【中学生】はじめての定期テスト、ここが知りたい!-第一回-
新しい中学生活もいよいよ後半戦。その前に避けて通れないのが期末テストです。子どもが小学校時代には無かったこの「定期テスト」、親としてどのような心構えで望めば良いのでしょうか。また、今の定期テストの位置づけは私たち親世代が中学生だった頃とどう変化しているのでしょうか。教育のプロフェッショナルに聞きました。
中学校における定期テスト、大きな特徴とは?
今回、中学校における定期テストについてお話を伺ったのは、福岡県を拠点に九州を中心に学習塾を展開している全教研の谷口正明先生。全教研も所属している学研グループの塾講師の中でも数パーセントしか取れないSS講師の資格を持つまさに教育のプロフェッショナルです。まずは、定期テストの役割を教えてもらいました。
「定期テストの一番の目的は、生徒の学習理解の確認です。それぞれの学科によって、知識や技能、思考力など理解に必要とする能力が枝わかれしていきますので、学期ごとの理解度を把握するためにテストを行います。答案を見ることで、学校の先生は、この子は意外と応用力があるなとか、もう少しここが伸びて欲しいなとか、子供の可能性を広げるための手段になっていると思います」
学期ごとに行われる「中間テスト」と「期末テスト」には、行うタイミングや学習範囲以外にも違いはあるのでしょうか。
「根本的に違う部分もあります。中間テストは主要5教科(国数理社英)の学習範囲を確認するテストですが、期末テストの範囲は音楽などの学科も加わり、9教科に広がります。また、都道府県によって違うのですが、1学期は中学校に入学したばかりで行事も多く、授業も思うように進まないこともあり、中学1年生は中間テストを実施しない学校も非常に増えてきています」
つまり1学期の定期テストは1回しか実施されない可能性も。中学2年生、3年生と学年が上がるにつれ、テストの成績が進学に大きく影響してくるため、シビアになってくるのもまた事実。実際、今の公立高校の入試制度では、日頃の成績=内申がかなり重要視されています。
「都道府県によって違いもありますが、公立高校の入試は、当日の入学試験の他に、中学3年生の内申表の評定、いわゆる学校の成績通知表の評定を合わせて合否の判断を行います。合否判定に大きな影響のある内申にはこの定期テストの成績が大きく作用しています。中学生にとって定期テストが重要視される大きな要因の一つではないでしょうか」
内申には定期テストの成績の他に、日頃の授業態度や提出物をきちんと出しているかなども加味されているそう。また地区によっては、中学1年生からの成績も考慮に入れるところもあるそうで、中学1年生の定期テストとはいえ、あまり油断はできなそうです。
スタートダッシュはプラスに作用する
また、谷口先生によると、実は初めての定期テストが後々の中学生活に影響を及ぼす可能性もあるとか。
「例えば中学1年生の最初に行われた定期テストで、きちんと勉強をしてテストに臨み、いい成績がとれた。このように勉強をして良かったという経験を積むと、その後の勉強に対するモチベーションが上がります。そうすると学習に対してポジティブに、もっと勉強しようと学習の習慣付けにもつながりますね。そういった点で初めての定期テストというのは、点数自体に一喜一憂する必要はないですけど、重要視してあげないといけないと思います。ただ、たとえ結果があまり良くなくても、1年生の一学期での成績は夏の勉強で十分に取り戻せます。なので、あまり焦らず、どこが出来なかったかを振り返ってみてください」
教科ごとでは、大きく変わった英語に注意!
いまの子どもたちの教科書を見ると、一番内容が変わったと感じるのは「英語」です。今年の新中学1年生から、実は内容がぐんと難しくなり、習得しなければいけない単語数もかなり増えているのだそう。
「2020年の教育改革で、小学校5、6年生の英語が教科型になりました。それを踏まえて、中学生の教科書はすでに600〜700単語を小学校で習得した状態で読むテキストの仕様に変化しています。しかし授業で習った単語を、小学生の皆さんがスムーズに読んだり書けるようになっているとは思えません。そこの差を埋めようと、教育の現場も試行錯誤しながら学習を進めている状況なんです。ぜひお子さんの教科書を開いてみてください。かなりびっくりされると思います」
これから中学生になるお子さんを持つ親御さんは、小学校5〜6年生は英語をある程度理解する下地を作っておく時期、その発展系が中学1年生なんだという認識を持っておいてください、という谷口先生。
新しい学習指導要領が導入された中学生が、初めて体験する『定期テスト』。どのように勉強していくのがいいのでしょう。次回は具体的な勉強方法についてお伝えします。