書道は毛筆と墨を使って、文字の美しさを表現する日本の伝統芸術。書道を仕事として生計を立てる人が書道家だ。
こんな人にピッタリ!
落ち着いて、ひとつのことに集中できる人。日本の歴史・文化に興味がある人。知識を深めるために文献を読むこともあり、その読解力のある人。
どんな仕事?
書道家は「流派」に属するのが基本
書道家は墨を毛筆につけて文字を表現する芸術家。さまざまな流派(表現方法や考え方が異なる集団)があり、書道家はいずれかの流派に属して、自分が理想とする書をめざして日々努力を重ねていく。全日本書芸文化院が主催する「全日本書道コンクール」をはじめ、全国規模のコンクールはたくさんあるが、入賞したり、展覧会などで評価されたりするようになっても、作品を売って食べていけるような書道家になれるのはほんの一握り。多くは書道教室を開くなどして生計を立てながら活動を続けていく。学校などで書道を教えたり、企業の依頼を受けて書を使った作品を制作したりするなど、さまざまな活躍の場がある。
これがポイント!
教室を開くなら「師範免許」、学校で教えるなら「教員免許」
書道家になるために必要な公的資格はない。作品としての書が評価されれば、誰でも書道家を名乗ることはできる。しかし実際は、独学で学ぶことは難しく、いずれかの流派に属する師匠について練習し、コンクールや展覧会などに積極的に応募して名声をつかんでいく。書道教室を開く場合は、各流派が認める「師範」免状を取得したい。その流派で教えるにふさわしい能力を認めるもので、教室を開く上で必須の資格ではないが、「師範」の看板は信頼できる教室の証になる。流派ごとに「師範」認定のカリキュラムは異なるので、確認しておく。また、教育現場で教えるなら大学・短大で「教員免許」を取得しておく必要がある。
書道家になるためのルートを教えてくれる大学や専門学校も
全国にはたくさんの書道教室があるので、興味がわいたらまずは近所の教室を探して話を聞くといい。教室では書道の基礎から教えてくれるが、上達するには、日々の練習が不可欠だ。長く続けることが、結局は一人前の書道家への近道になる。
ただ、書道教室を途中で辞めてしまった人や、教室に行った経験がない人でも、職業としての書道家に興味があるなら、高校卒業後、書道コースのある大学や書道の専門学校を選択する方法もある。書道の基礎、歴史などを初歩から学びながら、書道についてより深く考察する4年生の大学や、書道を生かせる仕事への就職ガイダンスが充実した専門学校もある。
指導者資格の証明にもなる民間の資格検定
書道を教える場合、「師範」免許は各流派が認定するものだが、流派を問わない民間資格がある。一般財団法人日本書写技能検定協会が主催して文部科学省が後援する「毛筆書写検定」や、公益社団法人日本書作家協会が実施して文部科学大臣が認定する「全国書道教師資格認定試験」などだ。「毛筆書写検定」は、下は6級から準2級、準1級をふくめた1級までの全8級。受験資格・年齢制限はないので、小・中学生でも参加可能だ。トップの1級を取得するのは難しいが、合格者には「指導者証」が交付される。また「全国書道教師資格認定試験」は4次試験まであり、最終試験に合格すると、日本書作家協会認定の書道教師(師範)の資格を得ることができる。いずれも書道家としての能力の証となる。
将来はこうなる
実用性から、書道はアートな伝統芸術へ
パソコンやスマホが筆記具となり、日常的に毛筆を持つ人は激減している。とはいえ、出版物の表紙や映像作品の題字、賞状や証書などを書く筆耕士など、毛筆文字が必要とされる仕事は今なお少なくない。海外でも日本文化への興味から書道への関心は高く、海外で書道教室も開かれるようになってきた。書道は、実用性から見せるアートへと重心を移してきており、書道家の仕事も今後は日本の伝統を後世に伝える仕事としての性格が強くなっていきそうだ。
データボックス
収入は?
平均年収は約356~753万円。著名な書道家になると、ひとつの作品が数百万円以上で取引されることもある。
休暇は?
書道教室を開く場合は、基本的に最低週1回はお休み。教室経営と並行して自身の作品を制作するためには休日返上の場合も。
職場は?
自宅、もしくは作業場、書道教室。
なるためチャート
書道家の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!