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親の心配が失敗の元! 入園・入学の緊張や不安のほぐし方【コソダテのヒント】

親の心配が失敗の元! 入園・入学の緊張や不安のほぐし方【コソダテのヒント】

元保育園園長で、現在子育てや教育関連の講演会を配信している「花まる子育てカレッジ」ディレクター井坂敦子さんによる連載です。音声配信Voicy『コソダテ・ラジオ』の「子育てが楽しくなる小さなヒント」を読みやすく記事化しております。ぜひお楽しみください。

親の心配しすぎは逆効果!?

4月から新学期がスタート! 新しい生活が始まって、緊張しているパパやママは多いですよね。お子さんが入園や入学で新しい環境に入ったばかりだと、「忘れ物は大丈夫かな?」「やっていけるかな?」と、心配ごとがたくさん。

けれど、あまり心配しすぎると逆効果になってしまうことがあるのはご存じでしょうか? 学校生活をつつがなく送ってほしいという親心から、前の晩には「明日の準備はできたの?」、朝は「早くして」「忘れ物はない?」などと、ついイライラ・ピリピリしてしまうことも……。

じつは、ここに問題が! 新生活が始まったばかりで、単に慣れていないからできないことも、子どもは「自分はできないからダメだ」と思ってしまうことがあるのです。

これはとても残念なこと。子どもにとってはすべてが初めてのことで、見通しも持てません。トイレの場所、体育館の場所、いろいろなものがどこにあるかもわからない。新しい友だち、新しい先生に囲まれて、ドキドキ緊張したり、オロオロ迷ったりするのは当然です。

そこで、保護者の方にはこう思ってほしいのです。「6月ぐらいまでは、慣らし運転」「慣れていないだけ!」「できないのが普通」と。保護者がこうした考え方でいることが、案外、子どもが早くその環境に慣れる近道だったりするんですよ。

自分自身に厳しい親は……

保育園の園長をしていたときのこと。自分の子どもにきちんと厳しめにしつけされている保護者のお子さんは、萎縮してしまったり、自信をなくしてしまったり。幼児の場合、ふてくされたり、すねたりということが見受けられたのです。

お子さんの気持ちが後ろ向きになってしまい、さらに保護者の方はイライラして感情的に叱る、という悪循環が起こっていました。

この、子どもに「ちゃんとしてほしい」という感情ですが、そういう保護者の場合、ご自身についても、「ちゃんとできないとダメだ」「できない自分はダメだ」という強い思いがあるように見えました。

「ちゃんとできないとダメだ」と思い込んでいると、何か苦手なことがあったときに努力して克服しようとします。これは素晴らしいことですが、常に「ここができていない」「努力をしないと」と、次々にできないところを探して自分を追い詰めてしまいがち。

できないことを、「“今”はできないだけ」「できなくても、そのうちなんとかなるか」と思えたら、きっとラクになるはずです。

自分自身の苦手なところを「これは向いてないな」と認めることで、子どもやパートナーなど、周りの人の「苦手なところ」も受け入れられるようになり、子どもも安心して学校生活に慣れることができるのです。

指示は「具体的」に!

新生活が始まって最初の頃は、焦るパパやママに対して、子どもは変わらずマイペースなことが多く、親と子どもの間で気持ちのズレが大きいもの。そんなとき、「ちゃんとして」と言いたくなりますが、子どもはその「ちゃんと」がわからないものなのです。

こういうときは、「具体的」に言うのが正解。たとえば、時計を見ながら「針がここまで来たら歯磨きをしてね」や、「針がここに来るまでに着替えをしてね」など、具体的に「何を・いつまでにやるのか」をまずわかるように子どもに伝える必要があります。

その上で、着替えの服を前の晩に一緒に用意したり、歯ブラシに歯磨き粉を付けた状態で洗面所に用意しておいてあげたりなど、ちょっとした「お膳立て」をしてあげる。そうしたちょっとした「お膳立て」をすることで、スムーズにいくことがあるので、ぜひ試していただきたいです。

それでも、時間に遅れてしまったり、忘れ物をしたりということが起こると思います。そこで怒るのではなく、「ここは苦手なんだな」「どうしたらうまくいくかな」「じゃあ忘れ物をしないように、付せんに書いて扉に貼っておこう」などと、ゲーム攻略のような気分で、親子で具体的な対策を考えていきましょう。

4月から始めて、やっと慣れてできるようになったことが、たいていゴールデンウィーク明けに、チャラになります。5月はまた4月のおさらいのような感じで過ごすと、6月には子どもも慣れてくるはず。

4月の最初から「全部うまくできるように!」と焦らず、しばらくは練習期間だと思って過ごすと、親のストレスも減って、お子さんも楽しく元気に学校に行けるように思います。

できないことを面白がりながら、親子で新学期を乗り切っていけたらいいですね!

 

話し手/井坂敦子 構成/清野 直

『コソダテのヒント』シリーズ

井坂 敦子(いさか あつこ)さん

中学校高等学校教諭一種免許状(国語) /保育士/食育カウンセラー/表千家師範

慶應義塾大学卒業→ 雑誌『オレンジページ』編集部 →公式サイト『オレンジページnet』編集長 →小学校受験対応型保育園園長 →「花まる子育てカレッジ」にて年間約100本の子育てや教育に関する講演会や対談を企画運営。Instagramブログ「わが家の小学校受験顛記」も好評。英国留学中の高校生とボーダーコリー3頭の母

学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと編集部)

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