ドローンは無線操縦で操作する重量200g以上の無人航空機のこと。さまざまな分野で活用されるようになり、そのパイロットは今注目の職業だ。
こんな人にピッタリ!
方向感覚にすぐれている人。緊急時に適切な判断ができる人。飛行にはさまざまな申請も必要なので交渉力、調整力のある人。
どんな仕事?
農業、物流、建設、空撮、レースに宇宙まで!
無人航空機であるドローンは無線の遠隔操縦やプログラミングによる自動操縦で、空高く、遠くまで飛ばすことができる。「航空機」を操作することから、操縦者はドローンパイロットと呼ばれる。人の手が届かない高さ、人が入れないようなスペース、操縦者の視界を出る遠隔地まで飛行させることができるため、ドローンを使った作業は多岐にわたる。農薬の散布、物資の輸送、空からの測量や災害状況の確認などの実用的な利用から、美しい映像の空撮、空中で表現されるドローンショー、スポーツとしてのドローンレースなどエンタメ系でも盛んに使用されている。JAXA(宇宙航空研究開発機構)が火星探査用ドローンの開発に着手するなど、可能性は宇宙にも広がろうとしている。
これがポイント!
仕事としてドローンを飛ばすなら知識と技術の証明が必要
ドローンを操縦するために必須の資格はない。飛行には法律や条例で定められた細かいルールがあるが、それに従って個人でドローンを飛ばすことは許されている。しかし、プロとして仕事にするなら確かな操縦技術、機体のメンテナンスや飛行条件に関する法律などの正しい知識の証明が必要だ。ドローンパイロットには民間資格と、2022年にスタートした国家資格とがある。民間資格は、国土交通省が資格認定校にしている団体があり、JDA(一般社団法人日本ドローン協会)、DPA(一般社団法人ドローン操縦士協会)、JUIDA(一般社団法人日本無人航空機操縦士協会)、ドローン検定協会株式会社などが代表的。これらの団体が主催するスクールで座学と飛行技術を学び、講習終了後、検定試験に合格すれば認定資格を取得できる。飛行が規制された領域で飛ばすには国土交通省の飛行許可が必要だが、その申告の際、国土交通省が資格認定している民間資格に合格していると、手続きが簡素化されるメリットがある。高校卒業後、大学や専門学校などで資格を取得しておけば就職に有利だ。ドローンを扱う会社に就職し、働きながらスクールで資格取得をめざすケースも多い。
2022年から国家資格制度がスタート
ドローン需要が高まり、より高いレベルの操縦技能が求められるようになってきたことから、民間資格に加えて国家資格制度が2022年12月よりスタートしている。新設された国家資格は「一等資格(一等無人航空機操縦士)」と「二等資格(二等無人航空機操縦士)」の2種類。空を飛ぶドローンは飛行方法や飛行場所に応じて、航空法の規制を受ける範囲内での飛行レベルが以下の4段階に定められている。
レベル1:目視内での操縦飛行
レベル2:目視内での自動・自律飛行
レベル3:無人地帯における目視外飛行
レベル4:有人地帯における目視外飛行
民間資格で可能な飛行レベルは3まで。国家資格の「一等資格」を取得すればレベル4の飛行が可能となり、ドローンの稼働範囲が一気に拡大することになる。また「二等資格」を取得すると、レベル3までの飛行可能に加えて、民間資格では必要な国土交通省への飛行申請が不要になるというメリットがある。国家資格の取得には国土交通省が認定した登録講習機関(ドローンスクール)で学科と実地の講習を受け、試験に合格する必要がある。講習などは受けずに指定試験会場で実地試験、学科試験を受け、一発合格を狙うことも可能だが、スクールできちんと準備し、合格をめざすほうが確実だ。
将来はこうなる
優秀なパイロットは海外でも引く手あまた
有人地帯での目視外飛行(レベル4)ができるようになったことで、新しい取り組みも可能になってきた。携帯電話のネットワークを活用した長距離フライトによる輸送や、オンラインの服薬指導と併せた処方薬の輸送など、ドローンの活動範囲はこれまで以上に広がっている。海外では日本以上に大きな市場が形成されていて、高度な操縦技術を持っていれば世界で活躍することも可能だ。操縦だけでなく、ドローンの機体やシステムを設計・開発したりするドローンエジニアの技術を合わせて持つことで、将来性はさらに高まるだろう。
データボックス
収入は?
平均年収は約329~449万円。会社員として勤めながら仕事の一環としてパイロット技術を学んだ場合は、企業の規定する収入に。フリーのパイロットとして仕事をする際は仕事単位の契約となる。ちなみにドローンレーサーは大会の賞金によって収入が大きく異なり、海外の大きな大会では賞金総額1億円というケースもある。
休暇は?
サラリーマンは企業の規定に従う。一般的には週休2日。フリーになると仕事の依頼次第なので、定期的な休みが取れないことも。
なるためチャート
ドローンパイロットの仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!