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【自由研究は楽しく攻略】旅行先or近所、それぞれの取り組み方のヒント【コソダテのヒント】

【自由研究は楽しく攻略】旅行先or近所、それぞれの取り組み方のヒント【コソダテのヒント】

元保育園園長で、現在子育てや教育関連の講演会を配信している「花まる子育てカレッジ」ディレクター井坂敦子さんによる連載です。音声配信Voicy『コソダテ・ラジオ』の「子育てが楽しくなる小さなヒント」を読みやすく記事化しております。ぜひお楽しみください。

“テーマ探し”は旅行先でもできる!

夏休み、お子さんの「自由研究」気になりますよね? 何をしたらよいのか、親はどこまで手伝うべきか……。「研究」という言葉が重々しく、凝ったことをしないといけない気がしたり。

でも、難しく考えなくても大丈夫です。もっと気軽に楽しく取り組んでいただけたらと願って、我が家の自由研究についてご紹介したいと思います。

娘が小学校1年生のときは、北海道旅行の経験を自由研究にしました。

洞爺湖の風景

旅の目的地は、北海道の南部にある洞爺湖です。洞爺湖は、十万年以上前に噴火してできたと言われるカルデラ湖。噴出したマグマが固まって、そこが陥没してできた湖です。

その湖の真ん中に中島(なかじま)という島があり、その島に船で渡っていきました。そこには、エゾシカやエゾリス、キツツキなど、北海道特有の生き物や植物がたくさん。

ガイドの方がいて、島の森の中を散策しながら、北海道についてや、洞爺湖が噴火によってカルデラになった経緯、先住民族であるアイヌのしきたりなどを話してくれました。

エゾシカが目の前を走っていったり、エゾリスにもすぐ出会える環境。そうした動物を間近に見ながら、植物や木の説明なども受けながら歩くツアーに参加し、帰ってきました。

森の中に立つエゾシカ

娘は、そうした経験を元に、アイヌの話や噴火によってできた軽石などについて調べ、それをまとめ、その年は自由研究として発表しました。

旅行をしたからこそ得られたテーマですし、旅先ではいろいろなこと、ものに触れられます。皆さんも旅先で少しだけ「学び」を意識すると、テーマが見つかるかもしれません。

子どもの心が動く瞬間をつかまえて

小学校2年生のときは、沖縄の小浜島や西表島など南のほうに行きました。

そこで娘は、ヤコウガイという、漢字で「夜光る貝」と書く美しい貝に出会います。

螺鈿(らでん)細工というものがありますが、その材料になるような、輝きのある貝です。その貝を使ってアクセサリーをつくるワークショップに参加したのです。

その年は、そのヤコウガイの生態について調べたり、江戸時代に盛んだった螺鈿細工の材料に使われていたことなどをまとめて、発表しました。

螺鈿細工がほどこされたアクセサリーケース

ここまで読んでいただいておわかりの通り、我が家の自由研究は、できるだけその場所に行ってみたり、その場所にあるものを触ってみたり、そこにいる人に話を聞いてみたり、ということから始まっています。

子どもの頭の中に、びっくりマークやはてなマークが浮かぶような、心が動く体験を大事にしていました。そのあとで、疑問に思ったことなどを図書館に行って調べたり、インターネットで調べたりしてまとめる、というやり方です。

宿題として、「やらねばならぬ」「やらされている」という気持ちで取り組むのは、非常にもったいないですし、残念なこと。できるだけ、親子で楽しく体験をして、その体験から出てきた感動や疑問、「知りたいな」ということをまとめて、それを宿題に落とし込んでいく、という流れでやるようにしていました。

旅先は、大人はもちろん、子どももワクワクします。見たことがないものや初めて知ることがいっぱいあり、心も家にいるときとは違い、みずみずしい感覚になっていたりしますよね。

匂いなど空気も違っていたり、出会う人の言葉のイントネーションが違ったり……。いろいろ感性も敏感になっているような気がします。

そうした状況で、驚いたり、初めて知ることは、家にいてテレビやスクリーンの向こうで出会ったときよりも、大きい驚き、大きい感動が子どもの中で生まれてくるのではないかと思います。

親子で楽しく取り組めば、かけがえのない思い出に

旅行以外にも、いろいろな自由研究をやりました。友だちと一緒にペットボトルロケットをつくって飛ばしたり、そのペットボトルロケットの中に入れる水の量を変える実験など。

ある年は、自分の家の周りの街路樹を調べたこともあります。

「家から駅までの道の両脇には、どんな木が生えているかな?」、「図書館に行く道はプラタナスだったかな」、「家の周りにはハナミズキが多いな」、「イチョウ並木もあるな」、「お寺の周りにはクスノキが生えているな」など、とにかく、道ごとに街路樹の種類を調べ、家の周りの街路樹マップをつくりました。

白い花がたくさん咲いた花水木の木

街路樹もそうですが、「ひまわりの種が、ひとつのひまわりからいくつ取れるか数える」など、そういう身近なことでもよいと思います。

まずは子どもが、「なんだろう?」「面白そう!」と思う気持ちが大事。親はそのきっかけとなるようなことを提供したり、その気持ちを少しふくらませるような働きかけをしたり、「こんなのどうかな?」などとアイデアを出してあげてもよいでしょう。とにかく楽しんでやっていただければうまくいくように思います。

振り返ると、娘と一緒に旅行に行っていろいろな驚きを体験したり、一緒に実験をしたり、暑い中、娘と一緒に歩きながら「これは○○の木だね」などと言いながら歩いたことなども、今ではよい思い出です。かけがえのない時間を過ごしていたんだな、と感じます。

娘は、自由研究を模造紙にまとめていたのですが、模造紙に書く作業はなかなか大変。模造紙を4つに分けて、「左上には○○を書くといいよ」、「右上には○○を書くといいよ」というようなアドバイスを私も出しながら、まとめ上げていきました。提出して戻ってきたその模造紙は、今でも捨てられずに取ってありますし、宝物になっています。

今どきは「科学実験セット」のようなキットなどもありますから、そういうものを上手に利用してみてもよいかもしれません。ぜひ皆さんも、お子さんとワクワクしながら取り組んでみてくださいね。

 

話し手/井坂敦子 構成/清野 直

『コソダテのヒント』シリーズ

井坂 敦子(いさか あつこ)さん

中学校高等学校教諭一種免許状(国語) /保育士/食育カウンセラー/表千家師範

慶應義塾大学卒業→ 雑誌『オレンジページ』編集部 →公式サイト『オレンジページnet』編集長 →小学校受験対応型保育園園長 →「花まる子育てカレッジ」にて年間約100本の子育てや教育に関する講演会や対談を企画運営。Instagramブログ「わが家の小学校受験顛記」も好評。英国留学中の高校生とボーダーコリー3頭の母

学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと編集部)

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