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子育ては「ひとりでしない」。子育ての先輩とつながろう!【コソダテのヒント】

子育ては「ひとりでしない」。子育ての先輩とつながろう!【コソダテのヒント】

元保育園園長で、現在子育てや教育関連の講演会を配信している「花まる子育てカレッジ」ディレクター井坂敦子さんによる連載です。音声配信Voicy『コソダテ・ラジオ』の「子育てが楽しくなる小さなヒント」を読みやすく記事化しております。ぜひお楽しみください。

抱え込みがちな現代の「お母さん」

「ワンオペ」などと言われるように、昨今、お母さんひとりで子育ての責任をすべて負って、抱え込んでいることが多いようです。「孤独」とかけた「孤育て」という言葉も聞かれます。

しつけや学習面、食事、着替え、歯磨き……。ひとりの人間を育てることは大ごとです。楽しいこともいっぱいありますが、とても大変なこと。それをお母さんひとりで抱え込んでいるのが現状ではないでしょうか。

娘の横で頭を抱えるお母さん

そこで今回お伝えしたいのが、「子育てはひとりでしないで」ということ。自分ひとりで抱え込まずに、いろいろな人とつながり、みんなで子育てをしてほしいと思います。

信頼できる子育ての先輩から「大丈夫、大丈夫。それはほっといても治るよ」、「大きくなったらできるようになるから、今はそんなに気にしなくてもいいよ」などと声をかけてもらえば、育児はずっとラクになります。

つらい経験も分かち合ってラクに

私が子どもの頃は、ご近所付き合いが濃く、公園などで近所のお母さんたちがみんなで子どもたちを見るような環境がありました。誰かの家で遊ばせてもらったり、遊んでもらったり、うちに来てもらったりといったことがよくありました。

今は、お母さんたちも仕事をしている人が多かったり、子どもも習い事をしていたり、放課後みんなで遊ぶということもなかなか難しく、状況が変わってきています。

そうなると、「自分の子どものことは親が責任を持つこと」と、自己責任的な考え方が強くなり、たとえば子どもが公共の場で騒いだりすると、「親は何をしているんだ?」「親の顔が見たい」というような、冷たい空気になりがちです。

ベビーカーに乗っている電車の中の子ども

電車の中で赤ちゃんが泣くと、「なんでこんな時間に電車に赤ちゃんが乗っているんだ」「いつまで泣かせているんだ」と厳しい視線がきたりして、そうなると、お母さんは自分が悪いかのように電車を降りたり、他人の目を気にして必死に子どもを泣き止ませたり……。

私も経験がありますが、すぐ電車を降りてホームで途方に暮れて、予定の時間には間に合わず、つらい気持ちになりました。そんなとき、子育て経験者同士でそうした話ができれば、気持ちをわかり合えたり、自分たちが悪いわけではないことがわかるはずです。

赤ちゃんだって電車に乗る権利がありますし、赤ちゃんは泣くのが当たり前。いくら親があやしても泣き止まないこともしょっちゅうです。迷惑がる人たちにも「疲れている」「静かに寝たい」など事情があるとは思いますが、特に都会は子どもにやさしくない社会のように感じます。

そんな中で子育てをしていくには、やはりいろいろな人とつながることが大事。「わかる、わかる」、「こうすれば大丈夫だよ」と声をかけ合える、助け合える仲間とつながっていくのは、心強いことです。

溢れる情報で不安やイライラに悩んだら……

子育ては、毎日が非常事態。子どもはいつ泣き出すか、ぐずるか、かんしゃくを起こすかわからない。今にして思うと、時限爆弾を抱えているような日々でした。小さい頃は特に、危なくないように、怪我をさせないように、命を落とさないようにと、気も張っています。

そんな必死な親が子育て情報を探そうとすると、インターネットにはいろいろな情報が溢れています。「それもやらなくちゃいけないの?」「これもやっておいたほうがいいの?」と焦ってしまうこともあるでしょう。

パソコンの前で悩んでいる様子の夫婦と女の子

夫婦や家族で、「これはやろう」、「うちはこれはやらない」と取捨選択して方針が固まってしまえば、揺れることもありませんが、そうでないと毎回グラグラ揺れて、気持ちもイライラしがちです。

たとえば、「挨拶はちゃんとできなくてもいい。その代わり親が挨拶する姿を見せて、子ども自身に気づいてもらおう」などと決めると、子どもの挨拶がうまくできなくても気になりません。逆に方針が決まっていないと、「ああ、うちの子は今日もできなかった」、「声が小さいな」などと気に病んでしまいます。

たとえば漢字の勉強なども、「毎日時間を決めて勉強する」とだけ決めて、テストの点数などは気にしないことにする。そうすれば、テストの点が悪くても怒ったり悩んだりすることが減るでしょう。

方針が決められると悩みは少なくなっていくと思いますが、方針が決められないと、物事一つひとつに対して心配やイライラがついて回り、毎日しんどくなってしまいます。

こうしたことも、子育ての先輩などから、「大丈夫。漢字なんてもう少ししたらちゃんと書けるようになるよ」、「鉛筆の持ち方に慣れてきたら、もっと早く書けるようになるよ」、「小学生のときに挨拶がうまくできなかった子も、大きくなったらできるから気にしなくていいよ」などと先の見通しを教えてもらえると、スッとラクになれて方針も決めやすくなりますよね。

揺れ動く気持ちは愛情の証

インターネットなどで「○歳でこんなことができた」「○歳までに△△をやらせましょう」などと目にすると焦って不安に駆られてしまいますが、子育ての先輩や親戚など、身近なお子さんの体験談を聞くと、「できなくても大丈夫なんだな」と不安が消えたりします。

キャッチする情報次第で、親御さんの心持ちは揺れるもの。まるでブランコのように行ったり来たりするかと思います。揺れたり迷ったりするのも、愛情があればこそ。日々揺れながら、選択しながらお子さんを育てていることでしょう。

子どもを抱っこした3人のお母さんたち

その揺れの途中で揺れが大きくなりすぎてしまったとき、子育ての先輩や、信頼できる誰かに相談したり愚痴を聞いてもらったりして、自分だけで抱え込まないで子育てをしていただけたら嬉しいです。

 

話し手/井坂敦子 構成/清野 直

『コソダテのヒント』シリーズ

井坂 敦子(いさか あつこ)さん

中学校高等学校教諭一種免許状(国語) /保育士/食育カウンセラー/表千家師範

慶應義塾大学卒業→ 雑誌『オレンジページ』編集部 →公式サイト『オレンジページnet』編集長 →小学校受験対応型保育園園長 →「花まる子育てカレッジ」にて年間約100本の子育てや教育に関する講演会や対談を企画運営。『入学後の学力がぐんと伸びる 0~6歳の見守り子育て』(KADOKAWA)が9月22日発売。Instagramブログ「わが家の小学校受験顛記」も好評。英国留学中の高校生とボーダーコリー3頭の母

学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと編集部)

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