すぐに救助を要請することができます。日本ライフセービング協会や各市町村のホームページなどで、ライフセーバーがいる海水浴場が紹介されているので、チェックしてみてください。人が少ない穴場で泳ぎたい気持ちもわかりますが、特にお子さんを連れて遊びに行くのであれば、万が一に備えるという意味で、ライフセーバーがいる場所で楽しんでほしいと思います」(松本さん)

そのうえで、海辺の事故を防ぐために意識したいのは、次の2点です。

①【出かける前】遊びに行く海水浴場の天気・風・波の状況を調べる

気象庁のサイトなどを見ると、ピンポイントで天気予報が出ています。一日滞在するのであれば、潮の満ち引きの時間も知っておくと安心です。

「遠足や校外学習に行くとき、学校でしおりを作りますよね。家族のお出かけでも同じように、遊びに行く場所について親子で下調べをして、『こういう場所に行くんだ』と情報を共有し、約束事を決めておくことが大切です」(松本さん)

②【着いてから】風向き、ライフセーバーがいる場所を確認する

(写真提供:日本ライフセービング協会)

現地に着いてからも、気にしてほしいのは風の向きと強さ。海の家ののぼりや、ライフセーバーの待機場所に掲げられた旗などを見れば、どちら側に吹いているかがわかります。

注意すべきは、岸から沖(海の方)に向かって吹く陸風です。特に大きなフロート類を持っていると、あっという間に沖へ流されてしまうので危険。あまりに風が強い日は、大きな遊具を使うことをやめる勇気も必要です」(松本さん)

さらに、ライフセーバーがいる場所をチェックしておき、できれば気軽に話しかけてほしいと松本さん。

(写真提供:日本ライフセービング協会)

「もしかしたら近づきがたい印象をお持ちの方もいるかもしれませんが……(苦笑)。その日の海の様子や安全な場所などをお伝えできるので、ぜひ積極的に話しかけてほしいですね。また、どこにライフセーバーがいるかを把握しておけば、いざ救助を要請したいときにすぐに動けます。ライフセーバーがいない場所では、119番(救急)、118番(海上保安庁)に連絡を」(松本さん)

「川」で遊ぶときに守るべきポイントは4つ

Luv_Dancin/Shutterstock.com

「川にはライフセーバーのような存在がいないため、より一層の自分の命は自分で守るという意識が必要です」と松本さん。注意すべき点も多いので、一つひとつ確認していきましょう。

①【出かける前】遊びに行く場所と上流の天気・ダムの有無を調べておく

上流にダムがある川の場合、放流時間は必ず確認を。また、自分たちがいる場所の天気が良くても、上流域で雨が降っていると急に水かさが増すことがあります。前日に大雨が降ったときなどは要注意です。

②【着いてから】遊ぶ場所の地形・水位の変化・身の回りの浮くものを確認する

まずは大人が川に入り、水深や地形の確認を。そのうえで、「ここからここまでの間で遊ぼう」と親子で情報を共有してから遊びましょう。天候や時間帯によって水の深さが変わることがあるので、大きな岩などを目印にして、常に水深をチェックすることも大切です。

「いざというとき救助で使えるため、持ち物の中で浮くものを探しておくことも必ず行ってほしいですね。たとえば、ペットボトルやクーラーボックスなどは浮き具として使えます。これは浮くかな? これはどうかな?と楽しみながら、親子で確認してほしいと思います」(松本さん)

③【泳ぐとき】ライフジャケットとサンダルを必ず着用する

Chanintorn.v/Shutterstock.com

ライフジャケットは、命を守るための強い味方です。大人も子どもも必ず身につけましょう。

ポイントは、体にフィットしているか否か。体に密着していないと、水に入ったときにライフジャケットが顔の前に浮いてきてしまい、呼吸ができずパニックになってしまいます。股紐がついているタイプのものを選び、バックルなどで調節して着用しましょう

(日本ライフセービング協会 /e-Lifesaving より)

参考動画:ライフジャケットの有無による落水のちがいの動画

 

