Case 53 ユカと見たスマホとSNSの4年間 3/わが家のSNSトラブル ~ユカの事件簿~
スマホと二人三脚で送ったユカの大学生活。第3回は、交友関係で起こったトラブルを振り返ります。
他人の変な顔ばかり公開する友だち
ユカたちはだいたい、大学入学時の仲間さがしなどのためTwitterやFacebookに実名アカウントを持っていたので、最初のころはその実名アカウントで新入生歓迎会などで撮った画像を公開して共有していました。
ユカの入学したころよく使われたSNSはTwitterでしたが、変な顔で写っているユカの画像を勝手に公開する友だちに、ユカは悩まされました。
その子のTwitterのタイムラインには、イベントがあるたび、カメラに気づいていないユカを撮った画像がアップされます。ユカにかぎらず、自分が撮ったほかの子の変な顔ばかり「おもしろ画像」として何枚も公開したのです。
非公開アカウントとはいえ、大学の友人だけでなく、ユカの知らないその子のフォロワーにも、変な自分の画像が公開されてしまうのです。ユカはその子に、こういう写真をTwitterにあげるのはやめてと抗議しましたが、取りあってくれませんでした。
「変な顔の画像」程度では、ことを荒だてる気にはなりません。もう親が解決にのりだす年ごろでもありませんから、対応はユカに任せましたが、同じようにイヤだと思う子たちから注意されても、あいかわらずだったそうです。
数カ月たつと、仲間うちのコミュニケーションはグループLINE中心になり、その子もTwitterで画像を公開しなくなったそうです。でも、イヤな思いをした相手から失った信用は結局最後まで戻りませんでした。
壁に耳あり障子に目あり人にスマホあり
また、あるときユカと街を歩いていたら、
「へー、あのふたり、つきあってるんだあ」
とユカがつぶやいてニヤニヤしたあと、急に慌てだしたことがありました。
バイト仲間ふたりがデートしているところに、ユカはぐうぜん出くわしたのです。お互い気がつきましたがだまって通りすぎて、数メートル歩いてから、ユカは今日バイトをズル休みしたことに気がついて、あわてて女の子のほうに口止めのLINEを送りました。
「お願い、バイトのグループLINEにわたしに会ったって書かないで!」
すぐに返事が来ました
「大丈夫! わたしたちのことも書かないで! まだナイショ!」
このときはお互いだまっていてほしい事情があったのでセーフでしたが、相手の子がなんの気なしに「いまユカちゃんに会ったよ」とグループLINEで知らせてしまうこともあるでしょう。サボったユカが悪いとはいえ、スマホ経由で待ったなしで行動がつつぬけになるSNSはやっかいです。
「中高生のころとはちがう意味で、実名アカウントはキケン!」(ユカ)
大学時代は実名でネットとしっかり関わるようになる時期です。名前などの個人情報を出さないことでネットでの安全を守れた高校生までとちがい、リアルの自分と強く結びついたアカウントで、個人情報をどこまで公開するのが安全なのか判断しないといけません。安全に関することだけでなく、なんとなく知られるとバツの悪いことも、年齢に応じて出てきます。
ユカたちは、入学当初は、FacebookやTwitterの実名・公開アカウントでいろいろなことを発信していましたが、時間がたつにつれ足が遠のき、匿名アカウントやグループLINEを好むようになりました。学校、バイト先、先輩、親……だれでも見るところにうかつに発信して、みんな大なり小なり痛い目をみたようです。社会に出たときにSNSとどうつきあうかの良い予行練習になったのではないでしょうか。
そして大学生後半になると、ふたたび実名・公開アカウントの内容をあわてて見直す時期がやってきます。就職活動です。
次回は就職活動とネット(SNS)について話したいと思います。
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