航空自衛隊に所属する自衛官。空から来る脅威から日本を守る。
こんな人にピッタリ!
人のため、国のために役に立ちたい人。体力に自信があり、自分をきたえたい人。協調性のある人。どんなときも冷静に判断できる人。
どんな仕事?
さまざまな後方支援によって日本を空から守る
航空自衛隊の仕事は、日本の平和と安全を空から守ること。そのために全国28か所に配置されているレーダーサイトでは、専門の航空自衛官が24時間体制で日本の領空を警戒・監視している。領空へ侵入する恐れがある国籍不明機をレーダーが探知すると戦闘機部隊に緊急発進(スクランブル)命令が下され、こちらも24時間体制で待機しているパイロットが戦闘機で出撃。国籍不明機を領空から退去させるのだ。また、日本本土を狙う航空機や弾道ミサイルに対しては、地対空ミサイルで迎撃する体制も整っている。緊迫する国際情勢に即応態勢で臨む一方、災害時に被災者をヘリコプターで救援したり、国外の紛争地へ物資を空輸する国際平和協力活動も展開したりする。ほかにも、外国へ赴く要人を運ぶ政府専用機の運行を担当。アクロバット飛行チーム・ブルーインパルスの展示飛行では多くの観衆を感動させている。そうした航空自衛隊ならではの活動を支える「航空機整備」「航空管制」「輸送補給」といった業務もある。さらに、飛行に必要な天気のデータを収集する「気象」、基地の「警備」、医療施設を管理する「衛生」、予算を編成する「会計調達」など、後方支援を担当する業務も多い。国家的行事やイベントで演奏を披露する「音楽隊」も全国に5つある。航空機をはじめ先端技術の装備を駆使する航空自衛官は、それぞれの専門的な知識や能力のスキルアップに日々取り組むプロフェッショナルだ。
これがポイント!
自衛官の採用試験を受ける
航空自衛官になるには、自衛官の採用試験に合格しなくてはならない。採用試験は学歴や年齢によっていくつかのコースに分かれている。中卒をふくむ18歳以上33歳未満か高卒の人はだれでも受けられる採用試験は「自衛官候補生」と「一般曹候補生」の2種類。自衛官の階級には一番下から「士」「曹」「准尉」、幹部である「尉」「佐」「将」まで16の階級がある。自衛官候補生と一般曹候補生は「士」からスタートして「曹」への昇進を目指す。自衛官候補生と一般曹候補生のちがいは、勤務期間。自衛官候補生は数年間勤める任期制(1任期は、陸上自衛隊が1年9か月、海上・航空自衛隊が2年9か月)だが、一般曹候補生は定年まで勤めることができる。大卒や大学院卒(20歳以上28歳未満)が受ける採用試験は「一般幹部候補生」。合格者は「曹長(航空自衛官は、空曹長)」からスタートして尉官を目指す。高卒者でも、防衛大学校へ進学・卒業することで幹部候補生(曹長)として任命される。ちなみに、防衛大学校卒業生の場合、約1年で幹部自衛官(航空自衛官は、3等空尉)に昇進する。
自衛隊のパイロットを目指す人は「航空学生」へ
自衛隊の戦闘機、輸送機、ヘリコプターなどの航空機を操るパイロットを目指すなら、海上・航空自衛隊のパイロット養成制度である「航空学生」になるのが一般的だ。まずはその採用試験に合格する必要がある。受験資格がある学歴は、高校卒業、中等教育学校(中間一貫校の一種)卒業、高等専門学校3年修了者(各見込みをふくむ)および高校卒業と同等以上の学力があると認められる者。年齢は、海上自衛隊が18歳以上23歳未満、航空自衛隊が18歳以上21歳未満)。男女ともに受験可能だ。試験は、筆記試験と口述試験。身体検査やパイロット適正検査も行われる。合格者は、航空自衛隊の場合、山口県の第12飛行教育団に入隊し、約2年間の基礎教育を受ける。さらに飛行幹部候補生として約2年間の操縦教育を経て、パイロットの国家資格を取得。その後、約4か月から1年で戦闘機・輸送機・救難機(ヘリコプターなど)に分かれて訓練を受け、各部隊へ配属されるのだ。また、防衛大学校を卒業してパイロットの道を進む者もおり、女性の戦闘機パイロットも存在する。
将来はこうなる
日本の領空に加えて宇宙も守備範囲に
現在の日本を取り巻く国際情勢は、決して安心安全なものではなくなっている。空からの攻撃につねに備えている航空自衛隊の任務は、これまで以上に重要なものになるだろう。そんな航空自衛隊が守る空の上に広がる宇宙空間でも危険が高まっている。現在、地球を取り巻く宇宙空間には、人類が打ち上げに使ったロケットや壊れた人工衛星の破片など無数の「スペース・デブリ(宇宙ゴミ)」が漂い、運用されている衛星に衝突する恐れがあるのだ。位置情報(GPS)や通信・放送・気象などに関わる衛星がスペース・デブリとの衝突で機能しなくなることがあれば、日常生活に多大な支障をきたすことになる。2022年に航空自衛隊が新たに発足させた「宇宙作戦群」は、日本の人工衛星の安全を確保するための部隊。活動範囲が宇宙に広まった航空自衛隊の任務は、ますます重要になっている。
データボックス
収入は?
初任給の月額は、自衛官候補生・一般曹候補生ともに、高卒が17万9200円、大卒が19万8100円。一般幹部候補生は、大卒が22万6500円か24万3500円、大学院卒が24万7500円。夏冬のボーナスもある。戦闘機パイロット(2尉)の場合、航空手当が月額で約20万円つく。また、防衛大学校の学生には11万7000円の学生手当が毎月支給される。
休暇は?
完全週休二日。休日に仕事をした場合は代休をもらえる。
職場は?
全国に約70か所ある基地や分屯基地など。
なるためチャート
航空自衛官の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!