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【小児科医が教える花粉症対策】登下校に外遊び…外出が多い子どもが気を付けたいこと

【小児科医が教える花粉症対策】登下校に外遊び…外出が多い子どもが気を付けたいこと

毎日の登下校や公園遊び、習いごとなど、外出する機会が多い子どもにとって、花粉症のシーズンは大人同様につらいもの。

この時期を上手に乗り切るためにどのような予防策を取り入れればよいのか、症状を軽減するためにはどのような治療法があるのか、有明こどもクリニック豊洲院院長の村上先生にお話を伺いました。

花粉症の予防策はいつから始めるべき?

『日本気象協会 2023年 スギ・ヒノキ花粉のピーク予測』によると、福岡では2月下旬から、それ以外の地域では3月上旬にスギ花粉がピークを迎えると予想されています。スギの後にはヒノキの花粉も飛散し、東京では4月下旬までピークが続くという予測も。

2023年スギ・ヒノキ花粉ピーク予測
出典:tenki.jp(https://tenki.jp/pollen/expectation/)
2023年スギ・ヒノキ花粉ピーク予測
出典:tenki.jp(https://tenki.jp/pollen/expectation/)

「花粉が飛び始める前の1月下旬、遅くても2月上旬には予防策を取り入れたいもの。スギの後はヒノキの花粉が飛散するため、ゴールデンウィーク明けまで症状が出る子もいます。4ヶ月近くにはなりますが、長期的な対策が必要です」(村上先生)

花粉症の予防策

では、花粉症予防として、何を取り入れれば良いのでしょうか?

「まずはバランスの良い食事を摂るように心がけましょう。たとえば牛乳が飲めないならお料理に使うなどして、嫌いなものでも食べられるように工夫するのが大切です。アレルギーは偏りが一番良くないと言われているので、バランスのとれた食生活は発症予防に非常に効果的です。食生活では腸活を取り入れるのもおすすめ。納豆やお味噌などの発酵食品、ヨーグルトなどの乳酸菌も積極的に食べましょう。添加物が少ない食材を選ぶことも心がけて」(村上先生)

また、花粉の侵入をガードすることも重要と村上先生。

「目や鼻の粘 膜面に花粉が付着すると抗原となり、くしゃみ、鼻水、かゆみといったアレルギー反応が起こります。そのため花粉の侵入を防ぎ、付着させないことが大切です。

外出する際には、花粉が鼻の中に入らないようマスクを着用しましょう。表面がツルンとしたナイロン生地などで、洗濯可能なお洋服を選ぶのも大切。毛足の長い衣類は花粉を巻き込んでしまう可能性があるので、花粉症の時期は避けるのがベスト。

また、目の周りや鼻の中にワセリンを塗るのもおすすめです。純度の高いワセリンであるプロペト は、目や口の中に入っても問題ないので、子どもにも安心して使えます。塗布したワセリンの油分が花粉をキャッチし、侵入を防いでくれます。

外出後は、花粉をしっかり払うのも大切です。お家に入る前に上着を脱いではたき、髪の毛についた花粉も落としましょう。可能であれば玄関にゴミ箱を置き、着用していたマスクをすぐに捨てましょう。手洗いうがい、できるのであれば鼻うがいも行い、花粉を家の中に持ち込まないようにしましょう」(村上先生)

花粉症の症状を軽減するためにするべきこととは?

予防していても花粉症の症状が出てしまった…という経験は大人だけでなく子どもにもあるはず。不快な症状を和らげるために、日々の暮らしの中でできることとは?

「湿度が高いと花粉に水分が付着して重くなり、飛散しにくくなります。そのため、お部屋の中に加湿器を置いて乾燥を防ぐのが大切です。空気清浄機も空気中に舞い上がった花粉を取り除くことができるので活用しましょう。また、こまめに掃除をして室内に侵入した花粉を除去しましょう。シーツや枕カバーなどの寝具も洗濯をし、お布団用の掃除機を使うのも効果的です。花粉の付着を防ぐために、この時期はお布団や洗濯物の外干しを控えて、部屋干しに切り替えましょう」(村上先生)

気になるのが子どものお外遊び。花粉症の時期は避けた方が良いのでしょうか?

「症状がそこまでひどくないのであれば、晴れて気温の高い日、風が強く乾燥した日、雨上がりの翌日などの飛散量が多い日や、昼前後など飛散量の多い時間帯を避け、マスクを着用するなどの対策を行った上で遊ばせましょう。

 

マスクをつけて外で走る子ども

症状がひどいからといって、お家にこもりっきりなのは考えもの。適度に体を動かさないと便秘がちになり、食事量も軽減して成長の妨げになります。深部体温が低くなって免疫力が低下し、風邪をひきやすくなるなど健康面での悪化も懸念すべきところ。児童館や体育館など屋内で遊べる場所を上手に利用しましょう。スイミングで体を動かすのもいいですね 。プールは花粉はもちろん、ハウスダストやダニなどのアレルゲンが少ないのでおすすめですよ」(村上先生)

ゴーグルを着用する大人もいますが、外出の際は子どももつけるべきですか?

「子どもがゴーグルや花粉症用のメガネをつけると、活動が妨げられて危険度がアップします。転んでゴーグルやメガネが割れ、瞳や目の周りが傷ついてしまった…という事例も。必要なときには装着する、運動するときには外すなど、臨機応変に対応できる年齢になったら着用するのがおすすめです。幼い子どもでも、目がかゆくて辛そうならクリニックで診断を受け、そのうえでゴーグルをつけて親がしっかりと見守りましょう」(村上先生)

花粉症の正しい治療法と選択肢を知ろう

授業に集中できないほどの鼻水や目のかゆみなど、日常生活に影響を与えるほど症状が強い場合、どのような治療法があるのでしょうか。

「まずはアレルギー検査を受け、不快な症状の原因を明らかにしましょう。敵がわかっていれば戦いやすいですよね。原因を判明することで、必要かつ効果的な治療を行うことができます。その上で内科的な治療として内服薬、局所療法として点鼻薬や点眼薬などを症状に応じて処方します。内服薬は生後6ヶ月を過ぎると飲めるものも多いですし、点鼻薬や点眼薬も子どもが使って問題ありません。自己判断で薬の容量を変えたりせず、診察した医師の指導のもと使用しましょう」(村上先生)

最近注目を集める「舌下免疫療法」。子どももできるのでしょうか?

「舌下免疫療法は5歳から受けることができ、スギ花粉とダニのアレルゲンに効果が期待できます。スギのエキスを毎日少しずつ投与していく治療になるので、飲んだ時に口内がピリピリしたり耳の奥がむずがゆくなるといった違和感をおぼえる人がほとんど。この反応は続けるうちに慣れていくので、継続することが肝心です。

注意すべき副作用に アナフィラキシーショックがありますが 、初回は医療機関で安全に投与できるかどうか医師監督のもと服用が可能です 。強い反応が出た場合はアレルギーを抑える薬を投与できるので、花粉症に悩んでいるならぜひ受けてみてください」(村上先生)

 

取材・文/末永陽子 編集/清水優香子

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村上 典子(むらかみ のりこ)さん

村上 典子(むらかみ のりこ)さん

村上 典子(むらかみ のりこ)さん

有明こどもクリニック豊洲院院長、総括院長、副理事長。日本小児科学会認定専門医。
獨協医科大学医学部卒。山岡クリニック院長を経て、4年間休職後、小児科医として復帰。3人の子どものママドクターでもある。
https://child-clinic.or.jp

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