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Case 14 待ちあわせは、だいたいそのへんで/わが家のSNSトラブル ~ユカの事件簿~

Case 14 待ちあわせは、だいたいそのへんで/わが家のSNSトラブル ~ユカの事件簿~

待ちあわせ場所を決めないでなんとなく集まるユカ世代。でもそれで本当に大丈夫?

待ちあわせの時間も場所もあいまいなユカ世代

ケータイに電話をかけるとき、つい「○○さんですか」と言って、娘のユカに「ママ、古い」と笑われるわたしですが、もうひとつユカに「古い」と言われてしまう習慣があります。

それは、待ちあわせ場所を細かく決めることです。

いったいなにが古いの? あたりまえのことじゃない? と思った方はわたしと同世代かもしれません。ユカの世代の待ちあわせは親世代とはかなりちがいます。

「じゃあ、○○デパートの本屋で3時。雑誌のあたりにいるね」

などとわたしがユカに言うと

「もっとテキトーでいいよ。『デパートに着いたらLINE』でいいでしょ」

とあきれられます。 たしかにユカたちの待ちあわせは、場所の指定がいいかげんで、時間も「だいたい」です。

とくに4~5人で集まるときは「だいたい●時くらいに○○ショッピングモール」というように建物全体でざっくり待ちあわせて、現地に着いてからLINEのグループトークで自分のいる店を報告しあって、メンバーが多そうなところになんとなく集まっていくのです。

いつでもリアルタイムにつながっているのがあたりまえなユカ世代は、「もし出先で会えなかったらどうしよう」という不安とは無縁なのです。

ユカ、スマホを忘れて母に緊急コール

ところがある日、ユカはスマホを家に忘れて待ちあわせに行きました。

仲間と連絡をとることができなくなったユカは、待ちあわせ場所の大きなショッピングモールまで行って、みんながいそうな店を回ったもののだれにも会うことができず、困ってわたしに電話をかけてきました。

「ママにわたしのスマホのパスコードを教えるから、ロックを解除して、友だちにLINEを送ってください!」

しかたないので、わたしはユカのスマホでLINEを送りました。

「ユカの母です。ユカはスマホを家に忘れました。いま○○駅の改札にいるので、迎えに行ってあげてください」

いきなり変なLINEのメッセージを受けた友だちは「なりすまし?」と不思議がったものの、ユカの待つ改札へ行ってくれました。ユカは無事に仲間と合流できましたが、かなり笑われたようです。

ユカたちも、失敗で慎重になっていく

スマホを家に忘れる以外にも、途中で充電が切れたり、地下で電波が届かなかったり、混雑しすぎて連絡がついても集まれなかったり…と、思いがけないことはいろいろ起こるものです。

ユカたちは、ディズニーランドや花火大会でもこんな調子で待ちあわせをして、さすがにいくつか失敗したようです。いまではすこしお利口になって、特別なイベントのときは「最悪(=連絡できない場合)ここにいる」という場所を決めるようになりました。

ケータイやスマホ(あるいはポケベル)がない時代の待ちあわせの大変さを、ユカ世代は知りません。「はじめての場所で、スマホを使わずに待ちあわせ」したら、はたして、子どもたちは会うことができるのでしょうか?

時間になっても相手が来ないときは、電車が遅れているのか、どちらかが場所や時間をまちがえたのか……。自分はここで待つべきか探しに行くべきか……。スマホなしでは、なんとかして相手に会うまでその正解がわかりません。今回のユカのあわてぶりを見ても、相当なストレスになりそうです。

いまでも縄文時代や戦時中のくらしを体験するイベントがありますが、スマホ世代が親になるころには「スマホのない生活を体験する」イベントが行われているかもしれませんね。

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マリ(まり)

マリ(まり)

マリ(まり)

サラリーマンの夫・大学生の娘(ユカ)との3人暮らし。
大学の恩師の「あなたは一生文章を書きつづけなさい」という言葉を真に受けて、今も日々ものを書いている。
現在はIT系の会社で、セミナー関連の仕事に携わっている。
趣味は映画鑑賞。年に100本みることがひそかな目標。

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