また、川の底にある石はつるつるしていて滑りやすく、怪我もしやすいので、素足で入るのは避けましょう。サンダルは、かかとがある、脱げにくいものを。もしくは、運動靴でもOKです。脱げて流されたサンダルを追いかけて、事故に繋がるケースは少なくありません」(松本さん)

④【泳ぐとき】子どもから目を離さず、親は下流側に

親が常に子どものそばにいて目を離さないことを大前提として、気をつけたいのは位置関係です。万が一、子どもが流されたときのことを想定し、親が下流側にいるようにしましょう。自分が追いかける側になってしまうと、まず追いつくことができません。子どもよりも下流にいることで、何か物が流されたときもキャッチできます。

危険なのは「水に入るつもりがない」シーン

Purino/Shutterstock.com

ここまで、海や川に行く際の注意点を教えてもらいましたが、じつは一番気をつけたいシチュエーションは、泳ぐ目的ではないときなのだそう。

警視庁の水難事故データによると、魚とり・釣りや水辺を歩いているときに、誤って落水したケースが毎年多い傾向が出ています。また、河原でバーベキューをしていて、暑いからちょっと水に浸かろう……とライフジャケット無しで川に入り、溺れることも珍しくありません。水辺、特に川に近づく際は、泳ぐつもりがなくてもライフジャケットを着用する、持っていない場合は近づかない。これを徹底してほしいですね」(松本さん)

溺れたときの対策よりも、水難事故を防ぐための知識を

imtmphoto/Shutterstock.com

最後に、もしも溺れてしまったときの対策法を松本さんに聞きました。

「一番は、全身の力を抜いて、仰向けで浮く姿勢をとること。あごを引き上げ、ゆっくりと呼吸をします。もしも溺れている人を見つけたときは、すぐに救助要請を出し、溺れている人に『落ち着いて!』『手前に浮くものがあるからつかまって!』などと声をかけましょう。

水難事故で一番怖いのは、パニックになることです。口や鼻に水が入ることでパニックになると、呼吸や心拍数が一気に増え、状況は悪化してしまいます」(松本さん)

しかし、頭ではわかっていても、実際に溺れかけてしまうと、冷静に判断して行動することは難しいもの。そのため、学校で着衣泳を習ったから、浮いて待つ方法を知っているから大丈夫、とは決して思わないでほしいと松本さん。

「溺れたときの対策を知っていることは、命を守るためにもちろん大切です。でもこれらは、あくまでも『事故が起こってしまったときの対処法』。はたしてすべての子どもたちが、冷静にそれを行うことができるでしょうか。

もっとも重要なのは、水難事故を起こさないことなんです。私たちが伝えたいのは、必要な知識を身に着け、安全に行動すれば、悲しい事故のほとんどが防げるということ。だからこそ、今回お伝えしたポイントを親子で確認し、必ず守る。水辺では子どもの命を守るということを、普段以上に意識して、親が子どもにとって一番のライフセーバーであってほしいと思います」(松本さん)

 

海や川など水の威力を甘く見ず、かと言って必要以上に恐れすぎる必要はありません。今回松本さんに教えていただいたことをしっかりと頭に入れ、行動に移して、夏のレジャーを思いっきり楽しみましょう。

※水辺の安全に関するさらに詳しい情報は、日本ライフセービング協会が運営するe-Lifesavingをチェック!

 

(取材・文 水谷映美)

お話を聞いた人:松本貴行さん

お話を聞いた人:松本貴行さん

お話を聞いた人:松本貴行さん

学校法人成城学園中学校高等学校 保健体育科教諭。公益財団法人日本ライフセービング協会 副理事長 LS教育本部長。日本体育大学在学中に、ライフセービング道へ。学生時代は神津島、新島、岩井海岸で監視、教育活動を経験。水難事故を未然に防ぐことを最重要課題とし、より多くの親子が水と親しみ、日本の自然環境の素晴らしさを実感してほしいと願いながら活動を続けている。

日本ライフセービング協会HP

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