Case 52 ユカと見たスマホとSNSの4年間 2/わが家のSNSトラブル ~ユカの事件簿~
スマホと二人三脚で送ったユカの大学生活をふりかえる第2回は、大学の交友関係とSNSです。
大学生活が始まる前からSNSに集合
娘のユカの4年間の大学生活をふりかえり、前回は大学や授業のシステムにかかわるエピソードを紹介しました。今回は、交友関係についてです。
大学の交友関係は、入学前からネットで始まりました。
ユカたちは、進学する大学が決まったら、TwitterのハッシュタグやSNSの自分のプロフィールに大学名を入れて、検索でお互いを見つけ、同級生になる仲間とやりとりを始めました。そうやってさまざまなSNSで数人から数十人のグループがいくつもできて、入学式にはそのグループで集まって参加します。
入学前に情報交換するというより、入学式でひとりぼっちにならないように友だちをつくっているのです。
「まわりがみんなSNSで友だちになってから入学式に来るから、ひとりで行ったら仲間に入れないんだよ」
と、ユカは言います。
ひとりになってしまう、それはユカたちにはたいへん切実な問題のようです。
この急ごしらえのSNS友だちとは、入学後しばらくは待ちあわせて授業に出たりお昼を食べたりしますが、徐々に自然解散していきます。授業が始まり、サークルが決まると、そこでできた友だちとのつきあいへとシフトしていくのです。
サークルの仲間とSNS
サークルでできた友だちとも当然SNSでつながりますが、実際に顔を合わせることが主で、SNSはその連絡ツールという印象です。
ユカたちは最初のころはFacebookをよく使っていました。けれど、実生活の延長でさまざまな上下関係まで入りこんでくるので敬遠しがちになり、より仲間うちで、自由に発言できるグループLINEをつくったり、Twitterの実名アカウントや、Instagramをフォローしあったりしていました。ちなみに、Twitterの実名アカウントは学校名公開のかぎ付きアカウントで、いわばユカの表玄関です。親しくなると別のアカウントでやりとりが始まります。
4年の間にいろいろ新しいSNSが現れました。話題のSNSに乗りかえたもののもっと新しいSNSに目移りしたりして、発言や画像などのユカの思い出の保存先はバラバラです。4年分の思い出がそろって残っているSNSはけっきょく、FacebookとTwitterの実名アカウントだけのようです。
名簿の意味がなくなった?
ユカは大学の友だちの住所をほとんど知りません。スマホでいつでも本人に直接連絡がつくので、だいたいの家の場所や最寄り駅くらいしか知りません。
ユカに大学のクラスやゼミ名簿はなかったのか聞くと、答えは、
「名簿の情報っていらないから、あったかも憶えていない。実質、グループLINEが名簿だよ」
つまり、メンバーが集まったときにLINEのIDを交換してグループをつくれば、電話番号もメールアドレスも知る必要がなくなってしまうのです。通話もメッセージもLINEでできますから。それらが一覧になった表を配る意味はないのです。
ユカのゼミは、ユカの1年上の代までは連絡にメーリングリスト(あるメールアドレスにメールを送ると、メンバー全員に同じメールが配信されるシステム)を使っていましたが、ユカたちは教授にお願いしてスマホにLINEアプリを入れてもらい、グループLINEにしました。ここにも、急速に行きわたったスマホがコミュニケーションを変えているのを感じることができます。
ところで、ユカが卒業するころ、後輩に手渡したい物があるのに学校で会うことができなくて、郵送したのですが、そこではじめて
「住所どこ?」
という話になったそうです。
「LINEでは荷物は送れないから、住所、大事だね」
などとユカはえらそうにうなずいていますが、この調子だとLINEのIDで荷物が送れる時代も来るかもしれませんね。
次回は、大学生でもまだまだ起こるSNSトラブルのエピソードです。
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