「早く準備しなさい」は必要なし!朝の時間が劇的に変わる仕掛け時計
子どもをつい叱ってしまう、注意ばかりになってしまう……そんなお悩みを抱える保護者に提案したいのが、親野智可等先生の「前向きな声かけ&方法の工夫」です。
今回は、戦場のような「朝の準備時間」がスムーズになるアイデアをお伝えします。
【お悩み】慌ただしい朝にのんびりしているわが子。「早く準備しなさい!」と繰り返し言っていますが、一向に改善しません。
これは、多くのご家庭で悩まれていることではないでしょうか。〇時までに家を出ないと遅刻してしまうのに、着替えもゆっくり、ご飯を食べるのもゆっくりだと、親の方が焦ってしまいますよね。
そもそも子どもたちの性格はさまざま。テキパキ進められる子もいれば、なにをやってもマイペースで遅い子もいます。
これはほとんど生まれつきの資質によるものであり、親のしつけが悪いということではありません。
同じように育てているきょうだいでも、テキパキ型の子とマイペース型の子がいるのがその証拠。ですから、子どもを叱る必要もありませんし、親が「育て方が悪かった」と自分を責める必要もないのです。
「模擬時計」で時間を可視化してみよう
とはいえ、毎回「早くしなさい!」と叱ってばかりでは、言われている子どもはもちろん、親もつらいですよね。
お互いに笑顔で「行ってきます」「いってらっしゃい」と声をかけあって、1日をスタートするために、時間を可視化できるアイテムを使ってみましょう。
たとえば、朝食をのんびり食べている子に、時間を意識してほしいときは、以下の方法を試してみてください。
1.100円ショップなどで売っているアナログの卓上時計を用意して、食卓に置く。
2.画用紙にアナログ時計の絵を描き、本物の時計の横に置く。このとき、時計の針は、朝食を食べ終わる時間を示す。
3.子どもに、「この絵の時計の針の時間で、食事を終わろうね」と声をかける。
この「模擬時計」の仕掛けは、今の長い針の位置と、イラストの長い針の位置を比べることができるため、終わりの時間がぱっと見てわかるようになります。
じつは、私たちの生活に関わる量のほとんどは、目に見えます。たとえば、物の重さは体重計やはかりではかることができるし、水の量も計量カップなどではかることができる。
けれども時間は見えません。だから、時間を把握し、調整することが難しいと感じてしまうんですね。その点、アナログ時計を使って時間を可視化すると、残り時間が目に見えるため、朝の準備もぐっとスムーズになるはず。
この方法は、「着替えを終える時間」「学校に行く時間」「宿題をする時間」「お風呂に入る時間」など、日常のあらゆる行動に使えます。
模擬時計を作るときは、お子さんと一緒に相談しながら進めることが大切です。時計の針通りに行動できたら、思いきり褒めてあげてくださいね。
取材・文/水谷映美 編集/石橋沙織 イラスト/ぴよととなつき デザイン/曽矢裕子