時間の感覚は「アナログ」で養うのが正解! 時計とタイマーの活用法【コソダテのヒント】
元保育園園長で、現在子育てや教育関連の講演会を配信している「花まる子育てカレッジ」ディレクター井坂敦子さんによる連載です。音声配信Voicy『コソダテ・ラジオ』の「子育てが楽しくなる小さなヒント」を読みやすく記事化しております。ぜひお楽しみください。
※今回の元になった配信は、9月22日発売の「入学後の学力がぐんと伸びる 0~6歳の見守り子育て」(井坂敦子・著)の内容を抜粋してお届けしています。
アナログの時計やタイマーで上手に“心の準備”
子どものやりたいことは、とことんやらせてあげたい。でも「ごはんの時間」や「お風呂の時間」、「寝る時間」も迫ってくる。この折り合いをつけるのが難しいと感じること、ありませんか?
日常生活や学校生活の中で、とても大切な“時間の感覚”。この感覚をスムーズにお子さんに身につけてもらうために、親や周りの大人ができることを紹介します。
幼稚園・保育園の年中さん以降、だんだん数字が読めるようになってくるお子さんも多いと思います。そんなときは、時間の経過が視覚的にわかるアナログの時計やタイマーを使うと、子どもにもよくわかってもらえるようになります。
たとえば「長い針が6のところまで遊ぼうね」や、「長い針が5のところに来ていて、もうすぐ6になっちゃうから、お片付け始めようね」というように、遊びの時間を区切ったり、「終わらせる心の準備」をするのも、アナログ時計があるとうまくいきやすいのです。
お子さんが遊んでいるお部屋やリビングなどの見えるところに、大きめのアナログ時計をかけていただくのがおすすめ。
大人も子ども、楽しく集中してやっていることを止めるというのは難しいものですが、時間には限りがあります。そのためにも、時計やタイマーを上手に使っていただければと思います。
子どもが苦手な片付けも、タイマーを使えばやる気に
先ほど出てきた「片付け」も、「遊びを止めること」と同じく、子どもが嫌いなことの上位に入っているのではないでしょうか。
この片付けなども、タイマーをセットして「5分間でどっちが多くおもちゃを箱に入れられるか」「どっちが引き出しに全部入れられるか」など競争のようにすると、意外と子どもが乗り気になってくれる場合があります。
「5分でこんなにたくさん片付けられた」という達成感や、「5分ってこのくらいの長さなんだ」ということを体感するのも、大きな経験になるのではないでしょうか。
小学校に入ると、時計の読み方を算数で習います。1年生だと、「何時何十分」のように、10~30分単位くらいまで。2年生になると、「午前と午後」や、「何時何十何分」というように細かい読み方まで習ったり、「午前11時35分から45分後は何時何分?」のような60進法や12進法の足し算なども習います。
お子さんにとってはまったく新しい知識なので、いきなり「数の操作」を学ぶお子さんに比べ、幼稚園・保育園の頃からいつも時計を見て慣れ親しんでいて、「こうなっているな」とわかっていたり、頭の中で時計の針が動きをイメージできると、ずいぶん理解しやすいと思います。
ですので、算数の学びをスムーズにするためにも、ぜひ普段から「今何時?」や、「あと20分で4時だね」のような会話を、なるべくたくさんしてあげてください。
生活の中で「時間を意識する」工夫を
それから、たとえばあるお店に行くのに「車で行くと5分だけど、歩いていくと20分かかるね」というような、移動の速さの感覚や、かかった時間を意識するようなことも暮らしの中で取り入れてみてほしいと思います。
実際に同じお店に行って測ってみて、「あ、車なら5分で着いた」、「歩いたら20分かかるから、歩いた場合は15分も多くかかるんだね」「往復だと30分かかるね」というような、実際に行動してみた経験と数字を結び付けて考えたり、感じることも非常に大切です。
電車好きなお子さんなら、「普通の電車だとこれくらいかかるけど、特急だとビュンビュン飛ばしていくからすぐに到着するね」というような会話もできるでしょう。
大人にとっては当たり前のことでも、子どもは言葉で伝えてあげないと意識しなかったり、感じ取れないことが、たくさんあります。
時間の長さや速さなどは目に見えないので、子どもにはなかなか理解しにくいもの。ぜひ日々の生活の中で、「あ、今○時だね。じゃあ、○分後には出かけるよ」というような、数字を絡めた会話を意識していただけたらいいなと思います。
話し手/井坂敦子 構成/清野 直
井坂 敦子(いさか あつこ)さん
中学校高等学校教諭一種免許状(国語) /保育士/食育カウンセラー/表千家師範
慶應義塾大学卒業→ 雑誌『オレンジページ』編集部 →公式サイト『オレンジページnet』編集長 →小学校受験対応型保育園園長 →「花まる子育てカレッジ」にて年間約100本の子育てや教育に関する講演会や対談を企画運営。『入学後の学力がぐんと伸びる 0~6歳の見守り子育て』(KADOKAWA)が9月22日発売。Instagramやブログ「わが家の小学校受験顛記」も好評。英国留学中の高校生とボーダーコリー3頭の母