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親が知らない!? 意外と見落としがちな「ネットリスク」子どもを守る方法は?【専門家が解説】

親が知らない!? 意外と見落としがちな「ネットリスク」子どもを守る方法は?【専門家が解説】

好奇心が旺盛な子どもたちにとって、インターネットは自分の世界を広げてくれる魅力的なツール。ところが、個人情報の不正入手を狙った悪質なサイトなどに子どもが無防備にアクセスしてしまった……という声も。

親としては、子どもの安全を守りたいからこそ、時間制限や使用方法のルール作りなど悩みや困りごとはつきません。

そこでお越しいただいたのが、ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザーとして活躍する鈴木朋子先生。

子どもが安心・安全にスマホを利用するためにはどうすればよいのか、小学生のお子さんがいる保護者と一緒にお話を聞きました。

座談会メンバー

鈴木朋子先生プロフィール
保護者プロフィール

保護者のお悩みNO.1! 使用時間のルール作りはどうしてる?

吉岡さん:うちは、まだスマホを持たせていないので、家族共有のデバイスで時間を決めて動画を視聴しています。ちなみに、みなさんの家庭では、動画視聴やスマホを使う際のルールは決めていますか。

スマホを持つようになったら個人専用デバイスになるという意味で、管理が複雑になっていく印象があります。

どこまで管理をするかもそうだし、しっかり管理ができるのかどうか……。

水口さん:我が家は時間制限は結構ガチガチ(笑)。スマホ、タブレット、パソコン、Switchをそれぞれ1時間と決めて、21時半には全てのデジタル機器の電源が落ちるようにしています。

でも、弟の時間が終わったら兄の時間を使って2人で見ることもありますし、お友だちと遊ぶときや旅行のときなんかは、使い切っちゃったから伸ばしてほしいって言われることも。

鈴木先生:時間のルールは、完全に固定できないところが難しいですよね。

動画視聴も、自分がやりたいことのために興味を持って調べるなどのクリエイティブな目的であれば、無理に制限する必要はないと思います。

鈴木先生:各家庭で基本ルールを決めて、それが問題なくできていればいいとする。

たとえばこの日は塾が長引いてしまったから、別日の使用時間を伸ばすなど、生活に合わせて対応すると子どもたちもストレスがないかもしれません。

子どもの好奇心と家庭のルール、バランスの取り方は?

横田さん:我が家はGmailのアカウントを子どもたち3人分作って、ファミリーリンクで時間制限をしています。

でも、13歳まではYouTube動画が見られない設定になっているので、結局親のアカウントを使用している状況が……。

中学生のお兄ちゃんはパソコンに詳しいから、親の先をどんどんいくし、好奇心が旺盛なのでファミリーリンクでは制御できないこともしようとしているし。

吉岡さん:そんなことが!

鈴木先生:子どもたちって、学校でパソコンがくわしい子にお悩み相談みたいな形で困りごとを聞いたり、情報共有をしたりしているから、親の想定を超えてくることってよくあることかもしれません(笑)。

悪気はないし、知的好奇心や探究心があるからこその行動なので、ポイントを押さえて管理するのが重要なんですよね。

鈴木先生:とくに決済関連は、気を付けたいですね。

未就学児や小学生の場合は、クレジットカード番号をゲームのパスワードを入力する感覚で入れてしまう、なんてことも。気づいたら100万円、200万円になっていたケースも少なくありません。

共有のタブレットやお古のスマホを子どもが使う場合は、親がデバイスに登録しているクレジットカードを使えないようにしておきましょう。

また、子ども専用のスマホを契約する時点で、ルール作りと一緒にフィルタリングサービスなどの加入もしておくと安心です。

小学生がいつの間にか課金…!? 悪質なサイトから子どもを守る対策

横田さん:インターネットって本やテレビと違って、何を見ているのかがわからないじゃないですか。だから本音を言うと履歴を取りたくて。

一応見られるようにはなっていますが、いろんな抜け道はありそうですし。みなさんはどうですか?

水口さん:うちは、子どもたちに「履歴はたまにチェックするからね!」と宣言しています(笑)。何かの拍子でクリックしてしまったのか、いかがわしいサイトに飛んだ形跡が……。

最近は学習系のサイトですら、怪しい広告だらけ。ゲームの攻略サイトなんかはとくにすごくて。私自身もストレスを感じています。

吉岡さん:広告を閉じようと思っているのに、間違えてクリックしてしまうことって大人の私ですらあります。

子どものことで言うと、謎の女性が英語でずっと喋っている英会話サイトに課金しそうになっていたことも。たまたま近くで見ていたので止められたのですが。

鈴木先生:広告系のトラブルはここ最近非常に増えていて、一見安全なように見えて実は悪質なものもたくさんあります。

「有料会員登録が完了した」「有料アプリのインストールが完了した」などのメッセージが表示されるようなワンクリック詐欺もありますし、最近は、個人情報を抜き取るフィッシング詐欺の手口もどんどん巧妙になってきているんですよね。

子どもが小中学生の間は、まだ親の目があるのでいいのですが、実は大学生ぐらいがいちばん危ないんですよ。

鈴木先生:ローンを組めるのが18歳からなので、定期購入サービスなど、初回無料で登録したものが途中解約できないというトラブルも起こりがちです。

子どもが小さいうちからご家庭でインターネットの危険性について話していくのはもちろん、デジタルな対策としてセキュリティを強化しておくのもひとつの方法です。

ネットリスク対策ができる​「フィルタリング」や「ブロックアプリ」ってどんなもの?

