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夏休みは自立のチャンス! 親離れ子離れの時間をサマースクールで【コソダテのヒント】

夏休みは自立のチャンス! 親離れ子離れの時間をサマースクールで【コソダテのヒント】

元保育園園長で、現在子育てや教育関連の講演会を配信している「花まる子育てカレッジ」ディレクター井坂敦子さんによる連載です。音声配信Voicy『コソダテ・ラジオ』の「子育てが楽しくなる小さなヒント」を読みやすく記事化しております。ぜひお楽しみください。

夏休みにおすすめの“サマースクール”

6月も中旬。そろそろ夏休みの計画を考え始める方も多いですよね。

私が今回おすすめしたいのが、サマースクールです。サマースクールというのは、夏休みの間中、いろいろな場所で行われている、親元を離れて子どもだけで数日~数週間過ごすプログラムのこと。

森の中の吊り橋で、リュックを背負って両手を広げている子ども

軽井沢や長野などの涼しいところや、全国各地の山や川、森、島など、自然の多い場所でよく行なわれています。

先生などの大人に引率されて自然などに触れ合って過ごし、帰宅時には日に焼けて、ひと回り大きくなって帰ってきます。

サマースクールは、お子さんが成長するきっかけにピッタリなのです。

子どもと離れることで、親も成長できる

国内だけでなく、海外のサマースクールにチャレンジするお子さんもいらっしゃいますよね。

私の知り合いで、イギリスの伝統校が行っているサマースクールに参加したお子さんがいました。小学4年生の女の子と中学1年生の男の子なのですが、小4というと、まだ9歳。親御さんは、それはもう心配していました。

車に乗った女の子と、見送る母親

手の届かないところに、小学生や中学生の子どもを行かせる。心配な気持ちは痛いほどわかります。そのお母さまは、行かせるかどうかでものすごく悩まれていたのですが、お子さんのほうはパンフレットのような紹介記事を見て、「行きたい」と即決。

本人たちは、準備のために英語をがんばって勉強して、親御さんは、信頼できる代理店を探して、諸々の準備をして、万全の体制で送り出しました。

そして、いざ行ってみてどうだったかというと……。お子さん自身から話を聞いたのですが、「とにかく楽しかった」「何も困らなかった」と言うのです。

一日のプログラムが決まっていて、わからないときは「わからない」と言えば教えてくれる。午前中は勉強をして、午後はテニスやスイミングなどを楽しんだり、日帰りで水族館に行くようなアクティビティもあって、大満足。

「今回は2週間コースだったけれど、次は1か月行きたい。今すぐでも行きたい」という話でした。

勉強も、算数など、まだ勉強していない範囲のものを英語で学んだそうですが、それも非常に楽しかったそうです。日に焼けて、少ししっかりした顔つきになっていました。

親御さんは、ずっと心配していた心労からか、お子さんが無事に戻ってきてから2人そろって寝込んだり、少し体調を崩されたりしていましたが、たくましくなったお子さんの横で、親側もひと山越えて、少し強くなったように見受けられました。

親が思うより、子はたくましい

うちの娘の場合は、小学5年生のとき、初めてアメリカに独りで行かせました。悪い想像をし始めると、どんどん想像がふくらんで、心配の種は尽きません。ですが、サポートが受けられる場所などを探し、安心材料を集めて見送りました。

空港でキャリーバッグを引いている女の子

親は心配ですが、子どもは危険なことがまだわからないので、親ほど不安を感じないようです。それが、無鉄砲で危ないと言えば危ないですが、それでも子どもなりに考えて自分を守る行動をしていきますので、信頼できる代理店が紹介しているサマーキャンプなどにチャレンジするのは、夏休みの醍醐味かと思います。

ただし、そういうときに仲の良い友だちと一緒に参加すると、その友だちを頼ってしまうことが多いもの。せっかくの新しい経験が、友だちに頼ってしまうことで、できなかったりすることがあります。ですので、なるべく知り合いのいない状態で参加したほうが、より深い経験になるのではないでしょうか。

