自然環境や社会環境を保全するために、商品開発や土地開発などを行う会社や行政機関に適切な提案をする専門家。
こんな人にピッタリ!
提案や助言ができるコミュニケーション能力がある人、現地調査などをこなせる体力やがまん強さがある人。
どんな仕事?
専門知識をいかして環境を守る
「コンサルタント」は「相談に応じる人」という意味。会社や公共機関に対して専門家の立場から相談に乗ったり、問題解決の提案や助言を行ったりする。そのうち「環境」に関する相談に乗る専門家が「環境コンサルタント」だ。人々の暮らす社会やその状態は「社会環境」といわれ、動植物が生きる人の手が加わっていない未開地などは「自然環境」だ。それらの環境はつり合いをとって成り立っているため、社会環境が変化すると、その影響を受けて自然環境も変化する。たとえば、人間は発電や輸送用に燃料を燃やし、大量の二酸化炭素を発生させている。二酸化炭素が増えると地球を包む大気に太陽の熱がこもって気温が上がる。それが「地球環境」を変化させる「地球温暖化」と呼ばれる問題だ。さらに温暖化が進むと北極・南極の氷がとけて海水が増え、海面が上がって海にしずむ島国もあると予想されているなど、環境問題は世界的に深刻化している。。
環境の変化には何らかの原因があり、ひとつの変化をきっかけに新たな問題が生まれる可能性がある。そのため環境コンサルタントは、自然環境や社会環境など、はば広い分野で調査を行い、どのような原因でどのような変化や問題が起こるのかを予測する。
それをもとに環境への影響が最小限になる対策を考え、会社や公共機関に提案する。また、対策が適切に行われたかを確認し、どのような効果が出るのかをチェックし続けるのも環境コンサルタントの大切な役目だ。環境コンサルタントは、専門知識で環境を守り、多くの人の役に立つ、とてもやりがいがある仕事と言えるだろう。
これがポイント!
環境コンサルタントに役立つ学問や資格
環境コンサルタントになるための特別な資格はない。ただし、環境コンサルタントの仕事をする以上、環境に関する知識は必要だ。そのため、大学・短大・専門学校・高専などで、環境学や生物学を学ぶことが多いようだ。卒業後は、コンサルティング会社、建設会社、環境問題を専門にあつかう調査会社、研究所などへ就職する。
また、環境コンサルタントになる資格ではないが、取得すると活動の場が広がる資格はいくつかある。たとえば「環境アセスメント士」は、開発工事を行う前に、環境にあたえる問題点などを予測して、適正な工事が行われるように手続きをする専門家。「環境計量士」は、大気や下水にふくまれる有害物質の測定や管理ができる。ほかにも「公害防止管理者」「港湾海洋調査士」「環境カウンセラー」などもコンサルタント業務にいかせそうだ。
環境コンサルタントの仕事は大きく3種類
環境コンサルタントが手がける仕事は他方面にわたるが、大きく分けると「建設系」「アセスメント系」「CSR系」の3種類がある。
1つ目の「建設系」では、建物の建設や開発工事が環境に対してどのように作用するかを工事や建設に着手する前に調査する。問題がある場合は、改善策を提案する。2つ目の「アセスメント系」は、会社の製品やサービスが環境にどのように作用するか、製品やサービスが社会に役立っているかを調査する。その結果から環境への負担が少ない製品を生み出す取り組みを手助けする。3つ目の「CSR系」は、会社本来の仕事以外で、環境保全や社会に役立つ取り組みについて助言したり手助けしたりする。
将来はこうなる
深刻化する環境問題を解決するため、環境コンサルタントの仕事は増える
2015年の国連サミットで、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標「SDGs」が決められた。その目標の多くは地球環境に関わるもので、それだけ環境問題は世界的に注目されている分野と言える。今後、環境問題に取り組む専門家である環境コンサルタントが活動する場は増えていくことだろう。また、国内で経験を積むことで、将来的には世界で活動する可能性も十分にある。
データボックス
収入は?
平均年収は、約444~565万円。
休暇は?
完全週休2日制で、土日祝日は休みになる会社が多い。ふだんはきちんと休みを取れるが、調査などがいそがしくなると、休日出勤することもある。ほかのコンサルタントの仕事と同じく、残業は多めと言われる。
職場は?
所属する会社の事務所。得意先の会社の事務所で打ち合わせしたり、開発予定地に行って生物の調査などをしたりすることもある。
なるためチャート
環境コンサルタントの仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!