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「お年玉とられた」を防ぐ、子どものお金の管理術。貯め方・増やし方を専門家が解説

「お年玉とられた」を防ぐ、子どものお金の管理術。貯め方・増やし方を専門家が解説

子どもにとってうれしいお年玉やお祝い金などの臨時収入。ところがコミュニケーションを一歩間違うと、「とられてしまった!」と受け取られてしまうこともあるので注意が必要です。

「臨時収入をもらったタイミングは、家庭でお金について話をする絶好のタイミング」と話すのは、キッズ・マネー・ステーション代表で子どものマネー教育にくわしいファイナンシャルプランナーの八木陽子さん。

子どもの臨時収入に対する上手な関わり方や管理術について聞きました。

子どもの臨時収入はマネー教育のチャンス!

お年玉やお祝い金は大きな金額になるからこそ、全額を子どもに渡さず貯金をしたいと考える保護者の方は多いのではないでしょうか。

そんな親の想いとは裏腹に、子どもたちの素直な感覚は「自分宛にもらったのに、どうして自由に使えないの?」というのがリアル。

説明もないまま親がお年玉やお祝い金を預かると、「自分がもらったお金を親にとられた!」というネガティブな感情が生まれかねません。

とくに親自身がお金に関する話をタブーに感じていると、なぜお金を預かるのかという話がないまま貯金に進んでしまいがち。だから親子間にギャップが生じるのです。

そうならないために、このタイミングをマネー教育のチャンスと捉えて、子どもとお金について話す機会にしてもらえたら。

「将来のために貯金をするね」とひと言で伝えるのではなく、どんな使い道があるのか子どもに伝えてみましょう。

大学や専門学校等のために貯めるというのもあるけれど、たとえば、好きなサッカーで、遠くに遠征することがあるかもしれない。海外に行きたいと思うかもしれない。お金を貯めることによって、いろんな選択肢が広がることをぜひ話してみてください。

また、預かったお金は、銀行に預けるだけではなく、一部を投資して増やすために運用する、毎月のお小遣いの原資にするなど、さまざまな方法があるので具体的に噛み砕いて説明するとわかりやすいと思います。

そこから、いま銀行にお金を預けたらどのくらいの利子がつくか、銀行の役割や投資の仕組みなどもそう。教育資金についても、大学に行くためにはいくらくらい必要で、留学するなら1年間でどのくらいお金がかかるかなど、発展して話ができるといいですね。

親自身が知らないことは一緒に調べてみるのもひとつの方法。子どもと向き合ってお金について話し合うことこそが、いい社会勉強になるはずです。

子どもの臨時収入は3つに分けて賢く管理

貯金や管理も、子どもを上手く巻き込むことができればマネー教育の機会になるため、3つに分けて管理する方法をおすすめしています。

1.すぐに使えるように、子どもの手元に置いておくお金

ひとつは、「子どもの手元に置いておくお金」です。全額を親が管理するという方法もありますが、子ども宛にいただいたお金であることは間違いないので、一部は子ども自身に渡すのがいいのではないでしょうか。

「もらってうれしい!」という子どもの気持ちも大切にしつつ、親子で話し合ったうえで、双方が納得のいく金額を決められるといいですね。

金額の決め方は、もらったお年玉やお祝いの額、子どもの年齢、お小遣いの有無、普段からどのようにお金を管理しているかなどをベースに、流動的に考えましょう。

2.子ども名義の口座に入れて、子ども自身が管理するお金

ふたつめは、「子ども自身が管理するお金」です。

親がお年玉やお祝い金を貯金する場合、「いまいくら貯まってるの?」と聞いてくることもあるでしょう。

子どもの臨時収入以外もまとめて貯金している場合や、お祝い金の貯金を続けていてすでに大きな金額が貯まっている場合は躊躇しますよね。思い切って包み隠さず伝えたら、クラスの友だちにその額を言いふらしてしまったという失敗談もよく聞きます。

その対策としておすすめの方法は、子ども自身が管理するための本人名義の口座開設。我が家の場合は、この口座の管理を子どもに任せるという方法で、うまくかわすことができました。

口座に入れておくのは、最初は数千円で十分。通帳や暗証番号の管理も思い切って子どもに任せて、自由に入出金できるように伝えられるといいですね。

親が介入しないことで、暗証番号を忘れたり、キャッシュカードを紛失したりということが起こるかもしれませんが、失敗も貴重な経験。「自分のお金は自分で管理しないと誰も守ってくれない」ということを子ども自身が実感できます。

この先、キャッシュレス決済を使ったり、自分でバイトをして収入を得るようになったりすると、子ども名義の銀行口座は必要になるもの。

すでに子ども名義の口座がある場合でも、可能であれば、子どもと一緒に銀行に行って口座開設の手続きをすることを検討してみてください。銀行の仕組みやお金の流れを肌で実感できる機会です。

3.将来の教育資金として、親が管理するお金

最後に、もっとも金額が大きくなるであろう「親が管理するお金」です。

保護者名義の口座に教育資金として貯めていく、子ども名義の口座に親が管理して貯めていく、日々の生活費の補填にするなど、管理の方法は家庭によってさまざまだと思います。

私の場合は、預かったお年玉やお祝い金を投資信託にまわし、教育費を貯めながら増やしていけるように管理しています。

せっかくであれば、ただ貯めるだけではなく「増やす」という選択肢を視野に入れてみてはどうでしょうか。

「お金を増やす」ことにもチャレンジしてみよう

株や投資信託をはじめ、iDeCoや2024年1月から始まった新NISAなども、長期投資できるもののひとつ。

開設の手続きや銘柄選びなどいろいろと面倒だと感じる人もいると思いますが、工夫次第で子どもの投資リテラシーを育成するマネー教育になるんですよ。

「投資したお金は時間が味方になってくれる」ということを私はよく講座でお話します。運用で得た利益を元本に上乗せして再投資していくので、利益が利益を生み、運用期間が長いほど利益も大きくなるからです。

我が家も子どもたち名義の投資用口座を作って運用し、定期的に親子でレポートを見ながらお金の動きを自分事として理解するということを行っていました。

その経験からか、もらったバイト代を銀行で寝かせておくのはもったいないと感じるらしく、大学生になったいまでも子どもの頃に作った口座で投資を続けています。

子どもと一緒に運用する場合は、1000円などの少額で投資をはじめてみるのがいいかもしれません。リスクもしっかり説明したうえで、いいときもあれば悪いときもあることを実感していく。

月々の小さな積み立てでも複利の効果を感じられれば、子どもたちも自然と自分のお金に対して運用を考えるようになるのではないでしょうか。

 

取材・文/水谷映美 編集/石橋沙織

八木 陽子(やぎ ようこ)さん

八木 陽子(やぎ ようこ)さん

八木 陽子(やぎ ようこ)さん

キッズ・マネー・ステーション代表。出版社勤務を経て独立。2001年にファイナンシャルプランナーの資格を取得し、さまざまなマネー記事の執筆やプロデュース、セミナーなどを行う。2017年、文部科学省検定の高等学校の家庭科の教科書にファイナンシャルプランナーとして初めて掲載される。『6歳からのお金入門』『10歳から知っておきたいお金の心得』など著書多数。

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