Case 13 SNSの友だちとどうつきあう?(2)/わが家のSNSトラブル ~ユカの事件簿~
「SNSで知りあった相手と会ったことはない」と言っていたユカが会っていたSNS友だちとは?
入学前に友だちを作るイマドキの子どもたち
SNSで知りあった相手(リアルの友だちと区別するため「SNS友だち」とします)と会ったことはない、と言った娘のユカでしたが、実際には会っていたのです。
それは、大学の入学式でのことでした。
近年の受験生は、大学の合格発表から入学式までの間に、SNSで自分の大学や学部名で検索をかけて仲間をさがし、入学式にはその仲間といっしょに行くのがあたりまえになっています。
ユカもそんなふうにTwitterで声をかけあった集団で入学式に行きました。「同じ大学に通う」というリアルな共通項でつくったSNS友だちと会っていた、というわけです。
ユカからSNSで入学前から同級生さがしをしている話を聞いたとき、わたしは半ばびっくり、半ばあきれてしまいました。
でもユカは
「みんな友だちになって入学式に来るから、ひとりで行くと仲間に入れない!」
と言ってゆずらなかったのです。
「SNS友だちでもセーフ」の理由
この一件は、まさにリアルとSNSがクロスしているので、ユカもわたしもこれが「SNS友だち」だと失念していました。しかし本質的には前回の「同じタレント好きのSNS友だちと待ち合わせした高校生」と同じことをしています。
わたしはなぜ不安を感じなかったのでしょう?
ユカが分別のある年齢になっていたということはもちろんですが、この場合「セーフ」と判断する十分な理由がありました。
- 同じ大学に通うという共通項が確認しやすい大学の構内、入学式という「公の場所」で会う
- ふたりきりでなく、集団で待ち合わせる
公の場、集団で会う状況なら、何かあったり、おかしいと思えば大学や他の友だちに相談できます。これは安全のために大切なポイントです。もし「同じ大学に入るというSNS友だちと、ふたりで渋谷で会う」なら、わたしは反対したでしょう。
SNSとリアルを安全にミックスさせるには
スマホが小中学生に普及したいま、中学受験、高校受験のあとの子どもたちもユカと同じようにSNSで同級生さがしをしていることでしょう。
リアルの出会いとSNSの出会いの差は、確実に小さくなってきています。
小学生や中学生のうちは「SNS友だち」と会うのは禁止とわたしは考えていましたが、これからはそう単純にはいかないでしょう。
「SNS友だち」とのつきあい方は、お子さんの状況、相手の属性、会うときの環境などを保護者が慎重にみきわめてそれぞれのご家庭で決めることですが、SNS全盛のいま、SNSからリアルへ安全に着地するためのルールが、子どもたちにも必要になってきたとわたしは感じています。
たとえば、「同じ部活をやっている他校のSNS友だちと、部活の仲間といっしょに、競技の大会で会う」のはOK、「同じアイドルが好きなSNS友だちと、ふたりで、アイドル映画を見に行く」のはダメ、と決めたとしましょう。どこで線引きをするにせよ、その理由を、子どもが理解し納得できていることが大切です。
SNSとリアルの間に境界線がある親世代と、SNSとリアルを同じように感じている子ども世代では、意識に大きなギャップがあります。
SNSの「実際に会っていない怖さ」をわかる親が、それを子どもに伝えなければ、前回の「女子だと思っていた相手(男)とふたりきりで会った女子高生」のように、子どもは怖さとのニアミスを続けてしまうことになります。
今回のコラムをきっかけに、あらためて親子で「SNS友だち」とつきあうルール、リアルの友だちとのちがいや怖さや楽しさについて話しあってください。それは、わたしたちが思いもよらない子どもの行動を未然に防ぎ、子どもを守ることにもなるでしょう。
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