それ、子どもへの八つ当たりかも? 親自身の中にある“イライラの原因”と“対処法”【コソダテのヒント】
元保育園園長で、現在子育てや教育関連の講演会を配信している「花まる子育てカレッジ」ディレクター井坂敦子さんによる連載です。音声配信Voicy『コソダテ・ラジオ』の「子育てが楽しくなる小さなヒント」を読みやすく記事化しております。ぜひお楽しみください。
その“イライラ”、誰のせい?
子育てをしていると、子どもに対してイライラしてしまうこと、よくありますよね。でもそのイライラ、本当に子どものせいでしょうか?
イライラのきっかけでよくあるのが、朝、学校に行く時間が迫っているのに子どもの支度が遅いだとか、前の晩に言えばいいのに、朝になって急に「これが必要」と言ってくるなど……。
親をやっていると、子どもからの急な要望やオーダーほどドキドキすることはありません。それに応えられない自分も不甲斐なく感じますし、直前になって言ってくる子どもにも腹が立ってしまいがちです。
特に働いていたりすると、スケジュール通りに物事が運ばないと困りますから、イライラも起きやすいですよね。私自身、焦ったり、がっかりしたり、しょっちゅうイライラしていました。
そんな、ぐずぐずしたり、必要なことをギリギリに伝えたりする子どもの行動がきっかけとなってイライラが起こるのですが、じつは親の中に、元々“イライラの種”がある場合が多いのです。
“イライラの種”に引火して爆発!
私自身、元々ある “イライラの種”に、子どもの行動が引き金になって火が着き、怒りが爆発して、心にもないことを子どもに言ってしまったり、ということが多々ありました。
たとえば、夫が家事や育児に協力してくれなかったとか、仕事が立て込んでいたとか、仕事でミスをしてしまった、など。
そうしたちょっとしたネガティブなことというのは、普通に暮らしていれば起こります。そこに、子どもならではの甘えやわがまま、時間通りに物事が進まない状況が重なったりすると、心の余裕がなくなり、にっちもさっちもいかなくなってイライラが爆発してしまうのです。
あとでよくよく考えてみると、「それほど子どもが悪いことをしていないのに、ものすごく爆発してしまったな」ということがよくありました。
なぜそうなってしまうのか疑問に思っていたところ、友人から次のような話を聞きました。
婦人科の先生に、「イライラしているのは、体が鉄分不足なことが多いんですよ」と言われたというのです。
その友人は、元々お肉が苦手であまり食べないので、鉄分が不足気味でした。そうした体の状況があって、イライラしやすかったそうなのです。
これは自分にも当てはまるなと思いました。親の鉄分不足は、子どもには関係のないこと。責任はありません。なのに、子どもが何かをしたときに、鉄分不足の親がイライラを爆発させてしまい、その子に当たるということが起きてしますのです。
ですから、親御さんや保護者の方が、日頃からきちんと栄養を摂るということがとても大事だと感じました。さらに、栄養だけでなく、メンタルの状態も整えておく必要があります。
自分にとって気持ちの良い時間や、自分へのご褒美などを、生活の中にうまく差し込んでいって、自分自身の“イライラの種”をできるだけ少なく、小さくして子どもや家族に向かえると、きっと爆発もしないで済むのかなというふうに思います。
思い切って、自分にご褒美時間を
子育て中の方はやることがいっぱい。日々忙しく時間に追われていると思いますので、息抜きをするというのもなかなか難しいかもしれません。
ですが、親御さんが元気でハッピーな気持ちでいると、それがお子さんや夫、妻、パートナー、ご近所の人などにも伝わっていき、お子さんを取り巻く全体がなんとなくハッピーな空気になって、いろいろなことが前向きに転がっていくのではないかという気がします。
忙しい中でも、「えいっ!」と自分にブレーキをかけて、「ここは少し休もう」「楽しいことをしよう」と、自分自身をいたわる時間を持ったり、そのためにお金を使うと、使った時間やお金以上の大きなリターンがあるように思います。
私も経験がありますが、忙しいと、わざわざそうした時間を設けることに後ろめたさや罪悪感を持ってしまいがち。でも、一度やってみるとその効果を感じられるはずです。お子さんのためにも、ぜひ最初の1回を思い切って試してみてはいかがでしょうか?
話し手/井坂敦子 構成/清野 直
井坂 敦子(いさか あつこ)さん
中学校高等学校教諭一種免許状(国語) /保育士/食育カウンセラー/表千家師範
慶應義塾大学卒業→ 雑誌『オレンジページ』編集部 →公式サイト『オレンジページnet』編集長 →小学校受験対応型保育園園長 →「花まる子育てカレッジ」にて年間約100本の子育てや教育に関する講演会や対談を企画運営。Instagramやブログ「わが家の小学校受験顛記」も好評。英国留学中の高校生とボーダーコリー3頭の母