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途中で投げ出してしまう子も多い、算数のドリル。どう使うのが正解?【コソダテのヒント】

途中で投げ出してしまう子も多い、算数のドリル。どう使うのが正解?【コソダテのヒント】

元保育園園長で、現在子育てや教育関連の講演会を配信している「花まる子育てカレッジ」ディレクター井坂敦子さんによる連載です。音声配信Voicy『コソダテ・ラジオ』の「子育てが楽しくなる小さなヒント」を読みやすく記事化しております。ぜひお楽しみください。

問題集やドリル、最後までできたことありますか?

「うちの子は、算数が嫌い」というお悩みをよく聞きます。苦手意識を持ちやすい算数について、問題集やドリルを使うときのちょっとしたコツをご紹介したいと思います。

算数の問題集は、ほとんどが学年ごとに販売されていて、その学年で一年間に習う内容をすべて網羅した基礎的なものから、受験用の少し難しいものまであります。また書き込むスペースが大きく取られているものや、キャラクターのものなど、いろいろな工夫のあるものも。

その時々で「これがいいかな」「あれがいいかな」と選んで買われると思いますが、最後まで問題を解くことができていますか? 途中で挫折してしまうお子さんが、多いのではないでしょうか?

図形の問題は得意でパパっとできるので、「もっとやりたい」と物足りなさを感じる。逆に文章題の計算問題は苦手なので、最初の問題だけ解いて最後までやらない、なんてことも。

親御さんのちょっとしたサポートで、苦手もスルッと解決

子どもの資質や好き・嫌い、得意・不得意があるので、親からすると、「子どもの苦手な分野の問題がもっと欲しいな」、「スモールステップで少しずつ難易度の上がる問題がたくさん欲しいな」、または「得意でどんどんできるから、難しい問題があったほうがいいな」、「ここはいらないな」など、一冊の問題集の中に求めることもさまざまです。

けれど、子ども、特に小学生のうちは、自分自身が「何が得意で、何が不得意か」、「習ったことのここまでは理解できているけど、ここから先はわからない」といったことはわかりません。

ですから、目の前にある問題や宿題になんとなく手をつけて、できなくてもそのまま。宿題も「終わればいいや」という感じで、「苦手なところを勉強しよう」というお子さんは少ないでしょう。

そこで、親御さんの出番です。出番といっても、もちろん主役ではなく脇役。子どもが勉強している様子を見て「解けなくて困っているな」と思ったら、お子さんのサポートをしてあげてほしいのです。

たとえば計算問題に時間がかかっている場合。計算の仕方がわかっていて、時間がかかっても正解が出せるようであれば、「問題ないから、繰り返し練習してスピードを上げよう」と、基礎的な計算問題のドリルを用意してあげる。

文章題や図形の問題に手こずっている場合。「思考力の試される問題だから、多少時間がかかっても大丈夫」と声をかけてあげるなど、お子さんに合わせてうまく接してほしいと思います。

ポイントは、「声に出して読む」と「つまづくポイントで問いかける」

特に文章問題は、習った公式にただ数字を当てはめるのではなく、「なんでこれを足すのか」「どうしてこういう式になるのか」といったことを自分の頭で「うんうん」考えたことがその子の実力になります。じっくり考えて、自分の解き方を言葉で説明できるくらいになってほしいと思います。

そのためには、その問題の難易度がその子に合っているか、その問題を解くために必要な知識は頭に入っているか、といったことを把握することが大事です。

この辺りがあやふやなまま進んでいってしまうと、どんどん算数嫌いになってしまいます。どこでつまずいているのかもわからないまま学校や塾などの集団授業を受けると、取り残された感じがして苦しくなってしまいますよね。

先ほども言いましたが、お子さんが家で問題集やドリル、宿題などをやるときには、鉛筆が止まっていないか見てあげてください。止まっているのが「考える」ためなら、そっとしておく。「何をどうしたらいいかわからなくて困っている」場合は、助け船を出してほしいなと思います。

困っているとき、まずは「問題を声に出して読んでもらう」こと。声に出して読むだけで、「わかった!」と前に進めるお子さんも多いものです。黙読だと、読んでいるようで頭の中に意味が入ってこず、ただ字面を目で追っているだけで、内容をイメージできないことが多々あります。ゆっくり問題を音読するだけで、一気に理解が進むことがあるので、困ったらまずは音読を試してみてください。

それでもまだ解決しない場合。その場合は、答えややり方を教えるのではなく、「どうやったらいいんだろうね」「難しいね」のように、考えるための「エンジン」をかけてあげましょう。

「この文章からわかることってなんだろうね」、
「何を聞いているのかな?」
「じゃあ、そのためにはどうしたらいいんだろうね」
といった声かけをしてあげると、「ああ、そうか!」と、子どもの中で何かひらめいたり、わかったりすることがあります。

それでもダメなときは、問題のレベルが難しすぎることも考えられるので、少し時間をおきましょう。そのまま置いておくだけで、1週間、1か月すると、スルッと解けたりすることもあります。あるいは、さわりだけ一緒に解いてあげる。すると、そのあと自分で解き始められることもあるので、お子さんの様子を見ながら対処してあげてください。

小学5年生くらいまではまだまだ幼いので、大人が寄り添って「どういうことだろうね」と横にいるだけで、問題が解けるようになることもあるのです。

ゲームのように「頭を使う」楽しさを感じて

特に低学年では、ノートや問題集を開いてその前に座ってはいるけれど、気持ちはまったくそこにない、ということがよくあります。鉛筆をゆらゆら揺らしていたり、座っている椅子をグルグル回転させたり。集中して考えているかどうかは、顔を見ればわかります。

勉強するということは、頭を使うこと。頭の中で、「そうか、こうやるんだ。こうやるとこうなったから、これが答えかな?」と考えたことを、鉛筆や言葉で表現して答えにしていくことです。それは本来楽しいことなはず。

小学生のうちに、「自分が頭を使っているときって、こういうときなんだな」とまず感じること。それができたら、もう十分という気がします。

算数の問題は答えがひとつ。考える力が育っているお子さんであれば、「これとこれでこういう数字になるから、こういうことかな」などと推理するように考えていき、正解したら「合ってた!」というように、ゲーム感覚で達成感や快感が得られるもの。そこまでいけば、ドリルはどんどん進み、楽しく取り組めます。

その前の段階の、「わかんない、どうしよう」「もうやりたくない」と逃げ出してしまいたくなるようなときに、周りが助け船を出す。ゲームの「お助けアイテム」のように、少しだけサポートをしてあげると、パッと取り掛かれたりするので、ぜひお試しいただけたらと思います。

 

話し手/井坂敦子 構成/清野 直

『コソダテのヒント』シリーズ

井坂 敦子(いさか あつこ)さん

中学校高等学校教諭一種免許状(国語) /保育士/食育カウンセラー/表千家師範

慶應義塾大学卒業→ 雑誌『オレンジページ』編集部 →公式サイト『オレンジページnet』編集長 →小学校受験対応型保育園園長 →「花まる子育てカレッジ」にて年間約100本の子育てや教育に関する講演会や対談を企画運営。Instagramブログ「わが家の小学校受験顛記」も好評。英国留学中の高校生とボーダーコリー3頭の母

学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと編集部)

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