鈴木先生:フィルタリングとは、未成年が有害なサイトや違法なサイトなどにアクセスできないように守ってくれる機能のこと。スマホだと、携帯通信会社で契約時に加入するタイプ、もしくはスマホのOSに装備されている機能、アプリ等があります​。

最近は本物そっくりのフィッシングサイトも増えているんですよ。

ダークパターンと言って、Webサイトの表記やデザインを利用し、定期購入であることを隠す、解約ボタンが見つからないなど「消費者」を欺くようなサイトも。

より安全にインターネットを使えるようにするためには、フィッシングサイト以外にも、子どもの目に触れさせたくない悪質な広告をブロックしてくれるセキュリティアプリを入れておくことで対策が可能です。

実際にセキリュティアプリを体験する専門家と保護者
実際に広告とフィッシングサイトをブロックするアプリを体験してもらいました。

鈴木先生:セキュリティ対策ソフトやアプリはフィッシングサイト対策に特化しているものが多いなかで、「アドクリーナーPlus」はアプリTOPのスイッチをONにしておくだけで、全部まとめてブロックできるのがいいですね。

広告を表示させるためにデータ通信量がかかっているので、それを節約するという意味でも、このようなブロック系のアプリを活用するのはとても便利なんです。

セキュリティアプリの画面
スイッチONでブロックが可能。Androidのアプリは実際にブロックした広告の数やデータ通信量などがわかる設計。 

吉岡さん:そんなメリットもあるんですね。データ通信量のことなんて考えたこともありませんでした!

水口さん:実際に見てみたら、これまで当たり前のように目に入ってきたわずらわしい広告が出ないのはストレスがないですね。

鈴木先生:万が一フィッシングサイトのURLに飛んでしまったときに、警告の画面が出るのも安心できるポイントだと思います。

みなさん普段から気を付けていらっしゃるとは思うのですが、たまたま契約したばかりのサービスだったり、頼んでいた荷物を早く受け取りたかったり。

余裕がないときに実在の会社になりすましたメールを受け取って個人情報を入力してしまったという方は意外と多くいるんです。

水口さん:フリーメールは本当にフィッシングメールがよく届くので助かります。

わたしは普段、広告を見ないとコンテンツが見られないサイトを利用することもあるので、そのときだけブロックを外せるのは便利かも。

横田さん:広告ブロックの機能は、複数のアプリやブラウザに対応しているので、親としても安心感があります。

デジタルな対策を上手に取り入れながら子どもをネットリスクから守っていこう

鈴木先生:子どもたちが巻き込まれやすいトラブルは危険なサイトだけに限りません。身近なところで言えば、SNS利用にもたくさんの危険が潜んでいます。

たとえば、SNSで高額バイトの募集に安易に応募し、本人の意思と関係なく犯罪に手を染めてしまって10代が捕まる事件が多発しているんですよ。

横田さん:SNS以外だとオンラインゲームのチャットもありますよね。

鈴木先生:そうそう。同世代のお友だち感覚で、知らないうちに知らない人と会う約束をしているお子さんも。

オンライングルーミングと言って、すごく巧妙に長い時間をかけて手懐けて会う用事を作り、子どもが性被害に合ってしまったという事例もあるので注意が必要です。

吉岡さん:自分自身もそうですが、改めて子どもたちのデジタルリテラシーを育てていく必要性を実感しています。どんな風に取り組んでいくといいのでしょうか?

鈴木先生:まずは、家族が同じものに触れながら、親の価値観を伝えていくところから始めてみましょう。

たとえば、怪しい情報に触れているときに「これはあまり良くないんだよ」と声をかけたり、「この人の考えは少し偏っている気がするな」と話したり。

インターネットとの付き合い方の判断基準が自然と身につくいい機会になると思います。

水口さん:日々のコミュニケーションの積み重ねが大事なんですね。

鈴木先生:将来的に子ども自身が、自分で判断をしながらインターネットをうまく使いこなせるようにしていく、というのが本当のゴール。ですから、失敗してもいいくらいの気持ちで、見守ることも大切です。

鈴木先生:今はスマホデビューは中学生という家庭が多いのですが、ちょうど思春期に入る頃なので、過剰に制限するとかえって反発を招くことも。

ルールは、親が一方的に作って守らせるのではなく、いっしょに考えていく。トラブルにあってしまったときに相談ができるような親子の信頼関係を築いていくことが重要です。

フィルタリングや広告ブロックアプリなどのデジタルツールも上手に活用しながら、子どもたちがインターネットを安心・安全に使えるようにサポートできるといいですね。

取材・文/末永陽子 編集/石橋沙織 写真/鈴木謙介 デザイン/曽矢裕子 制作協力/キングソフト株式会社

学研キッズネット編集部

学研キッズネット編集部

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『学研キッズネット』は、1996年にオープンした小・中学生のためのWebメディアです。学研の子ども向け書籍や雑誌の編集ノウハウを活かし、子どもたちが安全に楽しめるサイトとして運営しています。
子どもたちのしあわせのために、家族のしあわせのために、有益な情報やサービスをお届けできるよう、いつも精一杯がんばっています。

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