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感染症対策には「正しい手洗い」を。手の洗い方のコツを「教えて!ドクター」坂本先生が解説

感染症対策には「正しい手洗い」を。手の洗い方のコツを「教えて!ドクター」坂本先生が解説

新型コロナウイルスの感染が拡大して以降、これまで以上に「手洗い」の重要性が謳われるようになりました。けれど、習慣化しているからこそ、だんだんと自己流になってはいませんか?

今回は、佐久総合病院佐久医療センター小児科医長であり、子どもの病気とおうちケアを発信しているWEBサイト『教えて!ドクター』制作責任者の坂本昌彦先生に、正しい手洗いの方法と感染対策について教えてもらいました。


Yuganov Konstantin/shutterstock.com

アルコール消毒をしていたら手洗いは不要?

ここ数年、アルコール消毒が一般的になってきましたが、アルコール消毒をすれば、手洗いはしなくても大丈夫なのでしょうか?

「いいえ、そうではありません。アルコールは、細菌や一部のウイルスを守っている外側の膜を溶かしてウイルスを無毒化してくれます。しかし、手の表面についた汚れや食べかすは取り除けません。

Jitchanamont/shutterstock.com

手の表面にこうした汚れが残っていると、食べ物に含まれるたんぱく質や脂肪によってアルコールの消毒力が弱まってしまうのですね。特にノロウイルスをはじめとする胃腸炎のウイルスには、アルコール消毒が効かないので要注意。

ウイルスを洗い流してくれる効果もある手洗いを大前提とし、アルコール消毒とセットで感染症対策を行うことが大切です」(坂本先生)

災害時など水が使えない場合は、ウェットティッシュが便利だと坂本先生。小さなお子さんがいるご家庭によくあるおしりふきも役立つと教えてくれました。

手洗いの効果をアップさせる4つのポイント

引用元:佐久医師会「教えて!ドクタープロジェクト」

医療の現場や、食品を扱う工場などでも手洗いは欠かせない、と坂本先生。私たちは、手洗いをする際にどの点に気をつけると良いのでしょうか。

(1)力を入れてゴシゴシ洗わない

汚れを落とそうと、ついゴシゴシと力を入れて洗ってしまいがちですが、肌の表面を傷つけてしまう可能性があるのでNGなのだそう。

Krasula/shutterstock.com

小さな切り傷ができると、そこから病原体が繁殖する可能性もあります。細菌は伸びた爪と指先の間を好むので、爪も短く切っておきましょう。親子で定期的に爪の長さをチェックすると良いですね。

水だけでもある程度の汚れは落とせますが、石鹸を使うと、手の表面の汚れが落ちやすいのでおすすめです。殺菌力が高いと謳われている石鹸もありますが、場合によっては、子どもの肌には負担になることもあるので、一般的な石鹸で十分でしょう。固形でもハンドソープでも構いません」(坂本先生)

(2)タオルなどを使ってしっかり乾かす

手を洗った後は、しっかりと乾かすことも大切なのだと坂本先生。

「濡れた状態でいろいろなものを触ると、乾いた手で触ったときよりも雑菌などが手にくっつきやすいからです。当然、自然乾燥よりタオルやペーパータオルで拭いた方が時間は短縮できます。

New Africa/shutterstock.com

ちなみに、10秒間のタオルふき取りと同等の効果を得るには、外出先のトイレによくある温風乾燥機(ハンドドライヤー)で20秒間必要という研究があります(※1)」(坂本先生)

(3)手洗い後は保湿を意識する

「冬場は特に空気が乾燥するため、繰り返し手洗いをしていると、肌がガサガサになってしまうことも。手が荒れると石鹸やアルコール消毒がしみるため、手洗いを怠るようになってしまいかねません。

実際に、医療従事者を対象にした研究で、定期的にローションで保湿を心掛けたところ、肌の状態が改善しただけでなく手洗いの頻度も50%増えたという報告があります(※2)。

UV70/shutterstock.com

手洗いの後はハンドローションなどを使って、手の保湿を心がけましょう」(坂本先生)

(4)タイミングを決めて習慣づける

手洗いを面倒がるお子さんもいれば、感染症を気にしすぎて洗いすぎるお子さんもいます。手洗いは、各家庭で「手を洗うタイミング」のルールを決めておくことをおすすめします。

「基本的には、外から帰ってきたとき・ご飯を食べる前と後・トイレの後は必ず洗う。その他、図書館で不特定多数の人が使う本を読んだり、公共のプレイルームにあるおもちゃで遊んだりした後なども、手洗いのタイミングとして挙げられるでしょう。

Bohbeh/shutterstock.com

なぜ洗うのかをお子さんと考えながら手洗いのタイミングを決めれば、無理なく習慣づけられるのではないでしょうか」(坂本先生)

大人が率先して「正しい手洗い」と「感染対策」を

手洗い以外に、マスク着用や体調管理なども、感染症予防では欠かせないと坂本先生は続けます。

「手洗いは感染症の対策に大きな効果がありますが、万全ではありません。マスクをつけること、生活習慣を整えることも含め、家族全員が感染対策を心がけましょう。

子どもたちは、大人の姿をよく見ていますから、『ああしなさい』『こうしなさい』と伝えるよりも、普段から親が率先して手洗いなどを行うことが大切です。

yamasan0708/shutterstock.com

もしも、お子さんが手洗いを嫌がる場合は、20秒程度の好きな曲を選んで、歌いながら洗うなどの工夫をしてみてはいかがでしょうか。

以前プロジェクトの子ども向けイベントで、子どもたちの好きな歌を、好きな歌詞に変えて歌ってもらったら、進んで手洗いをする姿が見られました。ぜひ親子で楽しく取り組んでもらえたらうれしいです」(坂本先生)

 

坂本先生に教えてもらった4つのポイントを意識することで、感染症予防の効果がアップすることがわかりました。正しい手洗いでウイルスを撃退し、今年の冬も元気に乗り切りましょう!

 

取材・文/水谷映美 編集/石橋沙織

参考文献

1.Patrick DR,et al. Residual moisture determines the level of touch-contact-associated bacterial transfer following hand washing. Epidemiol Infect, 1997. 119(3): 319-25.

2.McCormick RD, et al. Double-blind, randomized trial of scheduled use of a novel barrier cream and an oil-containing lotion for protecting the hands of health care workers. Am J Infect Control, 2000. 28(4): 302–310.

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坂本 昌彦(さかもと まさひこ)さん

坂本 昌彦(さかもと まさひこ)さん

坂本 昌彦(さかもと まさひこ)さん

小児科専門医。2004年名古屋大学医学部卒業。現在佐久医療センター小児科医長。専門は小児救急と渡航医学。現在日常診療の傍ら保護者の啓発と救急外来負担軽減を目的とした「教えて!ドクター」プロジェクトの責任者を務める。同プロジェクトの無料アプリは約35万件ダウンロードされ、18年度キッズデザイン賞、グッドデザイン賞を受賞。

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