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Case 39 FF外から失礼します/わが家のSNSトラブル ~ユカの事件簿~

Case 39 FF外から失礼します/わが家のSNSトラブル ~ユカの事件簿~

「FF外から失礼」という不思議な言葉を最近目にします。新たな礼儀が生まれたのでしょうか。

そんなネットマナーあったっけ?

最近Twitterで不思議なフレーズを見ます。
「FF外から失礼します」

FFとは、フォロー/フォロワーという意味です。
フォローしてもされてもいないのに、リプ(コメント)してすみません、とまえおきしてリプするのです。
フォローはゆるい結びつきです。たいていの人はTwitterでフォローするとき、外すときにいちいち相手に断ったりしません。そんなFFなのに、FF外が失礼? なんで?

「はじめて書きこむときはあいさつしよう」というネットマナーはありますが、「FF外から失礼します」とはちょっとニュアンスがちがいます。「FF外……」では、はじめてその人にリプを送るからあいさつするのではなくて、フォローしてもされてもいない人にリプを送る失礼を謝っています。

新たなネット常識の誕生か?

そこでわたしはハタと考え込んでしまいました。Twitterってリプを送るときはフォローするのが常識だったかな? いや、そんなことはないはず。そもそも、公開アカウントの内容は全世界だれにでも読めるから、発信した以上、だれからリプが来ても、それを失礼とは言えないのでは? FF外に見てほしくなければ、かぎアカ(非公開アカウント)にすればいいのですから。

海外メディアでも「FF外から失礼します」を日本の不思議な言い回しと紹介し、「日本人は内と外を分けるのを重視するから、TwitterでもFFで分けるのでは」と考察していますので、ネットの常識ということではなさそうです。(※1)

もう少し考えてみました。

「ユカの事件簿」では、37回でTwitterの公開アカウントで私的なやりとりをしている子どもの姿、38回は他人への非難をその相手以外のだれともなしに向けて書く姿を書きました。どちらのケースもTwitterを人ごみのようにとらえて、公開アカウントの発言も自分の想定した相手だけが受け取るのがあたりまえと、あまく見ているように思えます。子どもたちは、人ごみの中の人は自分の発言に聞き耳をたてたり介入したりしないと思いこみ、「発信している」という意識がうすいことはたしかです。

そう考えると、FF外の相手がリプしてくるのは、学校で友だちとおしゃべりしているところに職員室の先生が加わるような場ちがいな感じ、なのでしょうか。公開アカウントは、校内放送でおしゃべりを全校に流しているようなものなのですが……。

ネットに人ごみなし

さて、Twitterの利用率は10代20代が高いそうです。娘のユカも、友だちとの交流はTwitter中心で、「Twitterがいちばん気楽に楽しめる」と言います。

そんなTwitter世代ど真ん中のユカに、Twitterを人ごみとみなすことについて感想を聞いてみると、
「いまもそんな感じで使っているし、関係ない人は知らんぷりするのが新しい礼儀になるならそのほうがいいな」
という答えです。

ユカは大歓迎のようすですが、ちょっと自分に都合よく解釈しているように見えます。Twitterに新しい礼儀が生まれたとしても、炎上するような発言まで礼儀を守って知らんぷりしてくれるとは思えません。ネットには、聞き流してくれる人ごみなんてないんです。炎上したときに、自分が友だちに向けた発言を取り上げるのは礼儀に反するだろうと怒ったところで、あとの祭りです。

うかつにプロフィールを公開してうかつな発言をしていると、なにかあったらすべてさらされると肝に銘じて、いつでも個人の特定につながる情報の公開は慎重にしないといけません。
昔の人はうまいことを言いました。

公開先に立たず……いえいえ、後悔先に立たず、ですね。

※1 Mashable Asia
http://mashable.com/2017/08/30/japanese-twitter-mansplain-ff-gai/#EG6fFt7wBmqA

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マリ(まり)

マリ(まり)

マリ(まり)

サラリーマンの夫・大学生の娘(ユカ)との3人暮らし。
大学の恩師の「あなたは一生文章を書きつづけなさい」という言葉を真に受けて、今も日々ものを書いている。
現在はIT系の会社で、セミナー関連の仕事に携わっている。
趣味は映画鑑賞。年に100本みることがひそかな目標。

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