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Case 54 ユカと見たスマホとSNSの4年間 4/わが家のSNSトラブル ~ユカの事件簿~

Case 54 ユカと見たスマホとSNSの4年間 4/わが家のSNSトラブル ~ユカの事件簿~

ユカの大学生活を振りかえる第4回は、スマホなしでは考えられなくなった就職活動のエピソードです。

スマホ必須のナンバー1は、就職活動!?

これまで3回にわたって娘のユカの大学生活をお伝えしてきましたが、今回とりあげる就職活動(就活)こそが、スマホがないと始まらないイベントのナンバー1かもしれません。

就職情報サイトへの登録、企業研究、採用情報、エントリーシート(企業に提出する履歴書のようなもの)の作成や提出、会社説明会の申し込み、面接の連絡や内定の知らせまで、就活はスマホ(あるいはパソコンや携帯電話)なしではとてもこなしきれません。

就活生の外出中に家電(いえでん)に内定の連絡が入り、家族が電話口で「ありがとうございます!」と頭を下げるのは過去のこと。すべては本人のスマホで完結してしまいました。

情報を知りすぎるユカたちのジレンマ

ユカたちは就職情報サイトで採用の情報を集めるだけではなく、就活生の集まるネット掲示板で、同じ会社を受けている学生どうしで情報交換をするそうです。大学受験のころには、同じ進学先の人を検索してネット上で集まっていましたが、就活でも志望者が集まって情報を共有しているのです。

これはとても便利な反面、自分には連絡がないのにほかの人の面接が進んでいることや、ある大学の学生にだけ説明会があったことを知ってしまうなど、絶望的な気分になることも多かったとユカは言います。
自分が行動するまえに情報がたくさん入ってくることは、効率よく動けるというプラス面がある反面、先が見えた気がして、学生が勝手に見切りをつけてしまうようなマイナス面がどうしても出てしまいます。

おとぎ話の魔法の鏡の持ち主も、知ってもしょうがないことばかり鏡に聞いていましたが、他人の就活の進みぐあいはムダ情報だと知りつつ気にしてしまうのが人間の弱さで、情報が手に入りすぎるユカたちが気の毒にも思えます。

そのSNSのアカウントは、見られて大丈夫?

就活が現実味を帯びたユカたちが急に気になること、それは、

「わたしの実名SNSは、見られても大丈夫だろうか?」

ということでした。

ほとんどの大学生は、実名のアカウントを持っています。
個人情報の管理に問題がなく、炎上するような発言もないごく普通のSNSアカウントを、企業の採用担当が見るという視点で見直してびっくり! エントリーシートや面接でアピールした立派な志望動機や充実した学生生活とはかけはなれたお粗末な発言や画像が並んでいることに、にわかに気づいてあわてだすユカたちでした。

公開アカウントの持ち主は、内容を修正したり、アカウントを非公開(かぎアカ)にしましたが、そのうちどこからかウワサが流れました。

「人事は、かぎアカのかぎを外せるらしい」

いまとなっては笑い話。冷静に考えれば、そんなことができるはずはありませんが、就活生は「もしかしたら」の不安がぬぐいきれません。
一部の学生は、入学時から就活を意識して自己アピール用のSNSアカウントを作っていましたが、残念ながらユカの友だちの大半は、就活的にはまったくカッコのつかないSNSをまえに途方に暮れました。

実際のところ採用担当が学生のSNSをチェックするか、したとして、どれほど参考にするのかはわかりません。しかしSNSにかぎらず、ネット上に残した発言や画像が将来も自分についてまわることは、忘れてはならないでしょう。

ネットでの発信は、仲間うちで消えるおしゃべりに思えても、だれにでも伝わり、ネットのどこかに残ってしまう可能性があることは、お子さんに強く伝えていってほしいと思います。

次回はエピローグとして、社会人になったユカのカルチャーショックをご紹介したいと思います。

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マリ(まり)

マリ(まり)

マリ(まり)

サラリーマンの夫・大学生の娘(ユカ)との3人暮らし。
大学の恩師の「あなたは一生文章を書きつづけなさい」という言葉を真に受けて、今も日々ものを書いている。
現在はIT系の会社で、セミナー関連の仕事に携わっている。
趣味は映画鑑賞。年に100本みることがひそかな目標。

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