ブリーダーは動物の繁殖(ブリーディング)、飼育、販売を手がけ、動物の血統や品種を次の世代に引き継いでいく仕事。ここでは主にペットの犬や猫などのブリーダーについて紹介する。
こんな人にピッタリ!
動物が大好き。日々の世話は欠かせないので、粘り強く続けられる人。命をあずかる仕事なので、責任感のある人。
どんな仕事?
交配から販売までを管理し、健康な子犬や子猫を飼い主のもとに届ける
ブリーダーは血統の良い犬や猫を繁殖させ、飼育し、販売する仕事だ。交配→出産→健康管理(飼育)→譲渡の流れで、元気な子犬や子猫がペットショップなどを通して飼い主のもとに届けられるまでを見守る。動物の生態や血統について広い知識を持ち、母犬・母猫が無事に出産できるように助産師役もこなす。生まれたばかりの子犬や子猫の健康をチェックしつつ、食事や排泄の世話、日々の様子を観察しながらこまめに世話をしていく。飼い主に直接譲渡する場合も、ペットショップに販売するときも、生後最低56日を経過していなければならないため、その間、ブリーダーは責任を持って育てる。
これがポイント!
ブリーダーを目指すなら最初から将来の独立・開業を考えよう
犬や猫の出産・飼育は物を大量生産するようなわけにはいかず、愛情と手間をかける必要がある。大規模に展開できる事業ではないため、ブリーダーの多くは個人事業主だ。大企業でサラリーマンとして長く勤めるような働き方はそもそも難しいので、ブリーダーをめざすなら最初から将来は独立するつもりで計画を立てよう。
専門学校や大学・短大で動物の生態など基礎知識を学ぼう
ブリーダーには国家資格のような特別な資格は必要ない。とはいえ、動物・ペットについての知識がまったくない素人がいきなり仕事をすることは現実的には難しく、まずは動物関連の専門学校や大学などで動物についての基礎知識を学び、卒業後に個人のブリーダーのアシスタントか企業への就職を目指すことになる。ブリーダーを目指すにあたって取得しておくと役立つ資格は、たとえば「愛犬飼育管理士」や「公認訓練士」、「家庭動物管理士」「動物看護士」「愛玩動物飼養管理士」「トリマー」などがある。ブリーダーの養成に特化した専門学校はあまりないので、こうした資格を取得しやすい専門学校を選ぶのも一人前のブリーダーへの近道と言える。
独立・開業に必要な申請と「動物取扱責任者」の選任
ブリーダーのアシスタントや企業で経験を積み、独立・開業しようとするなら「第一種動物取扱業」の登録を、管轄する都道府県(あるいは政令指定都市)に申請することになる。このとき大切なのが、新しく開設する施設には「動物取扱責任者」を置かなければならないことだ。こういう名称の資格があるわけではなく、以下4つのうちのいずれかの資格や経験があれば「動物取扱責任者」を名乗ることができる。独立しようとする本人が「動物取扱責任者」の要件を満たしていればOKで、実際に「第一種動物取扱業」を届け出る人が「動物取扱責任者」を兼任していることが多い。
4つの条件は次の通り。
①獣医師
②愛玩動物看護師
③専門性を有する社団法人などの団体の試験に合格し、第一種動物取扱業者のもとで6か月以上の実務経験がある。
④獣医学、動物看護学、畜産学などを学ぶ大学や専門学校などを卒業し、第一種動物取扱業者のもとで6か月以上の実務経験がある。
③の試験には、一般社団法人ジャパンケネルクラブが認定する「愛犬飼育管理士」や「公認訓練士」、一般社団法人全国ペット協会が認定する「家庭動物管理士」、公益社団法人日本愛玩動物協会による「愛玩動物飼養管理士」、一般社団法人全日本動物専門教育協会が認定する「トリマー」など、環境省が認める多数の団体・資格がある。また、各自治体が独自に認めている認定試験もある。
将来はこうなる
愛情を持ち、新しい仕組みにも対応できるブリーダーが望まれる
日本国内のペットブームは、犬と猫を中心に、人気種は変化しながら続いている。現在はマンションやアパートでも飼える小型の室内犬や猫が人気だ。犬や猫に限らず、小動物のペットも増えている。ブリーダーという仕事は今後も有望だが、ブームに便乗して過剰に繁殖させた子犬や子猫を劣悪な環境で飼育したり、売れ残ったら殺処分したりする悪質なブリーダーやペットショップもあとをたたない。そこで、2022年にブリーダーやペットショップなどが販売する犬や猫にマイクロチップを装着し、情報を登録することが義務づけられるようになった。また、近年はインターネットを活用して販売するケースも増えているが、信頼できる飼い主さんだけに直接譲渡し、その後も情報を共有しながら一緒にペットの成長を見守るブリーダーもいる。こうした新しい取り組みに対応しながら、命ある動物を愛情をもって見守るブリーダーだけが、これからは求められていくだろう。
データボックス
収入は?
平均年収は343~389万円。扱う頭数だけでなく、動物の希少度、人気度によっても収入に違いが出る。
休暇は?
命ある動物の世話は毎日必要なので、まとまった休みは取りづらい。出産に立ち会うときなど、一晩中つきあうことになる。独立したばかりで一人で仕事をするときなどは特に年中無休と覚悟しよう。
職場は?
活躍中のブリーダーのもとでのアシスタント、企業、ペットショップなど。
なるためチャート
ブリーダーの仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!