国会、裁判所、省庁など国の機関に所属し、国民の幸せのために働く人。
こんな人にピッタリ!
国や国民のために働きたい人。社会の仕組みや法律をよりよく変えたい人。
どんな仕事?
国民が暮らしやすい国にするために、さまざまな課題に取り組む
公務員は、役所などの公的な機関で働く職員のこと。都道府県や市町村などの地方自治体の機関で働く職員は「地方公務員」。国会、裁判所、省庁など国の機関で働く職員を「国家公務員」という。国会は法律をつくったり変えたりする機関であり、「立法府」とも呼ばれる。国会で働く職員の仕事には、議事の運営を助ける事務局職員や政策の立案を助ける国立国会図書館の一部の職員などがある。裁判所は法律に従ってもめごとに判決を下す機関であり、「司法府」とも呼ばれる。裁判所で働く職員の仕事には、裁判の運営を助ける裁判所書記官や少年事件の調査を担当する家庭裁判所調査官などがある。省庁は法律に基づいて政策を進めたりサービスを提供する行政機関であり、「行政府」とも呼ばれる。2023年現在の国の行政機関は、内閣府・総務省・法務省・外務省・財務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省・環境省・防衛省・デジタル庁・復興庁の1府13省庁に分かれている。職員はそれぞれの省庁が専門にしている分野の職務に従事する。たとえば文部科学省は、学校教育・科学技術・スポーツ・文化を発展させるのが役目。職員は、そのための計画を作り、調査などを行い、計画の実現を目指す。教育を担当する職員ならば、学校での勉強が楽しくなるように学習方法をよりよくしたり、わかりやすい授業を行える先生を増やす工夫などについて考えている。ほかの省庁の職員も、病気の予防や働き方(厚生労働省)、国の予算(財務省)、外国とのつき合い方(外務省)、国の平和と安全(防衛省)など、国民が暮らしやすい国にするための決まりや仕組みづくりに関わっている。国の未来を左右する責任の重い仕事だが、それだけにやりがいがあるだろう。
ここがポイント
国の機関の採用試験に合格して国家公務員になる
国家公務員として働くには、立法府・司法府・行政府のそれぞれが行う採用試験に合格しなくてはならない。ただし行政府の場合は、内閣に属する「人事院」がまとめて行う採用試験に合格しただけでは採用にならない。省庁ごとの面接によって採用が決まるのだ。そのため行政府の受験者は、希望する省庁を訪ねて仕事の説明を聞いたり自分の思いや意欲を伝えたりする「官庁訪問」を行う。そこが立法府と司法府の受験とは大きく異なっている。一方、どの採用試験も、職務の役割や仕事の内容が異なる「総合職」「一般職」に分かれ、機関によっては「専門職」の試験もある。総合職は政策を立案する仕事。一般職は政策の実行などに関する事務をする仕事。専門職は、刑務官・税務職員・航空管制官・海上保安官など、特定の仕事をする専門家だ。それぞれの採用試験は、問題の難しさによって「高卒程度」や「大卒程度」などに分かれている。多くの場合、学歴は不問なので、大学を卒業していなくても「大卒程度」の試験を受けることができる。ただし「院卒者」を対象とした試験は、大学院修了者か修了予定の人でなくては受験できない。また、受験資格には年齢制限もあり、高卒程度の試験は20歳前半、大卒程度の試験は30歳前後が受験できる上限になっていることが多い。さらに、日本の国籍がない人、罪を犯して刑務所に服役した人なども受験できないルールがある。
総理大臣や自衛官も国家公務員
国家公務員を大きく分けると「一般職」と「特別職」がある。ここで言う一般職は、事務を担当する仕事のことではなく「特別職以外のすべての職員」のこと。特別職は、政務を担当する職(内閣総理大臣、国務大臣、副大臣ほか)、立法・司法を担当する職(国会職員、裁判官、裁判所職員)、特別な仕事に従事する職(自衛官をふくむ防衛省職員、宮内庁職員ほか)に分けることができる。また、一般職には「国家公務員法」と呼ばれる規則が適用されるが、特別職には基本的に国家公務員法は適用されない。ただし、給与や服務については、それぞれの職で法律(国会職員法、自衛隊法ほか)が定められている。
将来はこうなる
国民につくす国家公務員の理念は変わらない
今後、国家公務員の事務作業は、急速に発展するAI(人工知能)が担っていくことが予想される。実際に農林水産省は、対話型AI「チャットGPT」を一部の業務で利用している。しかし、国家公務員があつかう仕事は、AIが得意とする合理的な判断を素早く下すものばかりではない。国家公務員の役目は、国民のためにさまざまなサービスを提供し、公共の利益のために働くこと。法律を決めたり、法律で裁定を下したり、法律を実行したりするには、国民の気持ちや思いに寄りそって行う必要がある。この先、どんなにAIが進歩しても国家公務員の仕事がなくなることはないし、「国民につくす」という国家公務員の理念も変わることはないだろう。
データボックス
収入は?
採用された省庁や役職によって異なる。平均給与月額はおよそ41万円。
休暇は?
週休二日制。7月から9月の間に連続3日の夏季休暇、毎年12月29日から翌年1月3日までの年末年始休暇が法律で決まっている。
職場は?
国会議事堂、裁判所、府省庁の本省や本庁、地方に置かれた出先機関など。総合職の場合、全国各地へ転勤することが多い。
なるためチャート
国家公務員の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!