語学習得よりも大事な“自信”がつく

親は、サマースクールに参加させるとき、つい「英語ができるようになる」「グローバルな視点が持てる」というような欲を持ってしまいますが、実際は大人が考えるよりも、もっと深くて濃厚な学びがそこにはあります。

たとえば、先ほどの小4のお子さんの場合。イギリスの寮では、ベッドの下に洋服ダンスが3段ぐらいあり、ベッドがものすごく高い位置にあります。9歳の女の子では自力で上れません。そこで、デスクの椅子を横に置いて、階段のようにして上ったそうです。

椅子の上に乗った女の子の脚

些細なことですが、そうしたことも、自分なりに考えてやるしかありません。誰も、「椅子をそこに置いたらいいよ」とは言ってくれません。自分で考えて、自分で運ぶ。

たとえば、虫が苦手なのに、部屋の中に虫が入ってきた場合。捕まえられないけれど、その部屋で寝るのは嫌。そんなときは、先生を呼びに行って虫を出してもらうなど……。小さなことかもしれませんが、子どもにとっては「サバイバル」です。

親と一緒の旅行では、ベッドが高いなら、「じゃあ椅子を使ったら」、虫が来たら、「じゃあ虫を出してあげるね」と、親は子どもの過ごしやすいように手助けしたり、動きます。

そうした“助け”がまったくない場所では、本人が「どうしよう? じゃあこうしよう」と考えるしかないですよね。一つひとつは些細なことですが、「英語ができる・できない」といったことよりも、「自分でベッドに上れた」「自分で行動して、虫を追い払ってもらうようにお願いできた」といったことのほうが、自信につながっていくのだと思います。

知らない場所で「自分はこういう人間です」と自分を知ってもらうところから始まり、数週間過ごす中で、仲良くなって力を貸してもらったり、あるいは助けたりしながら、たくましさが育っていくのではないでしょうか。

勉強や英語ということより、そういう人とのつながりや、初めての場所でどう振る舞ったら良いかということを考えて行動することが、本当の生きる力になるのだと思います。

自立の一歩に、「かわいい子には旅を」

親になり送り出す側になると、心配で、毎日「どうしているかな?」「連絡は来ないかな?」と考えてしまうかと思いますが、親もそうした経験を繰り返していくと、子どもへの信頼も高まりますし、子どもが遠くに行くときの準備にもなります。

親自身にとっても、子どもの自立に向けて、手を離すちょうど良い練習になるのかなと思います。

娘の場合は、その小学5年生のときから、夏に2週間ずつくらい独りで海外に送り出すことを繰り返してきて、中学3年の秋からはイギリスに留学して3年目になっています。

離れている時間のほうが長くなってきましたし、相変わらず心配ではありますが、「便りがないのが元気な証拠」と思えるようにまでなってきました。

「自立させたい」と思っても、そばにいるときは子どもに対して小うるさく言ってしまい、なかなかうまくできませんでしたが、離れて暮らすことになり、親子共々「自立」の機会をいただいたように感じています。

1~2泊でも、国内でも、おじいちゃんやおばあちゃんの家に行くのでも、少しずつ始めて、独りでお泊りをするということを積み重ねていけば、子どもも自信がついてたくましくなり、親側も子どもを信頼する気持ちを育んでいけるのではないでしょうか。

今年の夏休みの計画に、ぜひ「親と離れる子どもの時間」というのも、検討してみてください。

 

話し手/井坂敦子 構成/清野 直

『コソダテのヒント』シリーズ

井坂 敦子(いさか あつこ)さん

中学校高等学校教諭一種免許状(国語) /保育士/食育カウンセラー/表千家師範

慶應義塾大学卒業→ 雑誌『オレンジページ』編集部 →公式サイト『オレンジページnet』編集長 →小学校受験対応型保育園園長 →「花まる子育てカレッジ」にて年間約100本の子育てや教育に関する講演会や対談を企画運営。Instagramブログ「わが家の小学校受験顛記」も好評。英国留学中の高校生とボーダーコリー3頭の母

学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと編集部)

学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと編集部)

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