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料理には学びのチャンスがたくさん! 子どもには積極的にお手伝いを頼んで【コソダテのヒント】

料理には学びのチャンスがたくさん! 子どもには積極的にお手伝いを頼んで【コソダテのヒント】

元保育園園長で、現在子育てや教育関連の講演会を配信している「花まる子育てカレッジ」ディレクター井坂敦子さんによる連載です。音声配信Voicy『コソダテ・ラジオ』の「子育てが楽しくなる小さなヒント」を読みやすく記事化しております。ぜひお楽しみください。

※今回の元になった配信は、9月22日発売の「入学後の学力がぐんと伸びる 0~6歳の見守り子育て」(井坂敦子・著)の内容を抜粋してお届けしています。

1歳からでもできる料理のお手伝い

料理中にキッチンに子どもが入ってくると、危ない、邪魔をされて面倒、などと思いがちですが、そこをグッとこらえて(もちろん安全対策は万全にして)、お子さんに料理のお手伝いをさせてみませんか?

料理には学校の勉強にもつながる「学び」がたくさんあるのです。

「でも、どんなことをさせればいいの?」と思った方。野菜を洗う、レタスをちぎる、グリーンピースや枝豆をさやから出す、煮干しの頭を取る、卵を割る……。子どもが小さい頃からできるお手伝いは、意外とあるものです。

キッチンで野菜を洗うお母さんと息子

我が家でも、娘が1歳の頃からお手伝いをお願いしてきました。すると、旬の野菜や魚に直接触れ、野菜のザラザラとした触り心地やつるつるとした表面を感じたり、魚ならぬるぬるした感触や鱗が剥がれる感じなども味わうことができます。

子どもは、初めての触り心地でびっくりしたり、場合によっては「気持ち悪い」なんて思うことも。けれど、それも刺激、経験のひとつです。

それから、持ったり下ごしらえをしている中で、香りも感じます。あとは重さ。レタスのように大きくて軽いものもあれば、ジャガイモのように小さくて重いものもあります。そんな「密度の違い」を、言葉を知る以前に、自然に体験することができるのです。

“自然”はキッチンの中にもあった?

幼児期に見たり、聞いたり、匂いを嗅いだり、触り心地や重さを感じたりといった五感を使った体験は、大人が感じる以上に鮮烈で、一生ものの記憶として脳に残ると言われています。

そうしたことからも、子どもは自然と触れ合いながら育つとよい、とよく言われていますよね。

夏は水遊びや川遊び、高原に出かけたりなど、いろいろな自然との触れ合い方がありますが、実はキッチンでも、野菜や果物、魚介類といった「自然」と触れ合えるのです。

我が家では、こんなふうに実践していました。

胸ビレを広げているトビウオ

ひとつは魚のトビウオ。絵本に登場したり、童謡に出てきたりするので、娘が小さい頃「トビウオって魚なのになんで飛べるの?」と聞いてきたのです。「なんでって言われても、飛ぶからトビウオなのよ」と言ってみても、子どもは納得しません。

そこで、大きい魚屋さんに行きトビウオを買ってきて、飛ぶときに使う胸ビレを広げて見せると、それはもう大きくて、「こんな鳥みたいな大きな胸ビレがついていたら飛ぶよね」と、理屈ではなく納得してくれていました。

もうひとつはイカです。娘と、「イカの口ってどこなんだろう?」という話になったときには、イカを1杯買ってきて、一緒にさばきました。すると、「カラストンビ」と言われる、鳥のくちばしのような硬い口がついていました。それを実際に触り、「こんなに硬くて尖っている口があったら、いろいろなものを噛みちぎって食べられるね」と想像がついたようです。

最近ではYouTubeなどで、そうしたイカが何か食べている最中の動画もあったりしますから、実際に目の前でイカのカラストンビを見て、さらに動画も見ると、とてもリアルにイカの食事風景がわかったりします。

親子で料理した時間が「財産」に

こんなふうに、料理は「理科」や「生物」、「植物」などにつながっていて、学習にとても役立ちます。

料理では計量が必要なこともありますから、「○g測って」、「○cc測って」といったことは算数にもつながります。

それから調理をしていくと、切ったり、煮たり、焼いたりする場面があり、食材の形や色がどんどん変わっていきますよね。子どもにとっては、大きな驚きです。特にお菓子づくり、たとえばケーキづくりでは、卵とバター、小麦粉を混ぜてドロドロした状態のものが、焼くとまったく違うフワッとしたものになるので、子どもにとっては魔法のようだと思います。

「混ぜ合わせて状態が変わる」ということは「化学」にもつながっていますし、そうした学びの基礎の部分を、キッチンでは楽しく知ることができるのです。

生地を伸ばしてお菓子をつくっている女の子

子どもとの料理は、あと片付けが大変だったり、失敗も多いので、手間がかかるもの。こちらの心に余裕がないとできないこともありますが、その手間や時間をかけても、それ以上によいことが先々に待っていますよ、とお伝えしたいのです。

「学び」の部分もそうですが、大きくなって「ママと一緒にあれつくったの楽しかったね」「パパとあの料理作ったから、これ好きになったよ」といったことが起きますので、時間に余裕があるときに、ぜひ親子で料理をしてみてはいかがでしょうか?

 

話し手/井坂敦子 構成/清野 直

『コソダテのヒント』シリーズ

井坂 敦子(いさか あつこ)さん

中学校高等学校教諭一種免許状(国語) /保育士/食育カウンセラー/表千家師範

慶應義塾大学卒業→ 雑誌『オレンジページ』編集部 →公式サイト『オレンジページnet』編集長 →小学校受験対応型保育園園長 →「花まる子育てカレッジ」にて年間約100本の子育てや教育に関する講演会や対談を企画運営。『入学後の学力がぐんと伸びる 0~6歳の見守り子育て』(KADOKAWA)が9月22日発売。Instagramブログ「わが家の小学校受験顛記」も好評。英国留学中の高校生とボーダーコリー3頭の母

学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと編集部)

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