僧侶とは、お寺に所属し、その宗派の儀式や行事をおこないながら、自身も修行を重ね、世の中に仏教の教えを広めていく仕事。
こんな人にピッタリ!
仏教の考えに共感できる人、人の気持ちを思いやれる人、人の話を親身になって聞ける人。
どんな仕事?
故人を供養し、仏教の教えを人々に伝えていく
僧侶はお寺に所属し、檀家(※)から依頼される葬儀や法事などでお経を唱えたり、仏教を地域の人々に広めるための説教を行ったりする。墓地を持っているお寺では、墓地の維持や管理などもおこなう。最近ではお寺に属さず、葬儀社と契約してフリーランスで活動する僧侶や、派遣サービスの会社に登録して依頼主が葬儀や法事などを行う場所へ出張する派遣僧侶も増えている。
※檀家=お寺の信徒となりお布施をして経済的な支援をする人・家のこと。
「僧侶」「お坊さん」「住職」の違い
「僧侶」とは、出家して仏門に入り修行をする人すべてを指す名称だが、似た呼び方に「お坊さん」「住職」などがある。「お坊さん」は僧侶に親しみをこめた呼び方。「住職」は、住み込みで寺の管理や維持運営をしている僧侶のことを指す。多くの場合、親のあとをついで子どもも僧侶となり、住職としてあとをつぐが、最近ではあとつぎのいない寺も増えている。お寺を続けていくために、宗派の本部から新しい住職が派遣されるケースもある。住職は基本的にひとつの寺にひとりだけで、複数の僧侶が在籍するお寺では、住職に次ぐ地位の僧侶は「副住職」などと呼ばれる。
これがポイント!
僧侶になるには「得度」の儀式が必要
僧侶になるために必要とされる公的資格のようなものはないが、仏教を学ぶためにその世界に入ることを許可される「得度」という儀式を受けなければならない。一般的に「得度」は髪を剃り(剃髪)、僧侶としての名前となる「戒名」(浄土真宗の場合は「法名」)をいただくもので、「出家」とも呼ばれる。「得度」は師匠となる「師僧」のもとで行われる。仏教系の大学の多くは「得度」がカリキュラムに組み込まれているため、そうした大学への進学が僧侶への近道と言える。また、一般の総合大学や専門学校などを卒業後、直接寺をたずねて弟子にしてもらい、住職から「得度」を受けるケースもある。最近では通信教育や短期の講習を受けることで僧侶として認める制度もある。宗派によって得度の受け方や修行方法、僧侶として認められるまでの道筋がさまざまに異なるので、学校を選ぶときはしっかり確認しておきたい。髪を剃らない場合もある。
宗派の違いによって学ぶべき大学は異なる
日本の仏教には多くの宗派がある。宗派別に出家や修行のやり方に違いがあり、学べる大学も宗派別に異なる。自分がどの宗派の僧侶を目指すのか、よく確かめてから進学準備を進めたい。たとえば、曹洞宗の場合は駒澤大学、浄土真宗の場合には龍谷大学、日蓮宗の場合は立正大学、真言宗の場合は高野山大学などが有名で、それぞれ仏教学部が設置されている。大学を卒業してから寺院に奉職(就職)し、修行をしながら僧侶としての一歩を踏み出すのが一般的だ。一方、通信教育や短期間の修行を行う団体で学び、得度の機会を得ることもできる。いずれの方法であれ、得度を受ければ一人前と認められるのではなく、僧侶はそこからがスタート。僧侶として活動するようになってからも仏教について学び、人々に伝えていくための修行は生涯続いていく。
将来はこうなる
僧侶の役割はさまざまに広がっている
葬儀や法事といった仏教儀式は近年、簡素化される傾向にあり、僧侶の需要も減少している。しかし、お経をあげるほかに、さまざまな取り組みに挑む僧侶は増えている。座禅会や写経会を主催したり、地域の人が訪れるお祭りやイベントにお寺の場所を提供したりして、人々が気軽に寺院に足を運び、楽しみながら仏教に触れることができるように知恵をしぼっている。SNSなどを使って、僧侶としての活動や仏教の魅力を発信したりする人もいる。僧侶にとって本来の目的は仏教を世の中に広めていくこと。そのために何ができるのか、現代における僧侶の役割を自分なりに考えて実践していくことがこれからは求められている。
データボックス
収入は?
平均年収は447~537万円。お寺の収入の大半は、檀家によるお布施と葬儀や法事の際のお礼、墓所の管理費などで、檀家の数が多いほど収入は多い。お布施などのお礼には税金がかからないため、高収入の例もある。派遣やフリーランスの僧侶は、法事1件ごとに値段が決められていて、どれだけ仕事をこなすかで収入は変わってくる。
休暇は?
お彼岸など仏教にとって大切な時期には、特に多忙になる。複数の僧侶がいる寺は交代で休みを取るが、ひとりの場合はまとまった休暇や遠方への旅行などは期待できない。
職場は?
寺院、葬儀場、檀家の家など。
なるためチャート
僧侶の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!