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子どもと合わないクラス担任の先生…保護者がとるべき対応とは?【コソダテのヒント】

子どもと合わないクラス担任の先生…保護者がとるべき対応とは?【コソダテのヒント】

元保育園園長で、現在子育てや教育関連の講演会を配信している「花まる子育てカレッジ」ディレクター井坂敦子さんによる連載です。音声配信Voicy『コソダテ・ラジオ』の「子育てが楽しくなる小さなヒント」を読みやすく記事化しております。ぜひお楽しみください。

担任の先生との「相性問題」

新年度が始まってしばらく経ちますが、お子さんは担任の先生とうまくいっていますか?

学校の先生や習い事の先生など、親以外で子どもと身近に接する大人は様々いらっしゃいますが、やはり「学校の担任の先生」の存在や影響は大きいですよね。

習い事なら、「この先生に教えてほしい」とこちらから選ぶことができますが、学校の先生はそうはいきません。学校が決めますし、その先生の価値観、キャラクターなどによって、自分の子どもと合う、合わない、という相性の問題はどうしても出てくるかと思います。

特に、小学校に上がるときは、とても心配になりますよね。そもそも学校は学びの場で、幼稚園・保育園とはまったく目的の違う場所。学校で5~6時間過ごす間、ほとんど担任の先生と接しますが、お世話してくれる幼稚園・保育園とは違い、学びを与える存在。指導する立場としてそこにいらっしゃいます。

ただ、子どもは昨日まで幼稚園・保育園にいたので、今日から小学校といっても、あまりよくわからず入学しています。特に、一番上のお子さんの場合。上に兄弟がいて、学校というものをなんとなく肌で感じている二番目以降のお子さんとは違い、親にとっても初めての経験で、生活の変化は大きいように思います。

空想癖のある娘に、先生が言った言葉

うちの娘の場合は、小学校2年生くらいの頃まで、少し空想癖がありました。先生の話を聞いていても、そこに出てきた単語から想像がふくらんでいって物語を作り上げ、その物語が頭の中でどんどん進行してしまう。ふと我に返ると先生の話を聞き逃していた、ということが度々あったようです。

たまたま小学校1年生と3、4年生が同じ担任の先生で、当時大学生の息子さんが2人いらっしゃる頼りがいのあるベテランの女性。

面談の際、「授業中、勝手な想像をして自分の物語の世界に入り込んでしまって、先生にご迷惑をおかけしていないでしょうか?」と聞くと、「空想するというのは6、7歳のお子さんにとっては当たり前のこと。それはとてもいいことですよ」と返してくれました。

さらに、「お友だちに迷惑をかけるとか、授業の妨げになるということは今のところないので、学年が上がっていくと自然に空想の世界にはいかなくなりますし、あまり気にしなくていいですよ」と慰めてくれました。

4年生の面談では、「教室の中で気持ちがどこかに行ってしまうことが、だいぶ減りましたね」などと、笑いながら教えてくださることも。親としては非常に心配だった娘の空想癖ですが、温かく見守ってくださる、ありがたい先生でした。

その先生だったから、娘は今でも、絵を描いたり、音楽を演奏したり、作曲したりということが大好きでいられている気がします。あのときに空想を止められて「そういうことはダメだよ」と強く注意されていたら、おそらく今の娘はいないのではないかと思います。

合わない先生に出会ったら?

担任の先生との出会いは、子どもに大きな影響を与えるものだと実感していますが、相性のよい先生ばかりではありません。

合わない先生というのもいて、娘の言い分もわかる、先生の言うことも正しい、ということがありました。娘の価値観の中での「正しさ」と、先生の考え方が相容れないときがあり、三者面談などでピリッとした空気になったことも。

そのようなとき、私は娘の気持ちに寄り添うようにしてきました。先生の言うことに間違いはありませんが、「正しさ」というのは状況や立場によって変わるもの。私としては、娘の側にいつも立っていたいなと思っています。

もちろん、娘の言い分があまりにおかしいときは指摘しますが、娘にとっての「正しさ」を一方的に否定することは、少し違うなと思っていました。

娘には、「先生はああおっしゃっているけれど、あなたの考えは違うのね。だったら、全面的に先生に合わせなくてもいいと思うけど、あまり刺激しないようにしたらどうかな」、という感じのスタンスで伝えていました。

そして先生には、常に「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」というふうに謝っていました。

最後は「お子さんの味方」でいて

過ぎ去ってみると、どちらも学びの多い、ありがたい先生であることに変わりなく、合わないには合わないなりの学びや経験が得られます。あまり大きないさかいにならない程度に、上手につき合っていく方法を探っていただけたらと思います。

先生の立場からすると、「そう言うしかない」ということもあるかと思います。お子さんの年齢にもよりますが、そういったことを話し合って伝えた上で、やはり最後はお子さんの味方でいることが、子どもの「安心感」につながるのではないでしょうか?

「担任の先生とちょっとうまくいっていない」、あるいは「いい先生が担任になってくださってうれしい」など、皆さんそれぞれの状況があるかと思いますが、どんなときにも子どもにとって学ぶことがあるように接してあげたいですね。

 

話し手/井坂敦子 構成/清野 直

『コソダテのヒント』シリーズ

井坂 敦子(いさか あつこ)さん

中学校高等学校教諭一種免許状(国語) /保育士/食育カウンセラー/表千家師範

慶應義塾大学卒業→ 雑誌『オレンジページ』編集部 →公式サイト『オレンジページnet』編集長 →小学校受験対応型保育園園長 →「花まる子育てカレッジ」にて年間約100本の子育てや教育に関する講演会や対談を企画運営。Instagramブログ「わが家の小学校受験顛記」も好評。英国留学中の高校生とボーダーコリー3頭の母

学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと編集部)

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