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子どもを「褒めすぎる親」「褒めない親」、どちらが毒親?【コソダテのヒント】

子どもを「褒めすぎる親」「褒めない親」、どちらが毒親?【コソダテのヒント】

元保育園園長で、現在子育てや教育関連の講演会を配信している「花まる子育てカレッジ」ディレクター井坂敦子さんによる連載です。音声配信Voicy『コソダテ・ラジオ』の「子育てが楽しくなる小さなヒント」を読みやすく記事化しております。ぜひお楽しみください。

「褒める」「褒めない」。あなたはどっち派?

「褒める子育て」が推奨されている昨今。結果だけでなく、その子のがんばった過程や努力についても褒めてあげましょう、認めてあげましょうという話を、子育ての本や話などでよく聞くかと思います。

「褒めない子育て」と言うと、今なら「え?」と思われるかもしれませんが、これは私の母の時代の「褒めない子育て」と、それによって私がどんな子育てをするようになったかという話です。

ご自身は「褒める子育て」「褒めない子育て」どちらをしているか、考えながら読んでいただけたらうれしいです。

褒めない親に育てられた子どもの気持ち

昔は「身内を人前で褒めない」という風潮が強く、子どもに対しても褒めずに厳しく接していた親が多いように思います。

うちの母はまさにそういう母でした。

子どもとしては、お母さんに褒めてもらうことが何よりうれしいこと。勉強が割と得意だったので、小学生の頃は100点を取ったりもしましたが、「それくらい当たり前」という感じで、「がんばったね」「すごいね」と言ってほしいのに、90点や95点でも「なんで間違ったの?」というようなことを言われていました。

100点のテスト用紙

たとえば学校では多少褒めてもらえた美術の作品などを持ち帰っても、母親は「こんなの何がいいかわからないわ」という感じで、「飾れないから捨てるわよ」と、あっさり捨てられたことも。

その頃は、ほかの家庭の様子を知らなかったので、「まあそんなもんかな」「小学生の作品なんて、まだまだ下手だから取っておいてもらえないか」と納得していたんですね。

少し大きくなり中学・高校くらいになると、友だちから、その友だちのお母さんが、その子の小さい頃の手紙や工作などの作品をすべて取ってあるという話を聞いたりして、羨ましく思いました。

「子どの作品は上手い下手ではなく、その子が作ったものだから宝物」と思っているその友だちのお母さんが、愛情が溢れているように見えて、「なんで私の作品のほうが学校で褒められたり、がんばったのに」と、自分の作品はあっさり捨てられてきたことに対するモヤモヤがありました。

その反動もあって、自分の子どものお絵描きや落書きなどはほとんど取ってあり、いまだに娘が2歳のときに描いた「猫のような」絵、落書きを、額に入れて飾っていたりします。

子どもが描いた絵
写真提供/井坂敦子さん

人から見たら、「幼児の描いたそんなつたない絵をわざわざ額に入れて飾るなんて……」と思うかもしれませんが、娘が初めて「これは猫なの」と言って描いた記念のもの。だから、私にとっては大事なものなのです。

自分自身、褒めてもらえないことで悲しい想いをした分、自分の子どもはなるべく褒めたい、それに心から褒めたくなっていたので、褒めて育ててきました。

褒めない親の心理

「褒める子育て」があちらこちらで言われているときでしたので、私の子育ては時代とも合っていたように思います。

きっと母も、その当時子どもを褒めていたら、時代の風潮と合わず「変わった人」と言われていたかもしれません。その時代の中で「普通」と言われるお母さんをしていただけなのだろうなと、今では理解しています。

そんな母ですが、孫である私の娘に対してはどうかというと、これが褒めるんですよね。

祖母と孫娘

「どうしてそんな簡単に褒めるんだろう、私のときはまったく褒めなかったのに……」と思うほど、ずいぶん変わって丸くなりました。

私のときには95点でも「5点足りない」なんて言っていたのに、娘が80点くらいでも「すごいがんばったね」と褒めるのです。

そこで「私のときはあんなに厳しかったのに、どうして?」と聞いてみました。

母は、「自分の子どもは意識もしないぐらい大事だから、もう必死で、1点でも2点でも100点に近づけるように努力をしてほしくて、褒めてなんていられなかった」と言うのです。悪気はなくて、逆に褒めて「これでいいんだ」と思ってほしくなかったと言っていました。

「100点じゃなきゃダメ」というのはずいぶん厳しいですが、それも親心。意地悪な気持ちではなく、本当に子どものためを思って言っていた、ということがわかりました。

孫に対しては無責任でいられる。責任を担う親が別にいるので、おばあちゃんという立場だと、手放しで「かわいい、かわいい」と言えるようです。

立場が変わると人はこんなにも変わるのだなと、母を見て思いましたし、「責任」というその2文字が、やはり態度を大きく分けるものなのだと感じました。

責任の重い親業。自分自身のことも褒めて

親になると、「社会の中で生きていけるように自立させなければ」という子どもに対する責任から、つい厳しくなって褒めなかったり、逆にたくさん褒めて自己肯定感を強くしてしっかり生きてほしいと願ったりしますよね。

どちらにしろ、親心であり責任感。どんな親でも、自分の子どもに対して無責任ではいられない。だから、手放しで「いいね、いいね」という訳にはいかないですよね。

勉強している親子

ですが「褒めない子育て」というのは、いまどきではありません。褒めて、勇気を持たせてチャレンジできるようにしていく、というのが昨今の風潮です。

ですから、このさじ加減、塩梅が、大事なのかもしれません。

子どもによっては、あまり褒めないほうが良い場合もあるでしょう。褒め方も、大安売りすると逆に価値が下がってしまう、ということもあるかもしれません。

加減は難しいですが、そこはお子さんを大事に見守ってきた1人ひとりの親御さんの感性・感覚にゆだねられているのかなと思います。

ただし、これは親だけが背負うと苦しいもの。身近な友だちや学校の先生、習い事の先生、スポーツのコーチなど、その子に関わる大人たちと連携しながらやっていけると、ラクになれそうです。

私自身、いまだに「もっと褒めてほしい」と思いますから、親御さん自身が、自分をもっと褒めてあげたり、褒めてくれる人を探して、自分を認めてあげてほしいと思います。

 

話し手/井坂敦子 構成/清野 直

『コソダテのヒント』シリーズ

井坂 敦子(いさか あつこ)さん

中学校高等学校教諭一種免許状(国語) /保育士/食育カウンセラー/表千家師範

慶應義塾大学卒業→ 雑誌『オレンジページ』編集部 →公式サイト『オレンジページnet』編集長 →小学校受験対応型保育園園長 →「花まる子育てカレッジ」にて年間約100本の子育てや教育に関する講演会や対談を企画運営。Instagramブログ「わが家の小学校受験顛記」も好評。英国留学中の高校生とボーダーコリー3頭の母

学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと編集部)

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