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あなたはどっち? “いい子”の親が「やらないこと」「やっていること」【コソダテのヒント】

あなたはどっち? “いい子”の親が「やらないこと」「やっていること」【コソダテのヒント】

元保育園園長で、現在子育てや教育関連の講演会を配信している「花まる子育てカレッジ」ディレクター井坂敦子さんによる連載です。音声配信Voicy『コソダテ・ラジオ』の「子育てが楽しくなる小さなヒント」を読みやすく記事化しております。ぜひお楽しみください。

「いい子」の親は、指示をしない?

わが子には「いい子」でいてほしいものですが、そもそも「いい子」とはどんな子でしょう?

小学生ぐらいだと、元気がよくてハキハキと気持ちのよいあいさつができ、お友達に優しくできる、勉強やスポーツもがんばる子、という感じでしょうか。

親はそうした理想に向かって、「うちの子は勉強ができない」「あいさつができない」などと、できない部分を減点的に見て、もっとできるようにという声かけをしがちですよね。

ソファの上で膝を抱えてうずくまる男の子と、隣で叱る母親

たとえば、支度が遅いと「早くしなさい」、宿題をしないで遊んでいたら「早く宿題をやりなさい」のように声をかけることが多いのではないでしょうか。私は毎日のように口にしていました。

一方、理想的な「いい子」の親は、どんなふうにお子さんに声をかけているのでしょう?

優等生で学級委員をやるような「いい子」、クラスに何人かいますよね。私が保育園で働いていたときも、率先して先生の手伝いをしてくれたり、いつも気持ち良いあいさつをしてくれるようなしっかりしたお子さんが何人かいました。

たくさんの親子を見てきて、そうしたお子さんとその親御さんの様子を見ていると、共通する接し方、「なるほどな」と思うやり方をされているんですね。

それは、「上からものを言わない」、「指示命令をしない」ということ。鶏と卵どちらが先かという感じで、元々「いい子」だから言わなくてもやってくれるということもあるかもしれませんが、皆さん、あまり指示的な声かけはしていませんでした。

「親子の信頼関係」が第一

東大生のアンケートで、「親から『勉強しなさい』と言われたことがありません」というような回答を、記事などでよく目にするのですが、言わなくても勉強しているからだろうな、と思うこともあります。

ではなぜ、そうした「親からすると手がかからない子」「いい子」になったのでしょうか?

ノートパソコンを手にする大学生風の若い男性

それはやはり、「親子関係」に行き着くのだと思います。以前ハーバード大学を卒業された方と話をした際にも、「お母さんとすごく仲が良くて、厳しく言われたことはまったくありません」ということでした。お母さんがしてくれたことに感謝できる、お母さんからも頼られる、弟想いのよきお兄ちゃん。

「親子関係がいい」ということですが、親子とはいえ人間対人間。日々の生活の中では、ぶつかることもあると思います。それでもお互いのことを大事に思っているかどうか、なのではないでしょうか。

ではその「大事に思う」とは、どういうことなのか考えると、よく言われているように、「相手の話を聞くこと」。子どもが「聞いてもらえている」と感じることで、子ども自身が困っていたり、うまくいかないことがあったときに、それを親に話すことができる関係が理想です。

お父さんやお母さんが「こういうのはどうかな」と相談に乗れるような関係があるから、親が指示ばかりするような状態にならないのかなと思います。

“聞く耳”は、聞いてもらった経験からできる

以前、たくさんの中学受験をする親子を見てきた、国語の家庭教師・金子香代子先生と話した際にも、「子どもが親に話を聞いてもらっている」、「子どもの話を親がちゃんと聞いている」、という状態があって初めて、子どもが人の話を聞けるようになる、とおっしゃっていました。

塾の先生の指導や、学校の先生の指導も、耳に入ってこなければ意味がありません。聞く耳を持つためには、その前に子ども自身が話を聞いてもらった経験が必要なのだそうです。

手を握り合いながら、笑顔で話す母娘

親や周りの大人が自分の話を聞いてくれる、その経験を通して、それをお手本にして「人の話を聞く」ことができるようになる。

親は、子どもに「話を聞きなさい」と言う前に、「自分は子どもの話を聞けているかな?」と、振り返ってみてほしいと思います。

「いい子」にする前に、「いい親」になろう

「いい子だな」と思うお子さんの親御さんは、やはり素敵な方が多いもの。お子さんの話を聞いて、親子の信頼関係ができています。

信頼関係ができていると、お父さんやお母さんがよかれと思ってとっている行動、たとえばあいさつなら、それを見た子どもは、大好きなお父さんお母さんを真似して自然とあいさつをするようになったりと、好循環が生まれるのではないでしょうか。

手を合わせて「いただきます」のあいさつをしている女の子

「いい子」とはいえ、つかれるときや、うまくいかないときもあるでしょう。けれど、そうした親御さんは大抵ポジティブ。失敗しても、「今経験できてよかったね」「失敗から多くを学べるね」ということをお子さんに示しています。

数々の技術や人類の進歩も、いろいろな失敗から生まれたということを、具体的に説明してあげることで、子どもは「失敗しても大丈夫。もっとうまくなるためのステップなんだな」と捉えることができるようです。そうすると、うまくいかないことがあっても投げ出さず、次に向かって気持ちを立て直せますよね。

そうした会話も、親子の信頼関係から。子どもに「いい子」を望む前に、まずは親側が子どもの話を聞ける「いい親」になってほしいと思います。

 

話し手/井坂敦子 構成/清野 直

『コソダテのヒント』シリーズ

井坂 敦子(いさか あつこ)さん

中学校高等学校教諭一種免許状(国語) /保育士/食育カウンセラー/表千家師範

慶應義塾大学卒業→ 雑誌『オレンジページ』編集部 →公式サイト『オレンジページnet』編集長 →小学校受験対応型保育園園長 →「花まる子育てカレッジ」にて年間約100本の子育てや教育に関する講演会や対談を企画運営。『入学後の学力がぐんと伸びる 0~6歳の見守り子育て』(KADOKAWA)が9月22日発売。Instagramブログ「わが家の小学校受験顛記」も好評。英国留学中の高校生とボーダーコリー3頭の母

学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと編集部)

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