異なる言語で話す人と人の間に立って、それぞれの言葉に訳して伝える。
こんな人にピッタリ!
人と話すことや接することが好きな人。集中力があり、責任感が強い人。いろいろなことを知りたい人。
どんな仕事?
言葉が異なる人と人の間に入って、相手の考えや気持ちを理解する手助けをする
通訳とは、話す言語が異なる人同士が会話をするとき、間に入って言葉をそれぞれがわかる言語に直して(訳して)伝えること。言葉が異なる人と人の思いを通じ合わせる手助けをするのが通訳の仕事だ。通訳が必要とされている仕事先は、多くの国の人々が集まる国際会議、会社での海外の取引先との商談、ホテルなどでの海外旅行客の案内、放送局、警察、裁判所など、多岐にわたる。人々が仕事や観光で移動する先が世界規模になり、日本国内でも外国人と会話をする機会が増えているからだ。
通訳に求められるのは、外国語を話す力だけでなく、その国の常識、通訳する分野の専門知識、それをわかりやすく伝える力。難しいが、それだけにやりがいのある仕事だろう。
通訳の仕事は3種類
通訳の仕事を技術的に分けると、3種類ある。1つは「アドホック(一時的な)通訳」。日常会話などで、その国の言葉を話せる人が「相手はこう言っている、こう答えている」など、そのとき話していることを伝えるもの。特別な訓練を受けていない人による通訳だ。2つめは「逐次通訳」。会議・商談・講演などで行われる。話し手が一定の分量で話を区切り、区切りまでの分を通訳する方法だ。話の内容は高度であり、それを覚えておく必要があるので、逐次通訳ではメモ(通訳ノート)を取ることが基本になっている。3つめは「同時通訳」。大規模な国際会議やテレビ放送などで行われる。通訳は「ブース」と呼ばれる部屋に入り、イヤホンを通して話し手の言葉を聞き、理解するのと同時に通訳しなくてはならない。高度な集中力が必要なので、数人でチームを組み、15分ほどで交代する。
これがポイント!
外国語を話すことが得意でも通訳はできない
通訳の仕事をするための特別な資格はない。必要なのは、当然のことながら「外国語に通じている」こと。大学や専門学校に進学して語学を学んだり、海外に留学したりして言葉を習得する人もいる。そうやって身に付けた英語の能力を証明する試験として、一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IiBC)が行う「TOEIC」、文部科学省が認定する「実用英語技能検定(英検)」などがある。英語以外にも多くの言語の検定試験があるので、自分の語学の実力を確かめるために試験を受けるのもいいだろう。
しかし、外国語を話すことが得意だからといって通訳ができるわけではない。自分の思いを外国語で話すことと、会議や商談の内容を頭の中で異なる言語に直して相手にわかりやすく伝えるのは、まったく別の技術が求められるからだ。つまり通訳は、技術が必要な専門職であり、訓練を受けなくてはできない仕事といえる。そのために通訳を目指す人が通う「通訳学校」があるほどだ。
技術を習得して通訳学校を卒業したのち、会社に就職して「社内通訳」として働いたり、派遣会社に登録して仕事を得たり、会社に属さないフリーランスとして仕事を引き受けたり、さまざまな形がある。
通訳の仕事に関する検定や資格
通訳の技術を判定する検定としてNPO法人通訳技能向上センター(CAIS)が行っている「ビジネス通訳検定(TOBIS)」がある。通訳の技術が客観的に評価されるので、通訳者が自分に合った仕事を探したり、会社や人材派遣会社が通訳者に仕事をたのむための判断材料に利用されたりしているようだ。
一方、通訳の技術が生かせる仕事として、日本を訪れた海外旅行客の旅の手伝いをする「全国通訳案内士」がある。この仕事に就くには、日本政府観光局(JNTO)が行っている国家資格を取得する必要がある。対象言語は10種類。試験では、語学だけでなく、日本に関する幅広い知識も求められる。ちなみに、かつてはこの資格がないと外国語で日本を案内することはできなかった。ところが2018年の通訳案内士法改正により、現在はこの資格を取得していなくてもお金を取って通訳案内ができるようになっている。
将来はこうなる
話し手の心を通訳することでAIと差をつける
現在は、IT技術の進歩によって「自動通訳・翻訳(文章をほかの言語に言い換えること)」の機能を持つ機械やパソコン・スマホのアプリが生まれている。その仕組みは、記録した音声を「音声認識ソフト」を使って文章になおし、それを機械が翻訳して、その文字情報を「音声読み上げソフト」で機械が読み上げる、というもの。しかし、日本語の会話は、主語などを言わないことも多く、機械翻訳では正しく通訳できないこともあるようだ。将来的には人工知能AIがさらに進歩して、自動通訳・翻訳の精度は上がっていくはずだ。その中で人間が行う通訳は、前後の会話の流れや、話し手の表情、声の調子、仕草などから気持ちをくみ取るなどして、人間同士だからこそ理解できる「話し手の心の動きもふくめた通訳」を心がけることが大切になるだろう。
データボックス
収入は?
平均年収は、466~648万円。所属する会社やフリーランスの場合などで異なる。
休暇は?
所属する会社で異なる。フリーランスの場合、時給制で1日数時間だけ通訳の仕事をすることもある。また、海外との取引がある会社の仕事をする場合、時差の関係で休日や深夜に会議の通訳などをすることもある。
職場は?
国際会議や講演会、映画祭やスポーツイベントの会場、会社の応接室や会議室、話し合いや発表会などを行う場所。商談する人に同行して海外へ出かけることもあれば、テレビ会議システムを利用することもある。
なるためチャート
通訳の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!
役立つ資格
通訳の仕事につくために役立つ資格を紹介しているよ。
TOEFL(R)
TOEIC(R)
実用英語技能検定(英検(R))